マイナス金利政策によって預金金利が崩壊する中で少しでもいい運用先はないかと探しておられる預金者の方は少なくないと思います。
某雑誌のアンケート結果を見ると結構な割合の方が「日本株」での運用を検討されているようですが、しかし株式投資で利益を出すのは簡単ではありません。
加えて株価は個別の要因よりも株式相場全体の動きに左右されることも多いので、相場が下落するタイミングでは何に投資をしても損をする可能性が高いですね。
長期投資においては「結局は上昇するのだから投資のタイミングは関係ない」という話も聞きますが、こと日本株においては長期的に見れば80年代のバブル崩壊以降下がり続けており、全く当てはまりません。
何事もそうですが、安く買って高く売るのが基本ですね。現在が日本株に投資するタイミングかと言うと・・・正直、微妙ではないかと思います。
日経平均で言えばこれまで何度も1万円を下回るタイミングがありましたので、その時期に仕込んで15,000円を超えれば売る、というトレーディングが有効だとすればそこまで下がるまでじっとお待つ、というのも手ですね。
そんなにうまくいくかどうかはわかりませんが個人投資家であれば時間は十分にありますし、そうした取引1回で+50%といったリターンを得られれば残りの10年間は普通預金に入れておいても年平均約5%のリターンということになります。
大局的な見地から投資のチャンスをうかがうことが大切だということですね。
そんなわけで記者は今は預金者にとって「忍耐の時期」かと思うのですが、また別の記事では「銀行の株を買ってみては?」というアドバイスを目にしました。
ある大手銀行の配当利回りは約3%なので、仮に10年間投資した場合、株価が30%下がっても配当でカバーできるので損はしない、ということですね。
確かにそう聞くとアリのような気もしますが実際はどうなのでしょうか?
そこで思い浮かぶのが去年、鳴り物入りで上場した「日本郵政」、「かんぽ生命」、そして「ゆうちょ銀行」ですね。ということで「ゆうちょ銀行」の株価の状況をチェックするとこうなっています。
案の定、思いっきり下がっておりますね・・・。上場当時は1,800円近くまであった一方で足元では1,400円前後となっています。つまり概ね22%ほど下落したわけですね。
では配当がどれくらい予想されているかと言うと・・・会社予想では1.78%とのことです。つまり上場来の約22%のマイナスを配当で補おうと思えば単純計算で12年以上かかる計算ですね!しかもこれは税引き前ですので税引き後で考えればさらに時間がかかることになります。
加えて12年待ってもマイナスがゼロになるだけでプラスになるにはもう少し時間がかかります。そのように考えれば、銀行の株式だからと言って特に安全ということもなく、定期預金の代替とはならなそうですね。
多くの個人投資家の方が郵政株を買われたと思いますが無事に売り抜けられたでしょうか・・・。
ただ一方で上記ゆうちょ銀行の株価はさすがに思惑で動きすぎているのであまり参考にならないという意見もあるかもしれません。そこで日本最大の民間銀行である三菱東京UFJ銀行の親会社である三菱UFJフィナンシャルグループの株価をチェックするとこうなっています。
期間10年で見ておりますが・・・あまりパっとしませんね。2009年〜2013年ごろまで500円前後で推移していた株価が2013年のアベノミクス以降、1,000円近くまで上昇したわけですが、足元ではまた500円台に低下しています。
マイナス金利政策によって銀行収益がどんどん圧迫される、という懸念などもあるのでしょうけれど結果的には多くの投資家が利益が出ていないか損失を抱えているのではないかと思います。仮に1,000円で高値掴みされた方は半減しているわけですから50%近いマイナスですね。
その損失を配当でカバーできればよいのですが足元の配当利回りは3.3%となっています。ゆうちょ銀行と比較すれば2倍近い高配当と言えるのかもしれませんが、しかし上記のような株価の変動をカバーするには全くの力不足です。
3.3%で50%減をカバーしようと思えば単純計算で15年以上かかる計算となります。
他方でここまで下がったのだから今が底値であり、このタイミングでの投資は「配当+キャピタルゲイン」でWでおいしいという考え方もあるかもしれません。
しかしながら足元で下がっている理由が上記の通りマイナス金利政策だとすれば、今が底値である保証は何もありません。
マイナス金利が拡大されれば株価はさらに下がる可能性がありますし、仮に何かの理由で相場全体が下落すれば、その分三菱UFJグループの株価もきっちり下がるものと思います。
そうした株価変動リスクの前では・・・3.3%の配当というのはあまりに力不足です。
やはりまずは投資のタイミングを見極め、きっちりキャピタルゲインで勝っていこうとする姿勢が大切であり、つまりはこれは投資対象が銀行株であっても「まんま株式投資」というわけですね。
定期預金の代替になるような運用方法ではありません。
マイナス金利によって預金者の方々の運用ニーズが高まったとしても、同じタイミングで良い投資タイミングを提供してくれるほど金融市場というのは甘いものではありません。上記の通り数年のタームでよい投資タイミングが来るのを待つ姿勢が肝要です。
数%のリターンに目がくらんで元本を数十%も失うリスクにさらしてはいけません。
結局のところ「待つのも運用」ということになるでしょうか。
参考にしていただければ幸いです。
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