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ブームの不動産投資・賃貸アパート経営は本当に儲かる?


不動産投資がブームとなっていますね。住宅の新築着工件数に関するデータを見ても、分譲住宅や持ち家の戸数が減っても賃貸住宅の戸数は伸び続けています。

具体的に2016年8月現在の新築戸数の内訳はこのようになっています。



「貸家」の供給が高水準で推移していることが分かります。

ではなぜこのように不動産投資が盛況かと言えば以下のような理由が思い浮かびます。

1.金利が低く不動産ローンが借りやすいから。

2.金利が低く運用難だから。

3.相続税対策として賃貸物件の活用が流行しているから。

以前であれば「外国人投資家」の存在も挙げられましたが、こちらは円高傾向になって消えたものと思われます。逆に言えば外国人投資家がいなくなっても人気が陰らないあたり、不動産投資の過熱感は相当なものなのかもしれません。

では果たしてこうした不動産投資、たとえば賃貸アパート経営などは儲かるのでしょうか?

結論から言えばなかなか厳しいでしょうね。ここからはいつもの話になってきますが、特に借り入れを伴う不動産投資で勝つのは不可能に近いのではないかと思います。

例えば1億円の賃貸アパートを建設することを考えてみます。建設費の内訳をこうします。

・5,000万円 : 建物
・5,000万円 : 土地

投資利回りは5%〜7%くらいでしょうか?というわけで間をとって収入は6%=年間600万円とします。

・収入 : 600万円

分かりやすく全額ローンで、不動産ローンの金利を3%×30年とすると、年間の返済額は504万円となります。

・ローン返済額 : 504万円

「なるほど年間、96万円の利益か!」と思った方は失礼ながら不動産投資をされるには準備不足と言えます。確かにキャッシュフローとしては+96万円ですが、キャッシュフローと利益は全く異なります。

分かりやすいのはローンで、「元本返済」は費用ではありません。「元本返済」はお金を不動産に「交換」しているだけで、それ自体に損得はありません。では費用は何かと言えば「利息」部分ですね。

ということで不動産投資の費用を列挙していくとこうなります。

・ローンの利息支払い
・建物の老朽化
・修繕費
・管理費
・税金

次にアパートの耐用年数はどれくらいでしょうか?30年では短すぎて、50年では長すぎるとすれば、40年くらいが相場でしょうか?ということで期間40年の損益を考えてみます。

まず収入は600万円×40年としたいところですが、築年数に比例して家賃が下がっていくことを想定すると、その半分が妥当でしょうか。つまりこういうことですね。

・家賃収入 : 12,000万円

ただし残念ながらこれは40年間、ずっと満室のケースですね。実際には借家ですから人の出入りがあり、結果的に「空室」が発生します。これを10%とすると実際の家賃収入はこういうことになります。

・家賃収入(空室率考慮) : 10,800万円

次に費用も考えていきます。

・ローンの利息支払い : 5,200万円
・建物の老朽化 : 5,000万円(40年後に建物が無価値となる)
・修繕費 : 50万円×40年=2,000万円
・管理費 : 30万円×40年÷2=600万円(家賃の5%)
・税金 : 20万円×40年=800万円
 =費用合計:13,600万円

それぞれの数字は適当ですが全体的には当たらずとは遠からずだと思います。

そして・・・思いっきり赤字ですね・・・やはり不動産ローンを活用した時点で損失は確定な気がします。

またこのケースでは投資金額の半分を土地としているためまだマイルドですが、仮に土地はすでにあって全額建物の場合、その損益はさらに悲惨なものになると思います。ご留意ください。

世の中にサラリーマン大家を名乗る方は多くいますが、本当に儲かっているかどうかは10年後や20年後に分かるのでしょうね。ちなみにこうした不動産投資は「15年後に赤字になる」というケースが多いようです。賃料が大きく下がるタイミングなのでしょうか?

したがってもしそうした「不動産投資家」の信用力を計りたければ「15年以上、投資を継続しているかどうか」を一つのモノサシとしても良いのかもしれません。

なお空室率を10%としましたが、実際にはもっと悲劇的かもしれません。タス社の調査によれば都心部の賃貸物件の空室率はこのように推移しているようです。



2015年ごろは概ね30%前後で推移していた空室率が足元では大きく上昇しているわけですね。

仮に空室率が30%台であれば、どんなにうまく経営しても黒字になることは永遠にないと思いますが、よく考えれば少子高齢化が進んでいるわけですし、金利が低いということは住宅ローンも安いわけで、賃借人がマイホームを購入してしまうことも多いと思います。

さらに需要が減っているのに供給がどんどん増えているということは・・・空室率が上昇するのも当然ですね!

やはり不動産投資が甘くないのは間違いなさそうです。

ちなみにこれまた別のコラムでご案内しているように、「ハウスメーカーが30年間一括借り上げしてくれる」といったことは何の気休めにもなりません。仮に家賃が下がれば、ハウスメーカーの保証金額も下がるからですね。ハウスメーカーが損失を負ってまで家賃を払ってくれるはずがありません。

そんなわけで記者自身は今のタイミングでの賃貸アパート経営などの不動産投資に対してはネガティブですが、では仮にどういう状況になればポジティブになるかと言うと・・・「震災」や「金融危機」のような理由で不動産市場が一気に冷え込むタイミングでしょうか。

そういう状況であれば瞬間的に不動産価格も大幅に下落するでしょうから、買いのチャンスがやってくるかもしれません。

もちろん「震災」にしても「金融危機」にしても来ない方が良いのは当然ですが。

参考にしていただければ幸いです。

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