2013年は株価が大変好調ですね。リーマンショック以降、投資資産を塩漬けにしてきたけれども、足元の相場の好転を背景に投資を再開しようと考えている方は少なくないかもしれません。
株価が上昇している理由はいくつもあると思いますが、最大の要因はやはり円安です。80円前後だった米ドルが今や93円と16%近くも円安が進んでいるわけですからね。単純に言えばその分だけ円建ての輸出の利益が拡大するということになります。株価が上昇するのも当然ですね。
もちろん輸出企業だけでなく、個人も円安メリットを得ることはできるわけで、最も簡単な方法が外貨預金を始めることですね。主要銀行のインターネットバンキングを利用しているのであれば、そのほとんどで外貨預金が提供されていますので、何度かクリックするだけで外貨預金に預け入れることができると思います。
これだけ円安が進めばソワソワしてくるのも無理からぬことで、実際、銀行の外貨預金や、FX業者の取引は1月以降、大きく伸びているようです。
こうした外貨運用というのは、通貨分散や資産保全といった「資産を守る」という目的だったり、あるいはより経済に関心が持てるといった「学び」という目的でトライする分には決して悪いことではないと思います。
一方で。
外貨運用で儲けてやろうといった邪(?)な気持ちで挑んだり、それこそ一攫千金を狙おうといった姿勢で臨むのは、正直あまり賛同できません。
と言うのも、短期的には円安に振れる局面はあっても、中長期的には円はずっと円高基調なわけですね。古くは1ドル=360円が終わった1971年から40年以上、円高傾向が続いていることになります。
外貨運用というのは円を売って外貨を買うわけですから、円高になれば損をすることになります。つまり歴史的に言えば外貨運用というのは「短期的には得をすることはあっても中長期的には損をした」ということになります。
もちろん新興国通貨など、円に対してむしろ高くなった通貨もありますし、多少、円高になったにせよ、それを上回る利息が手に入った通貨などもあるかもしれませんが、少なくとも主要通貨に対しては中長期的には円高が進んでおり、長く運用すればするほど損失が膨らんだのは間違いないと思います。
ではなぜ、そうしたことが起こったかと言うと、その理由を上記コラムでは端的に紹介しておりますね。つまり、
・円相場の性質として短期では日米の金利差で為替は動き、長期では日米のインフレ率の差で為替が動く
ということです。これには記者は素直に同感できます。
金利差とはまさに言葉どおり金利の差ですが、みなさんよくご存知の通り日本は超低金利でアメリカの金利はそうではありません。今のアメリカの金利は結構低いですがこれは一時的なものですね。ということはつまり「金利差が開く」というのは「アメリカの金利が上昇する」と同じ意味となります。
言い換えれば「アメリカの金利が上昇する時は円安になる」ということですね。これは経験則としても正しい市場の反応です。
しかしながら。
金利が高いというのは、インフレとほぼ同義語ですから「お金の価値が大きく下がっている」状態とも言えます。お金の価値が下がれば当然、通貨安になるわけで、むしろドル安円高につながっていきます。理屈の上ではむしろこちらの方が正しいですよね。
とするとそもそも前者の金利差による動き、つまり「アメリカの金利が上昇する時は円安になる」というのが間違った動きということになりますが、理屈に合おうが合うまいがそのような動きになるのであれば事実として受け入れるしかありません。
そんなわけで歴史的にはドル円相場を例にとると、短期的には円安、中長期的には円高、という動きが続き、円から見た外貨運用はずっと損をしてきたのですね。
その裏をかこうと思えば、外貨を売って円を買えばいいわけですが、そもそもわれわれは日本円を手元に持っていますので、円預金のままずっと保持しておけばいいということになります。
ということで外貨運用で長期的に利益を出すのはなかなか難しいですね。勝てる可能性があるとすれば、円安局面のときにだけ短期的に参加して、儲けが出たらさっさと退散することですが、「勝ち逃げ」はプロでも難しく、ましてや素人にはさらに困難なのは間違いありません。
もしかすると今後、外貨預金やFXで○億円儲けた!という話が聞こえてくるかもしれませんが、そのように世の中がざわつけばざわつくほど、デフレが続く日本では中長期的には円高が進む可能性が高いことを思い出していただければと思います。
ちなみに超長期の米ドル円の為替チャートはこのようになっています。
外貨運用にご興味がある方は参考になさってください。
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