当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは、株式会社ファインドエッジ社が提供する「ファインドエッジ・ファンド」です。
どうやらヘッジファンドとのことですが、とは言いつつこの名前を聞いたことも見たこともないという方が圧倒的多数だと思います。かく言う記者も全く聞いたことがありませんが、いくつかの資産運用サイト(と言っても個人運営っぽいサイトですが)で上位評価されておりましたので取り上げてみたいと思います。
ちなみに1位評価されていたのが前回取り上げた「キャロライナパートナーズ」でした。
それはともかくとして同社の商品紹介ページを見ての印象は・・・具体的な情報がほぼゼロということですね!リターンとしては以下となっています。
・ファインドエッジ1号ファンド : 平均リターン36%
・ファインドエッジ2号ファンド : 平均リターン50%
数字としては素晴らしいのですが、それを実証する情報がゼロだということです。商品としては1号ファンドが推されているようですが特徴として以下のように説明されています。
・ポートフォリオに堅実なリターンが見込める事業投資を組み入れています。 今後継続的な発展が見込まれる、ある分野の生産事業への投資をしており、安定的なリターンを実現しています。その都度安定的な投資先を見つけることで、投機的なリスクを軽減し、元本保全を最優先しつつも、上限配当月3%という一般の投資信託を上回るパフォーマンスを目指します。
・投資先としては工場などの設備資金、原材料の仕入れ代金、新製品の開発費用など、ビジネスの様々な分野にわたります。
・ 堅実に利益を出すことを最優先とした、ローリスク・ミドルリターンのファンド
・ 元本7割確保型
そもそも「ローリスク・ミドルリターン」と言っている時点で悪質ですね。投資の世界ではリスクとリターンは相関していますので「ローリスク・ローリターン」や「ミドルリスク・ミドルリターン」はあっても「ローリスク・ミドルリターン」はありません。
百歩譲って万が一あっても人には教えません。もしそうした有利な運用があるなら借入でも何でもして自己資金のみで十分なリターンが得られるからですね。
というわけですでに斜めに見始めておりますが、もう少し検証を続けて「ある分野の生産事業への投資」が安定したリターンの根拠と説明されていますね。ではその「生産分野」とは何かと言うと・・・それ以上の説明は全くありません。率直に言って眉唾ですね。
仮にそうした有望な投資先があるとして、ではその投資先がわざわざこの「ファインドエッジ」社から資金を借りる必要というのは何でしょうか?何と言っても年間リターンが36%の資金ですからね!投資先が少なくとも年40%を超える利息を払ってくれないとペイしないはずです。
同社が主張するように「堅実なリターンが見込め、今後継続的な発展が見込まれる生産事業」なら銀行が年1〜2%の低利で融資してくれる可能性が高いです。どう考えてもそうした投資先があるとは思えません。
さらにおかしな点が最後の「元本7割確保型」であるとの主張ですね。
残念ながらこの「元本7割確保」の中身が全く説明されていませんが、一般的な元本確保型のように「7割を国債などの極めて安全性の高い資産に投資し、残りの3割でよりリスクの高い投資をする」ということであれば、「3割の運用資金で36%のリターンを得ている」ことになり、つまり年100%以上の運用リターンを出していることになります。
要するに1年間で資産を2倍にする投資をしているということです。
素直にすごいねーと賞賛されるのは、このファンドを上位評価しているいくつかの資産運用サイトの運営者くらいのものだと思いますが、百歩も二百歩も譲ってそのようなリターンを同社が主張するように4年以上続けているのであれば、すでに自己資金が2倍×2倍×2倍×2倍=16倍になっているわけで、100万円なら1,600万円、300万円なら4,800万円、1,000万円なら1億6,000万円です。
つまりもはやいたいけな個人投資家の100万円や200万円といった資金を当てにする必要など全くないということですね。
さらに運用成績とはこうなっています。
一度もマイナスがないというのは何とも不自然ですが、具体的なシミュレーションはこのようになっています。
おかしな点にお気づきでしょうか?
例えば2015年3月から4月のリターンは20,742,300円から21,042,300円ということなので「+1.45%」ということになります。
一方、上記運用成績を見てみると2015年4月のリターンは「+3.002%」となっており全くつじつまがあいません。要するにデタラメということですね。
・・・と今気が付きましたが、もしかするとこの「+3.002%」というのは想定元本である1,000万円を主語としているのでしょうか?だとすれば「+30万200円」ということで、4月の増加額:21,042,300円−20,742,300円=30万円と・・・やっぱり合いません。
配当上限3%ということですので「3%を超えたファンドの収益はこの会社がもらう」という仕組みなのかもしれませんね。そうした説明はサイト上に一切ありませんが。
仮にそうだとすれば数字のつじつまは合うことになりますが、そもそもこうした運用成績を4年前のもともとの投資元本を分母として計算する時点で、サイト作成者が投資の素人であり、運用実体がないことがバレバレです。
上記の通り3月から4月の増加分は「+1.45%」であり、 それはつまり今から運用すればそれくらいの運用リターン=年20%程度しか得られないことを示唆しているからですね。それ以上の成績を上げればファンドに没収されるわけですから間違いありません。
とすると上記の「ファインドエッジ1号ファンド:平均リターン36%」というのが全くの虚偽、ということになります。金融庁さん、見てますか〜。
ちなみに気が付きついでに、この運用成績の下にファンドの特徴として以下のような補足説明がありました。
・ポートフォリオの80%は事業投資で堅実に運用、残り株式市場や国際為替市場などでアクティブに運用し利益を狙いに行きます。
えっと、「元本7割確保型」 じゃないのでしたっけ・・・。
突っ込みどころはほかにもあり、同社ホームページをチェックすると運用レポートが掲載されていますが、2014年4月で更新がとまっております。まぁ、それはケアレスミスと片付けて(笑)、中身を見るとこうなっています。
2011年4月から開始した10万円の基準価額が2014年4月時点で179,604円になっているということですね。
そしてこのファンドの分配実績も掲載されていてこうなっています。
累計金額や4月実績を見ていただければわかるように・・・何と分配したはずの金額をそのまま基準価額に乗っけてしまっているのですね!分配というのは文字通り投資家に分配してしまうわけですから、その分基準価額は減少します。
仮に再投資する場合があったとしてもそれは基準価額には反映されません。要するにこのファンドの正しい基準価額はもともとの10万円前後なはずですがそれを約18万円と表現しているということは・・・もちろん虚偽です。金融庁のみなさん、チェックしてますか〜。
そんなわけでそろそろお終いにしますが、残念ながら信頼できる投資対象ではないのは間違いありません。慎重にご判断いただければと思います。
しかしそのように考えると、なぜ記者も知ったようにいくつかの資産運用サイトで上位評価になっているのか、という疑問が残ります。
要するにどうやらこうした「資産運用サイト」を作成してそこから集客するという手法を通じて集客しているようですね。これも1つの広告手法だと言えそうです。なかなかあざとい。
最後にいつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
参考になさってください。
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