「貯蓄から投資へ」と叫ばれていたのは2003年とかそのあたりでしょうか?かれこれもう10年近く経っていることになります。時が経つのは早いものですね・・・。
当時は株価が大きく回復し始めた時期で、リスクを取ればそれに見合ったリターンが還ってくる、投資環境としては全くもって麗しい時期でありました。2000年前後にインターネットバブルもありましたが、それを除けば、バブル崩壊以降、初めてと言っていいくらい経済が回復をした時期ですね。
戦後最長の景気が続いていたのもこの時期であります。
しかしその後はどうでしょうか?
2007年にはサブプライムローンショックが起こり、それが端緒となって2008年には超ド級の金融危機となったリーマンショックが起こりました。それ以降、世界の株価は大きく低迷したままですね。
4年経っても傷が癒えない金融危機ということですからリーマンショックの凄まじさがわかります。
そんなわけでここ数年はリスクを取ればそれだけロスをする、「リスク&ロス」という残念な状態が続いています。日本人の投資への意欲も減退気味ですね。
そうした状況の中、久しぶりに投資に関してアグレッシブなコラムを見つけましたので取り上げたいと思います。上記コラムの趣旨としては要するに、「定期預金に預けていても全く増えないのに、退職金は減り続け、年金も当てにできない。そうした不安を解消するには資産運用するしかない」ということですね。
いかがでしょう?
一見、もっともらしい気もしますが、記者は残念ながら全く賛同できません。
一つは上記の通り、現状の投資環境はまさしくリスクを取ればロスをするというとても厳しい状況です。増えないばかりか損をするくらいなら、預金に預けておいて投資環境が好転するのをじっと待った方がいいでしょう。「預金なら損はしない」という点をもっと積極的に評価すべき、ということですね。
もう一つは、筆者の方は金利が0.3%程度であれば残高が2倍になるのに270年かかると指摘しておりますが、これは表面金利しか見ていないのでは?という点ですね。今や、誰でも知っている「デフレの時代」です。デフレの時代というのは物価が安くなっているということです。仮に金利が0.3%でも、物価が1%下落していれば、自分の預金は差し引き、実質的に0.3%+1.0%=1.3%価値が増えたことになります。
ちなみに2011年は前年比−0.3%、2010年は前年比−0.7%、2009年は前年比−1.4%と、リーマンショックの影響もあると思いますが、ここ3年でざっくり−2.4%物価は下落しています。年あたり約−0.8%。これはつまり仮に金利が0.3%でも、差し引き毎年1.1%ずつ預金の価値が上昇してきた、ということですね。
これって・・・結構な増え具合ではないですかね!?そんなわけで、表面金利に留まらない、実質的な利回りを勘案すれば預金というのはもっと評価されていい、ということですね。
加えて言えば、日本の円はご存知の通り、何だかんだ言って円高路線をひた走っています。金利が低ければ通貨の価値が上がりますから、低金利の日本の円が上昇するのは当然といえば当然なわけですが、日本の金利が上昇する兆しは全くありません。
ということは円は今後もやっぱり上昇していく可能性が高い、ということですね。
するとやっぱり円のまま持っているほうがよくて、日本経済はデフレですから預金がよくて・・・と考えていくと、実は日本円の定期預金に預けておくのが実は最も賢く、上手な資産運用だと言えなくも・・・ないですね。
そんなわけで今の経済環境では、記者の考えは、「普通の人が資産運用する必要は全くない」というものであります。
ただ投資自体を全否定する気はありませんで、確かに今、株価は大きく低迷していますが、最悪期は過ぎつつありますし、「今が底値」だとして投資をしても悪くはないと思います。
かく言う記者もささやかながら投資をしております。
しかしそれはあくまで「余裕資金」の範囲内でとどめるべきものであって、退職金だったり、老後用の資金を充てるべきものではありませんね。そうした「減らしてはいけない資金」については、消極的な観点からも、積極的な観点からもやはり定期預金を中心にして運用すべきだと思いますがいかがでしょう?
資産運用や投資について検討されている方は参考になさってください。
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