何気なく折々で目にする定期預金の金利。満期のたびに上がったり下がったり・・・ならいいのですが、最近では上がる事も少なく、概ね下がりっぱなしという残念な状況が続いています。
別の銀行で金利が高いものがあれば乗り換えようと思っていても、大手銀行の金利は全くの横並びですね。これでは乗り換える意味がありません。
そんな中でも比較的高金利で頑張っているのはネット系の銀行ですが、確かに昔からある銀行と比較すればはるかに金利は高いものの、ネット系の銀行内で比較すれば、やはりこちらも金利は概ね横並びとなっています。
定期預金の金利は以前は大蔵省が決めていたわけですが、現在は完全に自由です。となるともう少しバラツキがあっても良さそうなものですが、なぜこんなにも横ならびなのか、よくよく考えると不思議と言えるかもしれません。
では定期預金の金利はどのように決まるのでしょうか?
ファッション業界では年2回、世界的な「流行色大会」が開かれ、翌シーズンの流行色を決めるようですが、定期預金の場合はそうした談合(?)組織があるわけではなく、主に2つの金利を基に決定されます。その2つとは以下の通りです。
1.政策金利
2.市場金利
前者の政策金利は、まさに金融政策に基づき日本銀行が決定するもので、有名なものとしては公定歩合があります。これは日本銀行が民間銀行にお金を貸すときの金利で、主に短期金利の目安となります。
ただし、現在では公定歩合は名称変更され、役割としても低下してきていることから、実質的な政策金利は「無担保コール翌日物」金利となっているようです。何だかよく分からない金融用語ですが、ポイントは「翌日物」金利であるということですね。つまり期間1日の超短期金利ということです。
したがって政策金利=「無担保コール翌日物」金利は普通預金や、1年未満の定期預金など、期間が比較的短い定期預金の金利に大きく影響することになります。
次に後者の市場金利ですが、これは言葉通り、市場・・・といっても「いちば」ではなく「しじょう」と読みますが、金融市場にて、金融機関同士が資金をやり取りするときや、国債を売ったり買ったりするときの金利・値段によって形成される金利となります。
こちらはまさに、資金の需要や供給、あるいは投資家の思惑によって上がったり下がったりする金利ということですね。
ただし最近では、デフレを解消するために、日本銀行はこうした市場金利についても国債の購入などによって引下げを狙っており、その点では政策金利も市場金利もどちらもそれなりに日銀の意向が反映していると言えます。
この政策金利も市場金利も基本的には指標は1種類のみです。つまり5年ものの市場金利が仮に1%とすると、それ以外の市場金利は原則としてありません。これが何を意味するかと言えば、世の中の銀行はどこも同じ指標を見ているということです。
同じ指標を見ているので、自ずと、そこから算出される定期預金の金利も似たものとなるわけです。
さらに今は基本的に「金余り」時代。銀行からすればあまり積極的に預金集めをする必要はありません。むしろお金が集まりすぎると運用難になって困ってしまうこともありえます。そうした時代背景も、銀行同士の「金利の横並び」状態を形成しているものと思われます。大手の銀行と同じ金利にしておけば、お金が集まりすぎて困ることも、預金が流出して困ることもありません。
一方で、上記の通り、こうした低金利の中でも比較的がんばっているのはネット系の銀行です。ではなぜネット系の銀行は高金利の定期預金が出せるのでしょうか?それは、ネット系の銀行は店舗が全くないか、あまりないため、人件費などの固定費が安く済むからすね。経費が少なければ、金利を多少高くしても、儲けを出せる可能性が高まります。
加えて、ネット系の銀行はまだまだ顧客基盤を拡大するステージにあり、積極的に預金を集めることで顧客数を増やしたいというニーズがあることもこうした高金利の背景にあるものと思われます。
そうしたわけで定期預金の金利は、政策金利と市場金利を基にして、各銀行の思惑や、必要な経費によって決まっていく、ということですね。
ということはつまり、市場金利の動向をチェックしておけば、今後の定期預金の金利の動向も概ね予測できる、ということになります。最新の市場金利は
こちらにて解説しておりますので、併せてご利用ください。
>>>
最新の市場金利の動向と、定期預金金利はこちら
>>>
最新の定期預金比較/金利ランキングはこちら