「小泉・竹中」時代から、金融業界では「貯蓄から投資へ」というスローガンが叫ばれて久しいですが、その後のリーマンショックや東日本大震災などによる大幅な株安などを背景に、投資は完全に足踏み状態にあります。
では何が増えているかと言えば貯蓄=定期預金や普通預金などの預金ということですね。日銀などが統計資料を発表するたびに、預金残高が過去最高値を更新していると報道されていますね。これは上記の通り、なかなか投資では儲けにくかった金融・投資環境が背景にあるわけですが、もしかするとそれだけでなく安全志向・堅実志向の国民性も一因なのかもしれません。
そうしたわけで、昔も今も運用の基本・中心は銀行預金というわけですが、一方で特に地方にお住まいの方などの場合は、近くになかなか銀行の店舗がなく、地域金融機関や郵便局=ゆうちょ銀行での預金運用が選択肢となってくることも多いのではないかと思います。
中でも郵便局は全国津々浦々に支店があり、当然、都市部にもありますから、どこでも使えて便利というメリットがありますね。離島などの観光地に行っても、コンビニATMはもちろんありませんが、ゆうちょ銀行のATMはキチンとありますからね。ゆうちょ銀行の口座保有者だけでなく、他の提携銀行の口座保有者の中にも、ゆうちょATMのお世話になった方は多いのではないかと思います。
では実際に郵便局を訪れ定期預金を始めようとした時に、未経験者がまず驚くのが、ゆうちょ銀行には「定期預金がない」ということかもしれません。
もちろんゆうちょ銀行にも定期預金はあるのですが、その名前は定期預金ではなく「定期貯金」なのですね。つまりゆうちょ銀行には「預金」を「貯金」と呼ぶ習わしがあるのです。
ちなみにゆうちょ銀行の普通預金は「通常貯金」という名称がつけられています。一般名詞のような響きですが、実際には固有名詞ということになります。
なぜこんな違いがあるかと言うと、由緒が異なるわけで、「貯金」とは言葉どおり「お金を貯める」ための金融商品としてスタートしました。
一方の「預金」の方は、その決済機能が重視され、イメージとしては商売をしている人が一時的に「お金を預ける」ための金融サービスとして始まりました。
この「貯金」と「預金」は一文字違いではありますが、根拠となる法律が異なるため、今でもゆうちょ銀行が自社商品に「預金」と名づけることも、民間銀行が自社商品に「貯金」と名づけることもできません。
また実際に金融の自由化が始まるまでは、郵便貯金はやや金利が高い一方で送金などの手続きが不便で、銀行預金は送金や資金決済に優れている・利便性が高い、といった由来そのままの商品性の違いがありました。
ただ今はもうその違いはほとんどないですね。共通点としては以下が挙げられます。
1.利率は最初から決まっている
2.預け入れ期間が長いほど金利が上がる
3.途中で解約すると利率が下がる
4.預金保険の対象である
つまり・・・ほとんど全く金融商品である、ということですね。この「定期貯金」の商品性をもう少し詳しく述べるとこのようになります。
・預入金額 : 1,000円以上(1,000円単位)
・預入期間 : 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年
・利子 : 3年未満のものは単利、3年、4年および5年のものは半年複利
・自動継続 : 「元利金継続」、「元金継続」の選択が可能
やはり、一般的な「定期預金」とほぼ変わらない商品性ですね。
しかし。
実はこうした定期貯金を始めとする「郵便貯金」には、銀行預金にはない、最大の特徴というか制約があります。それは、1人総額1,000万円までしか預けられない、ということですね。
預貯は1,000万円もないし関係ない、と思われる方は多いかもしれませんが、統計的に見れば世帯での保有金融資産は、50代で約1,500万円、60代で約2,100万円というデータがあります。もちろん保有金融資産=保有預貯金額、というわけではありませんが、金融資産のコアは預貯金だとすれば、やはりそれに準じた金額になっているのではないかと思います。
そんなわけで、この上限金額は年齢によっては結構、リアリティというか現実感のあるハードルになってきます。今のように郵便貯金の金利がそれほど魅力的ではない状況では、この上限が大きなネックとなることはないのかもしれませんが、参考にしてもらえればと思います。
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