定期預金の店頭表示金利を見ると、スーパー定期やスーパー定期に続くのが大口定期です。「大口」定期預金とは、分かりにくい預金名が多い中で、かなり分かりやすい商品名ですが、その名の通り、金額が「大口」の場合に利用される定期預金で、通常は預入金額が1,000万円以上の場合、利用されます。
1,000万円というのはそもそもそう簡単に貯められる額ではありませんし、仮に1,000万円あったとしても、今度は預金保険の関係で(預金保険では元本1,000万円+その利息しか保護されません)、一つの銀行にわざわざ1,000万円超の預金を置いておく人はそれほど多くないでしょうから、庶民には少し縁遠い定期預金と言えるかもしれません。
さてその大口定期預金ですが、最大の特徴はなんと言っても、店頭に表示されているのはあくまで「最低金利」であり、銀行と預金者との交渉で自由に金利が決定できる点にあります。我々の知らないところで、お金持ちにはかなりいい金利が適用されている可能性はゼロではありませんが・・・ただ銀行からすれば相当の「金余り」、「預金余り」の時代ですからね。高い金利を払ってまで預金を集める必要は一切ありません。かつ、必要があれば市場からばんばん資金が調達できる上に、市場の金利がこれまた低いですからね。
夢(?)を壊すようですが、実際のところ、大口定期預金に驚くような金利が付与されている可能性はまずないと思われます。
ちなみに大口定期預金の歴史を紐とくと、日本で預金金利が完全に自由化されたのはそれほど古い話ではなく90年代半ばのことですが、その金利自由化の第一歩として自由化されたのが大口定期預金ということになります。完全自由化を10年さかのぼる85年のことですね。
当時はまさにバブルの絶頂を迎えようとする時期で、金利も急上昇中でしたから、大口定期もビックリするような金利がついていたのかもしれませんね。それこそ残高が数千万円の取引ともなれば支店長室に通され、お茶の一杯でも出たのではないでしょうか?もちろん今では上記の通り「預金余り」の時代ですので、そのような厚遇はないと思われますが。
ここで日本最大の銀行である三菱東京UFJ銀行の大口定期の商品性をチェックするとこのようになっています。
◆預入期間:
1ヵ月・2ヵ月・3ヵ月・6ヵ月・1年・2年・3年・4年・5年・6年・7年・8年・9年・10年
◆預入金額:
1,000万円以上1円単位
◆税金:
20%の源泉分離課税(国税15%、地方税5%)。ただしマル優利用の場合は非課税。
また、復興特別所得税が付加されることにより、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間、20.315%の源泉分離課税(国税15.315%、地方税5%)。
◆中途解約利率:
期間5年以内
・期間1ヵ月未満 : 「解約日の普通預金利率」「下記A」「下記B」のうち最も低いもの(Bの利率が0%を下回るときは0%)
・期間1ヵ月以上 : 「下記A」「下記B」のうちいずれか低いもの(Bの利率が0%を下回るときは0%)
期間5年超
・期間6ヵ月未満 : 「解約日の普通預金利率」「下記A」「下記B」のうち最も低いもの(Bの利率が0%を下回るときは0%)
・期間6ヵ月以上 : 「下記A」「下記B」のうちいずれか低いもの(Bの利率が0%を下回るときは0%)
A:約定利率×0.7
B:解約日から満期日まで同額の資金を新たに調達するためのコスト
これらの商品性の中では特に中途解約利率がかなり難解ですね。大口預金者=金融知識も高い人、という定義なのでしょうか。「解約日の普通預金利率」や「約定利率×0.7」は分かりやすいとして、
分かりにくいのは「解約日から満期日まで同額の資金を新たに調達するためのコスト」ということになりますが、要するに金利が上がった場合には、銀行側の資金調達コストも上がることになりますのでこのペナルティも
増えるということですね。
現状のように金利がほとんど動かない、もしくは下がる一方の金利環境ではBのペナルティはあまり気にしなくてもいいかもしれませんが・・・。
縁あって大口定期を利用される方は参考になさってください。
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