百貨店や旅行会社などが取り扱う積み立てサービスが注目を集めている。お金の使い道が明確であれば、銀行預金より「利回り」が有利なことも人気の理由だ。いろいろな積み立てを調べてみた。
積み立てサービスとして根強い人気なのが、百貨店の「友の会」だ。多くの百貨店では、一定額を12か月積み立てれば、利子に相当する1か月分が上乗せされた買い物カードや商品券を受け取れる。月1万円を積み立てれば1年後には13万円となる。積立定期預金だと考えると年約15・4%もの利回りに相当する。さらにホテルやレストランなど提携施設で割引サービスが受けられる特典もつく。
高島屋の友の会「ローズサークル」は、1か月分のボーナスの代わりに歌舞伎などが観劇できるコースもある。三越や伊勢丹の「エムアイ友の会」は三越で開催される美術展の入場料が無料になるなど、百貨店ごとに特色もある。
ピアノの購入を検討している人には、河合楽器製作所の「カワイ友の会」が行う積み立てが便利だ。毎月の積立金は2000円から、積立期間は24か月からの計8コースを用意している。いずれも積立額に5%が加算され、ピアノなどの購入資金に充てられる。
ただ、こうした積立商品は、お金が必要になって解約しても現金では戻らないことも多い。企業が倒産した場合も積み立てた全額が戻らない可能性があるので注意しよう。
◇銀行も新サービス
各業界の積み立てサービスが活況なのを見てか、積み立ての本家本元の銀行も新たなサービスに乗り出した。三井住友銀行のインターネットバンキング「SMBCダイレクト」は、特定の商品購入資金をためるための積立預金「りぼん」を取り扱う。通常の定期預金の利息がつくほかに、積み立てたお金で、ソニーのインターネット通販サイトで利用できる電子クーポンを購入した場合、購入額の10%相当のクーポンが上乗せされる。近畿日本ツーリストの旅行券を購入する際も1・5%が加算される。
利回りが年15%と聞くと、定期預金派としてはアドレナリンが出てきますね。
何かと言うと、ちょっと「昭和」な響きもある百貨店の「友の会」です。仕組みはといえば、例えば月1万円積み立てると年12万円ですが、そこに百貨店側が1万円追加してくれる、というのが典型的なパターンですね。1年間で12万円が13万円になるわけですから8.3%の利回りですが、実際にはいきなり12万円から始めるのではなく1万円から始めるわけで、そう考えると平均残高は12万円の約半分の6.5万円になります。6.5万円に対して1万円の「利息」なわけですから、実質的な利回りは1万円÷6.5万円=約15%になる計算ですね。
そう考えるとすばらしい仕組みです。
が。
実際に百貨店で買い物をしている方というのはどれくらいいるのでしょうか。記者は1年に1回、数千円〜1万円のレベルです。何を買うかというと贈答品やお土産。年13万円も百貨店でモノを買ったりしないですね。なぜかと言うと高いから(笑)。
百貨店はバーゲンの時期を除き基本的には定価販売。一方で、街には定価の2割引〜半額で商品を売ってくれるお店がたくさんあります。もちろん百貨店には定価販売に見合うだけの、ゆったりとした、気の利いたサービスがあるのは事実ですので、どちらを選ぶかは価値観の問題です。必ずしも安い方がいいわけではないと思います。
同じルイヴィトンのバッグが、三越では10万円、ドンキホーテでは7万円で売っている場合、どちらで買いますか?という命題と同じですね。記者なら間違いなく後者ですが、それでは夢も希望もありません。多くの方、特に女性の方は、どうせ贅沢するなら、少々割高でもいいから正規ショップで購入したいと思うのが自然な気持ちなのではないでしょうか。
というわけで、百貨店で定価で毎年それなりの金額を購入する人であれば、この15%という利回りを活用できるわけですが、そうでないならちょっと実用性が低いですね。
そもそも世の中にそんなオトクな話はないわけで、顧客全員が友の会会員でないにせよ、15%という利回りが成り立つ裏には、百貨店の商品の利益率、つまりマージンが平均して15%以上確保されていると考えても間違いではないと思います。
15%の利回りをもらって割高の商品を買うほうがトクか、そうでなくて割安の商品を買うほうがトクか単純比較はできませんが、少なくとも表面的な「15%」という響きほど、実質的な利回りが高くないのは間違いないところですね。
あえて言えば、CDやDVD、本・雑誌などの定価販売が中心のものを百貨店にまとめることで、この「15%」を有効に活用することは可能だと思いますが、百貨店へのアクセスが容易な人に限られるでしょうね。通勤途上に百貨店があるようなパターンでしょうか。
ちなみにこの満期金で商品券を購入し、金券ショップで売却する手があるかと考えましたが、さすがに商品券・ギフト券は購入できないようです。当たり前ですね。
というわけで、「友の会」はやはり百貨店フリークの方限定なのでしょう。まさに「友の会」というわけですね・・・記者はちょっとまだお友達にしてもらえそうにありません。
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