今回は、そのコラムで過去に紹介した家族の中から、コラム掲載後も家計が赤字の事例をピックアップ。改めて、赤字からの脱却するためのアドバイスをすることにした。花輪さんと共に、メディカル保健サービスの後田亨さんと公認会計士の平林亮子さんも、今回は「スパルタコーチ」として参加した。
【事例1】使いすぎの食費と光熱費を削減、改善額は月8万円以上
はま〜さん(仮名、43歳女性)
家族:本人は千葉県在住の専業主婦。単身赴任中の夫と子供3人の4人家族
改善前の収支:収入は月34万6000円で支出は同39万3000円。4万7000円の赤字
はま〜さんの家計支出の内訳。夫が単身赴任中で、妻と子供3人の家計にしては食費や光熱費、通信費などが平均より高めなのが気になる。毎日の出費をどうコントロールしていくかがポイントだ
専業主婦の「はま〜」さん(仮名)が日経マネー誌のコラムに登場したときは、食費や水道光熱費といった日々の細かい出費の積み重ねによる「赤字のダダ漏れ」が問題になった。「これは生活習慣に問題があるのかもしれない」と考えた花輪さん。今回改めてアドバイスをするにあたって、公認会計士の平林さんと一緒に千葉県のはま〜さん宅へと直接指導に訪れた。
「案の定、というかコンセントはどれもタコ足配線だったり、キッチンのいろんな所からトマトが出てきたり……混沌としていますね」(花輪さん)。3人の子育てに加えて、夫の転勤により慣れない土地での生活。こうした生活環境だけでも大変で、日々の支出の管理に対しては思考停止になっていたようだ。
今は毎月の収支が赤字でも、ボーナスで補うことはできる。しかし、この状況が続くのは心配だ。そこで2人が伝えたのは将来設計の重要性。まず花輪さんは、はま〜さんの家計収支を基に作成した、30年後の資産状況を試算するキャッシュフロー表を示した。それによると、今の支出ペースでは教育費が増加する6年後には年間で赤字になることが判明した。一方、平林さんは老後の資金づくりの前提として「収入の3分の1は貯蓄に回した方がいい」との根本的な考え方を話した。
■赤字脱出へのアドバイス
[平林さん]「収入の3分の1貯金」の原則を守りましょう
貯金ができない家は、なぜ貯金が必要なのかピンと来ないようです。私はよく「収入の3分の1は貯金を」と話します。それは現役で稼げる期間が40年、老後の収入がない期間が20年だから。長期的な目線を持つと日々の意識も変わります。
[花輪さん]買い物は「上限2000円作戦」で節約を
食費12万円は半分の6万円に減らしましょう。毎日のスーパーの買い物はストレス解消の側面もあるようなので、1回の買い物あたりの上限を2000円(1カ月で6万円)としてみましょう。はま〜さんと子供3人なら、十分足りると思います。
スパルタコーチのアドバイスで、はま〜さん本人のやる気がようやく点火した。「深刻な数字を目の当たりにし、このままじゃ老後が本当にマズいと気づきました。将来を変えるには今を変えないと!」。
具体的な行動改善についても2人はアドバイスした。例えば「毎日なんとなくスーパーに行き、なんとなく目についた食品をカゴに入れていました」と言うはま〜さんの行動パターンは問題になった結果、「毎日のスーパーの買い物は予算2000円までと決めてもらいました」(花輪さん)。
■食費は「夢の6万円台」を実現
その後、ダダ漏れ家計はどの程度改善されたのか、再度日経マネー誌の記者がチェックへ向かった。最初に相談を受けたときからは3カ月が過ぎていた。待っていたのは笑顔のはま〜さんだった。
「買い物は、1日2000円と上限を決めて、計算機片手にしばらく続けてみました。すると、何も問題ない。これまでは食品を買い過ぎて腐らせてしまうこともあり、それがまたストレスの原因でした」。食費は12万円から6万円台までダウンした。
さらに驚いたのが水道光熱費。以前は2歳の子供が浴室のシャワーでお湯を出して遊んでいたのを、ジョウロで遊ばせるようにして水道代やガス代の削減につなげたり、電気ポットをやめて魔法瓶を使ったりするなど、はま〜さん自身が様々な工夫を凝らした。その結果、3カ月でガス代は40%減、水道代も25%減と大幅削減に成功。「自分でも驚きましたが、この数字は自信になりました」と誇らしげに料金明細を見せてくれた。
最初にアドバイスした時と比べると、全体の支出は月額8万円以上改善した。「はま〜さんが楽しみながら主体的に工夫したのが成功の秘訣だと思います」(平林さん)。
■ここまで改善しました
食費:45%減
スーパーの買い物で「2000円上限作戦」が奏功。特に食事の満足度が落ちることもなかったという。毎日行っていた買い物も「1週間に2、3回でいいや」と落ち着いた。ストレス解消のために買い物をするといった行動パターンには変化がみられる。
ガス代:40%減
毎月のガス代は、7474円から5529円、4352円へと40%も減少。「何かを大きく変えたというわけではありません。少しずつ気を使っただけです。“ちりも積もれば……”が数字に表れるのが面白い!」(はま〜さん)という。
水道代:25%減
利用量の明細は、確かに25%減っていた。キッチンで野菜を洗ったときに使った水をバケツにとっておき、庭の植物に水やりするなどの工夫も。
通信費:30%減
はま〜さんの携帯電話の利用料は1万4000円だった。「それは高い」と花輪さんが指摘。料金プランの変更を頼んでみたところ、5000円程度に収まるようになった。
何度か取り上げている日経マネー誌による家計診断。今までは、お金を順調に貯めた家庭のお話でしたが、今回は毎月の収支が赤字で苦しむご家庭を取り上げております。
むしろこういったケースの方が参考になるのかもしれませんね。
早速、家計の中身を見てみると、
・毎月の手取り収入:34万6,000円
・毎月の出費 :39万3,000円
ということで差し引き4万7,000円の赤字、ということであります。年間では約56万円の赤字ということですね。ボーナスが仮に4ヶ月分だとすると手取りで140万円くらい入ってくることになりますので、差し引き、年間80万円くらいの黒字、ということかもしれませんが、当然、毎月の生活費以外の出費も発生するわけで、ほぼトントンの家計と言えるのかもしれません。
たとえば、5年に1回クルマを買い換えるとすると、年あたり50万円くらいのコストになりますし、年1回、家族で旅行に行って、年1回帰省して、などとすると10万円、20万円はすぐに飛んでいきます。実際にはボーナス込でも赤字かもしれませんね。
さらに住宅ローンを払っているということは「持ち家」なわけで、5年に一度、10年に一度といったタイミングで、それなりの修繕が必要になってきます。そうでなくても毎年、税金もかかりますからね。
そんな訳で、心もとないギリギリの家計であるのは間違いありません。そんな相談者に対して、専門家のアドバイスをまとめると以下の通りであります。
・収入の1/3を貯金する
・買い物の上限を1日2,000円とする
・携帯の料金プランを変更する
中でも「収入の1/3を貯金する」という考え方は面白いですね。その理由は「現役で稼げる期間が40年、老後の収入がない期間が20年だから」というわけでありまして、シンプルだけれど腹に落ちる考え方であります。記者も参考にしたいと思います・・・。
それらのアドバイスに加えて、相談者自身が行ったコスト削減努力は以下の通りです。
・ガス代を節約する
・水道代を節約する
ガス代や水道代は固定費として、「聖域化」しそうですが、実際には心がけ一つで大きく減らすことができるようですね。
結果として全体の支出を8万円以上減らすことができたようです。月5万円の赤字から、月3万円の黒字へと大きく収支構造が変わったことになりますね。すばらしい。
中でも大きく削減できたのは食費で、12万円から6万円とほぼ半減したようですね。アドバイスである「買い物の上限を1日2,000円とする」というのが大きく効いたのでしょう。
逆に言うと、今まで1日4,000円分買っていた、ということですよね。さすがに・・・ちょっと多いのではないですかね?
大事なのは、この節約生活をうまく継続できるかどうか、という点です。リバウンドしないためには・・・やはり浮いた月3万円を、給与天引きなどで「最初からなかったことにする」ということでしょうね。お金があるから使ってしまうわけで、ないなら使えません。
家計の赤字が気になっている方は、「収入の1/3を貯金する」というアドバイスを胸に、参考にされてはいかがでしょうか。
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