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預金封鎖とは?本当に起こるの?


定期預金に関わる「カルト」がどれくらいあるのかは分かりませんが、そのうちの1つが「預金封鎖」であるのは間違いないと思います。

最近はあまり聞かなくなりましたが、金融危機のさなかにおいては週刊誌や夕刊紙において、毎週1回は目にしたような気がします。「週刊誌や夕刊紙」という時点で概ねその信憑性がわかるわけですが。

それはさておき、 「預金封鎖」とは公権によって預金の引き出しが制限されてしまう状況です。たとえば1人あたり10万円までしか引き出せないようになる、といったケースですね。

その理由としては概ね2つです。1つ目はインフレに伴うものですね。

インフレが激しくなると貨幣の信任が薄れ経済活動が著しく損なわれます。そこでコントロール不能となったお金の流れを「預金封鎖」によって一旦沈静化させるのですね。

インフレ対策としてよく実施されるのが金利の引き上げです。金利を引き上げることによって金融市場から中央銀行により多くお金が戻ってくるようにするわけですが、このようにお金の「量」が減るとお金の「価値」が上がり、インフレ=お金の価値の低下が止まるのですね。

そしてこうしたお金の量を減らす究極の政策手段の1つが「預金封鎖」とういわけですね。預金が引き出せないわけですから、お金の流通量は大きく減少します。それによって強いインフレ抑制力が期待できるわけです。

預金封鎖の2つ目の理由は政府の財政破綻に伴うものです。

財政破綻とは政府の財政の赤字が巨額になって借金ができない・返済できない状態を指しますが、国に借金があるということはその反対側にはお金を貸している人がいるわけで、実際には民間がその借金を用立てしているわけですね。

具体的には銀行や機関投資家、年金運用機関などの「国債購入者」が直接的に国にお金を貸していることになります。

その首が回らなくなった借金=国債を返済する方法としては、国債をチャラにする=デフォルトさせるという荒業もありますが、さらなる剛腕としては、国民の預金を召し上げ、それで国債の償還に充ててしまうという方法があるのです。

その際に資金を引き出されないよう「預金封鎖」が実施されるわけですね。

また、いずれの方法もマネーの動きを政府が完全にコントロールすることが重要であり、預金封鎖とセットで行われがちなのが通貨の切り替えですね。ある時点から旧通貨が使えなくなるとなれば、お金を隠していても仕方ありませんから、すべてのお金が表に出て、完全にコントロールされることになります。

こうした預金封鎖が必要となるインフレにせよ、財政破綻にせよ、現時点では荒唐無稽と思われるかもしれません。だからこその「カルト」であり「夕刊紙ネタ」なわけですが、逆にもし預金封鎖が日本で行われるとすればどうしたケースが考えられるのか考えてみたいと思います。

まずこうした荒唐無稽な「預金封鎖」ですが、全く過去の話かというと意外にそうではありません。南欧の債務問題のさなか、真っ先に財政破綻したのがキプロスです。借金返済のためキプロスはお金をかき集めますが当然足りない。そして大きな産業もないことから税金も期待できない。その結果、ひねり出された案が、預金者の預金を召し上げ、それを借金返済に回すというものですね。

当然、最終決定されるまでに預金の引き出しを許せば早く出金した人が得、ということになりますので「預金封鎖」として、小切手の換金禁止や1日の引き出し限度額を300ユーロに制限するなど厳しい出金ルールが課せられたわけですね。

結局この「預金召し上げ案」については、内容がセンセーショナルな割には続報がありませんが、ネット上の情報によれば強制的な没収ではなく「10万ユーロ超過分の47.5%を凍結され、強制的にキプロス銀行の株券へ転換された」ということのようです。

つまり大口預金の半分がキプロス銀行の株券に変わってしまったわけですが、ただ単なる没収ではなく株券に切り替えるあたりはまだ「現代的な処理」と言えるのかもしれません。

ただキプロス銀行の株価チャートを見ると2013年以降値がついておりませんので、非上場となり実質的にはほぼ無価値となっているのだとすればやはりかなり厳しい措置だったと言えますね。

翻って日本の財政状況は破綻へまっしぐらという状況です。歳入が55兆円前後しかないのに借金が1,000兆円を超えているわけですからね!どうすれば返済できるのか全く想像つきません。

そしてキプロスの財政破綻処理の過程で、

・預金封鎖→銀行預金の半分を銀行株式(ほぼ無価値)に強制転換

という道筋がついた以上、それに倣う可能性は十分あります。

5年や10年といった期間での財政破綻はなさそうですが、このまま借金が膨らんでいけば、われわれの目の黒いうち、つまり20〜30年以内にクラッシュしてしまう可能性は十分ありそうです。

もしそうだとすれば、今のうちから預金を避難させておく・・・のではなく、財政再建を標榜する政党に投票する姿勢が重要ですね。

仮に預金を避難させておくとしても、世界で最も金利が低い=信用力があるのは今のところ日本円ですからね。ほかの通貨に退避させたところであまりリスクは軽減されません。

そう考えると・・・預金封鎖を防ぐ意味でも、われわれ有権者はしっかり腰を据えて財政再建を求めていくことが大切と言えそうです。

参考になれば幸いです。


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