ボーナス支給などをきっかけに資産運用について検討し始める方がおられるかもしれません。そうした場合、資産運用についてどう考えればよいのか悩んでいる、ということもありそうです。
率直に言えば資産運用に関して正解はありません。「なるべく多くのリターンが得たい」というのが正直なところだとは思いますが、一方で「1円たりとも損はしたくない」という思いは誰もが共通していると思います。
しかし残念ながらまともな運用をしている限り、リスクとリターンは完全に相関します。つまり高いリターンを狙えば狙うほど元本を失う可能性が高まるわけで、こうした預金者のニーズが満たされることは永遠にありません。仮に「損することなく高いリターンが得られる」と謳う商品があればそれは間違いなく詐欺です。ちなみによくあるフレーズがこういうものですね。
・今まで元本割れしたことはありません。
この表現自体が違法ということはないとは思いますが、「損する可能性が極めて低い」と「誤認」させる表現だと考えればやはり詐欺と思っておいた方が無難ですね。
なお「まともな運用をしている限り」と注釈をつけましたが、これは否定的な意味合いではありません。要するに「まともな運用ではない」場合にはリスクとリターンが相関せず、「リスクは大きいのにリターンは少ない」か、もしくは「リスクは大きいのにリターンはない=詐欺」である可能性が高いということです。もちろんどう寝転がっても「リスクは小さいのにリターンは大きい」なんてケースはあり得ませんので早め早めに幻想を捨てることが重要ですね。
言い換えれば「リスクとリターンが完全に相関している」商品こそ、ベストな金融商品と言えるわけです。
そうしたわけで結果的に「成功した」「失敗した」という成績が残るものの、事前に何が成功するかなど分かるものではありません。その点では冒頭ご案内したように正解などなく、自分なりの考え方で始めていくしかないということですね。
ただそれだとここで話が終わってしまいますので、そうした資産運用の考え方の1つとして、「お金を色分けして考える」という手は有効かもしれません。
よく貯蓄について
・使うお金
・自分に投資するお金
・貯めるお金
に分けて、それぞれ別の財布(口座)に入れておきなさい、というアドバイスを目にしますが、資産運用についても同じ考えを当てはめるとこういうことになるでしょうか。
・完全に損してもいいお金
・途中で損してもいいから10年後にはプラスになっていてほしいお金(=10年使わないお金)
・絶対損したくないお金
これにはその人の年齢や余裕資金の額、これまでの貯蓄残高に応じて変わってくると思いますのでやはり正解はありませんが、仮に30歳で余裕資金が100万円とすると、記者ならこう配分するかもしれません。
・完全に損してもいいお金 : 10万円
・途中で損してもいいから10年後にはプラスになっていてほしいお金 : 40万円
・絶対損したくないお金 : 50万円
全体的にはリスク高めと思われるかもしれませんね。一般的にはこういった配分をアドバイスするかもしれません。
・完全に損してもいいお金 : 10万円
・途中で損してもいいから10年後にはプラスになっていてほしいお金 : 30万円
・絶対損したくないお金 : 60万円
10万円しか変わりませんが・・・。
それはともかくとしてこのように余裕資金を色分けしたら、それぞれのグループに金融商品を当てはめてみたいと思います。具体的にはこういった感じでしょうか。
・完全に損してもいいお金 : FX、外貨預金、海外REIT、日本株
・途中で損してもいいから10年後にはプラスになっていてほしいお金 : 海外株、国内REIT
・絶対損したくないお金 : 定期預金、国債
結構、保守的な分類だと思われる方が多いかもしれません。また、REITと株式については国内外で評価が分かれている点が気になる方もおられるかもしれませんね。そのポイントとしては、為替リスクと株価リスクをどう評価するか、という点になります。
まず前者の為替リスクについてですが、ドル円相場は長期で見ればこのように推移しています。
つまり、足元では多少反発しているものの、全体的にはじわじわと円高が進んでいるのですね。なぜかと言えば、日本円が低金利だからです。低金利の通貨というのは利息によって貨幣価値が下がりにくく、一方で高金利の通貨というのは利息によって貨幣価値がどんどん下がっていきますから、円から見ると相対的に金利が高いドルの価値が長期的には落ちていっている(円高)わけですね。
海外資産に投資するということは基本的にはドルに投資することですから、つまり「どんどん価値が下がっていくもの」に投資するわけで、FX、外貨預金、海外REITなどに投資する際は「損していいお金」でないといけない理由がここにあります。
この中でもFXのリスクは別格ではありますが・・・何しろレバレッジが25倍とかになるわけですからね。これは「リスクが25倍」という意味でもあります。
次に後者の株価リスクですが、日経平均株価は長期で見ればこのように推移しています。
足元では多少上昇しているとはいえ全体的に見れば右肩下がりの形ですね。つまり日本の株価はバブル崩壊以降、下がり続けているわけです。そうした点を踏まえれば、これまた「どんどん価値が下がっていくもの」に投資するわけですから、やはり「損していいお金」で投資しないといけません。
一方で、その次の「途中で損してもいいから10年後にはプラスになっていてほしいお金」には、海外株と国内REITを分類しましたが、前者については為替リスク以上のリターンを維持していますので、長期的に見ればプラスになる可能性があるということです。何と言っても世界の人口はまだまだ増え続け、それに伴い、世界経済もまだまだ成長するわけですからね。日本はともかくとして海外の株価が上昇するのは当然かもしれません。
他方、後者の国内REITについてはちょっと評価が甘いかもしれませんが、少なくとも為替リスクがなく、さらに賃料をベースとして大きなバブル形成がないとすれば、10年という期間ではプラスになる可能性は十分あると思いますがいかがでしょうか?
こうした分類についてももちろん「正解」というわけではありませんが、資産運用のはじめの一歩の考え方として参考にしていただければ幸いです。
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