2020年に東京でのオリンピック開催が決まり、2020年までの中長期的な経済成長への期待が高まっています。
とすると定期預金金利に対しても本格的な金利上昇への期待が高まってくるのかもしれません。
では実際に金利は上昇するのでしょうか?
まず押さえないといけないのは、オリンピックはそのイメージや、鮮烈な記憶、世界的なスポーツ大会であるにも関わらず、実際にはわずか期間2週間のイベントである、という点ですね。
かなりの人数が動員され、かなりの人数の選手団と観客が来日するとは思いますが、それでもわずか2週間では日本に落ちる金額は知れています。仮に大会期間中、100万人が毎日1万円余分に出費するとしても100万人×1万円×2週間=1,400億円にしかなりません。
もちろん少なくない金額とは言えますが、日本のGDPは500兆円近くあります。毎日約1兆4,000億円の付加価値を生み出しているわけですね。これは奇しくも上記試算(2週間分)の10倍となります。
そう考えると、オリンピック開催自体が生み出す経済効果は大したことがないことが分かります。日本全体の経済規模からすれば正直、誤差の範囲内ですね。
オリンピックの有無よりは、4年に一度くる、うるう年で1日長い方がよっぽど直接的な経済効果は大きい、ということになります。
ちなみにご存知の通りうるう年=夏季オリンピックの開催年であり、仮に統計的にオリンピック開催年の方が経済成長率が高いとすれば、それはオリンピックの直接的な効果ではなく、うるう年で1日長いことの方がよっぽど影響している・・・かもしれませんね。
つまりはオリンピックの経済に対する直接的な影響は少なく、とすると市場金利に対しても、定期預金金利に対してもあまり影響しない、と考える方が合理的だと思います。
2012年にオリンピックが実施されたのはロンドンですが、そのイギリスの政策金利の推移を見てみるとこのようになっています。
もちろんこれは政策金利ですので、金融当局によってコントロールされていますが、市場金利も概ね同じ様な推移となっています。つまり、2012年に金利はピクリとも動いていないのですね。
2012年とはヨーロッパ債務危機の余波が残っている時で、イギリスの金利が低下傾向にあったのは当然ですが、逆に言えば金利は一過性のイベントに左右されるような性質のものではなく、その国の経済環境や金融状況、つまりファンダメンタルズによって決まってくる、ということですね。
だとすると、オリンピックによる景気浮揚や、それに伴う金利上昇を期待していた預金者の方々にはガッカリ、ということかもしれません。
では、仮にオリンピックを契機に金利上昇するシナリオがあるとすれば、どういったものが考えられるでしょうか?
一番分かりやすいのは景気の拡大ですね。ただ高度成長期ならまだしも、完全に市場や経済が成熟し、インフラや競技施設が概ね出来上がっている日本では、そこまで大きな投資や、それに伴う景気の拡大は起こりにくいと思います。
逆に、オリンピックに向けた無理な財政出動によって国債の信用力が低下し金利上昇が起こる、と言った「悪い金利上昇」の方が可能性は相対的に高そうですね。
あるいは、消費マインドが好転し、「オリンピックがあるから○○しよう」、「オリンピックだから○○を買おう」といった動きが全国的に起これば、金利が上昇する理由となりますが、今のところそうした動きはありません。
などと考えていくとやはりオリンピックが定期預金の金利に影響を与えることはあまりなさそうですが、いかがでしょうか?もちろん、金利が上がってくれるに越したことはないのですが・・・。
参考になさってください。
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