商品の数だけ「比較軸」があります。パソコンであれば以前はCPUのクロック数が重要でしたし、今のスマートフォンであれば、画面の大きさや電池の持ち時間などが有力な比較軸となるでしょうか。
クルマであれば馬力や燃費、住宅であれば広さや間取りがスペックとなってきますね。
そしてどの商品にも共通して言えることは「値段」がついているということになります。
ではなぜこれらの「比較軸」が有効かと言うと、最も大切な点は「同じ単位が使われている」という点ですね。たとえば値段で言えば日本での商品はすべて円建てで表わされるわけですが、仮にこれがドルやリラやペソ表示されればもう何が何だかわかりません。値段は単位が円で統一されているからこそ簡単に比較できるわけですね。
そうではない例としては服のサイズがあげられるかもしれません。日本メーカーのS/M/Lすら微妙に違うのに、海外製品であれば全く異なりますね。結局、実物のサイズをチェックするか、どこの国向けの商品かでおおよその日本サイズを推測する必要が出てきます。
単位が異なるとかなり不便になるということですね。
その点では定期預金というのはかなり比較しやすい商品だと言えます。1%はどこまでいっても1%ですし、0.1%はいつまでたっても0.1%です。つまり金利の単位である「%」
は極めて絶対的かつ基本的な単位であるということですね。
加えてより預金金利をわかりやすくしている工夫として「年利表記」があります。定期預金の金利はすべてこの「年利」で表わされているわけですが、その証拠に預金金利はすべて「年○%」と言った書き方となっています。この「年」は「年利」の「年」というわけですね。
では具体的にこの「年利」とは何かと言うと「1年預けた場合の金利」という意味となります。たとえば3年1.5%と5年2.5%、7年3.5%のどれが有利かと言われると計算がややこしい。しかしこれらの預金金利を全て「年利」で表わすとこうなります。
・3年 : 年0.5%
・5年 : 年0.5%
・7年 : 年0.5%
つまり・・・実はどの預金も、実質的な金利水準は全く変わらないのですね!そうした金利の優劣が簡単に分かるのがこの「年利」表記のメリットということになります。
そうしたわけで大変便利な年利表記ですが問題がないわけではありません。特にそのデメリットが端的に表れるのが「期間が1年未満の定期預金の場合」ですね。
たとえば「3ヶ月・年2%」と聞くととても高水準の金利のように感じられるわけですが、「年利」とはあくまで「1年預けた場合」の金利であって、「必ず1年預けられる金利」というわけではありません。何が言いたいかと言うと、このような「3ヶ月・年2%」といったあり得ないような高金利の場合、ほぼすべてのケースで「最初の3ヶ月しか適用されない」ことを意味します。
極端な例で「最初の3ヶ月は年2%だけれど残りの9ヶ月は年0%」だとすると1年での通算金利は年0.5%となり、上記の「3年・年0.5%」「5年・年0.5%」と実質的な利回りは全く同じ、ということになるわけですね。
言い換えれば1年未満の金利の場合は、年利ではなく、「本当の利回り」を計算した方がいいということです。上記「3ヶ月・年2%」の本当の利回りは「3ヶ月・0.5%」ということで、手に入るのはあくまで0.5%分であって、2%ではない、ということになります。
さらにもう一歩踏み込んでいうと、そのようなギミック=騙し金利を使ってくるような銀行には注意した方がいいということですね。取引の中で他にどんな落とし穴を用意しているかわかりません。
ただ残念ながら実際にはどこの銀行も退職金セットのような形で1年未満の3ヶ月定期や6ヶ月定期の金利を優遇しており、これはもはや業界ぐるみの問題と言えるのかもしれませんが・・・。
いずれにしても預けてから「こんなはずじゃなかった」 と言ったことがないよう、特に1年未満の定期預金を利用する場合は、
・実際の利息はいくらなのか
・満期後にどういった金利が適用されるのか
といった点を事前にきちんと調べて、本当にお得かどうかチェックしていただければと思います。
参考にしてみてください。
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