2015年10月に予定されていた10%への消費税増税が2014年4月以降の景気悪化を受けて2017年4月へと1年半延期されました。
デフレ経済の脱却を最重要課題とするのであればこうした判断は理解できますが、一方でその間にも日本の財政は悪化を続けているわけで、歳出カットとともに増税は避けて通れません。
加えて世界的に本当に景気が悪化してしまうと増税はできなくなってしまうと思いますので、2017年4月というのは伸ばせるギリギリのラインだと思います。2008年のリーマンショックから約9年後というわけですから、次のリセッションや「○○ショック」が起きている可能性は十分あります。
増税を喜ぶわけではありませんが、財政悪化を憂える一市民としては多少の逆風が吹いていたとしても、次こそきちんと増税を行い、財政健全化に向かって着実に進んで行ってほしいものと期待しています。
さて、そのように一筋縄ではいかない増税施策であるわけですが、こうした消費税増税の動きと定期預金金利との関係はどのようになっているのでしょうか?
もちろん増税と定期預金金利が直接リンクするわけではありませんが、しかし「景気」と「金融緩和」という2つの要因を通して間接的にかなり相関しているように感じています。
どういうことかと言うと、まずわかりやすいのは金利と景気、そして金利と金融緩和の関係ですね。
前者の金利と景気の関係ですが、金利は経済の体温のようなものですから、景気が過熱すれば金利は上昇し、景気が低迷すれば金利は低下します。日本の金利がずっと低金利を維持しているのは、ずっと景気が低迷しているからですね。
次に後者の金利と金融緩和の関係ですが、金融緩和とは金融市場にお金をあふれさせる金融政策ですから、金融緩和が実施されれば金利は低下し、金融緩和が縮小すれば金利は上昇することになります。供給が増えると値段(金利)が下がるのはマネーも同じことなわけです。
つまりは
・景気過熱、金融緩和縮小 → 金利上昇
・景気低迷、金融緩和拡大 → 金利低下
という関係にあるということですね。
では次に消費税増税と景気、そして消費税増税と金融緩和の関係はどうでしょうか?
これは経済学というより政治学の世界ですが、まず前者の消費税と景気の関係でいうと、冒頭ご案内した消費税延期の経緯を思い出すまでもなく、「景気低迷期には増税はできない」というのは自明ですね。
次に後者の消費税と金融緩和の関係を考えると、金融緩和の主体は日本の中央銀行である日本銀行です。日本銀行にとっても財政再建は死活問題ですね。仮に国債が暴落したり、日本円の信用や通貨価値が瓦解すれば、日本銀行の金融政策の機能はほぼ失われます。そうならないためにも日本銀行は増税を全面的にサポートする立場にあると言えます。
上記のとおり景気が悪化すれば増税できないわけですから、日本銀行からすれば増税をスムーズに行えるようできる限り景気を底支えする必要があり、そのための具体策は何かと言えば「金融緩和の拡大」ということになります。
つまりは
・金融緩和拡大 → 景気底支え → 増税実施
というシナリオ、流れを作っていきたいのが日本銀行の思惑、ということですね。
そして先ほどもご案内したように「金融緩和拡大→金利低下」ですから、ここに金利の動きも加えるとこういう流れになるのがメインシナリオ、ということです。
・金融緩和拡大 → 景気底支え・金利低下 → 増税実施
とすると、消費税増税後はともかくとして、消費税増税前は定期預金金利が低下する可能性が高い、ということですね。
具体的には現状の低金利は少なくとも次の増税が実施される予定の2017年4月までは継続すると考えられるわけです。
これまでの金利や景気の動向を考えれば上記シナリオが最も確度が高いわけですが、そうならないケースをあえて考えるとすれば、「金融緩和が不要なくらい景気が過熱して、スムーズに増税を実施できる場合」ですね。つまりこういうことです。
・景気過熱 → 金融緩和縮小・金利上昇 → 増税実施
可能税としてはゼロではありませんが・・・小泉政権時代の戦後最長の好景気の時ですら金利が大きく上昇するほどには過熱しませんでしたからね。実際には現実味の乏しいシナリオということです。
やはり常識的に考えれば、繰り返しになりますが「金融緩和拡大 → 景気底支え・金利低下 → 増税実施」 というケースが最も可能性が高く、その点では定期預金金利と消費税増税の関係を考えた場合、「増税されるまでは金利低下が続く」と考えておいて間違いはなさそうです。
増税延期は庶民という立場からは歓迎すべきものですが、預金者という立場からは意外に残念な結果を残しそう、ということになりますね。
参考になれば幸いです。
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