先日の日経新聞の記事によれば、個人投資家の運用対象が、株式や債券といった伝統的な商品から、「ゴールド」や「ヘッジファンド」と言った非伝統的な商品(代替商品)に広がりつつあるとのことです。
個人的にはそうした動きを全く実感しませんが、まるっきりデタラメということはないでしょうし、商品の選択肢が広がることは悪いことではありません。
ただ・・・ヘッジファンドねぇ。
最近ではヘッジファンド全体の成績が低迷し、運用を停止するヘッジファンドの話も耳にします。要するに良いニュースを全く聞きませんので、タイミングとして今ヘッジファンドに投資すべきかどうかというのは慎重に検討した方が良さそうです。
そうしたわけですでに斜に構えている記者ですが、上記記事では具体的にヘッジファンドに投資できる投資信託の名前が紹介されておりましたので引用するとこれらのファンドです。
・コア投資戦略ファンド(安定型)/三井住友トラスト・アセットマネジメント
・マクロ・トータル・リターン・ファンド/三菱UFJ国際投信
・GCI エンダウメントファンド(安定型)/GCIアセット・マネジメント
もちろん、これだけでは何のこっちゃ分かりませんので、過去5年の運用リターンをそれぞれチェックするとこうなります。
・コア投資戦略ファンド(安定型)
6ヶ月 : 2.38%
1年 : 2.15%
3年 : 0.63%
5年 : −
・マクロ・トータル・リターン・ファンド
6ヶ月 : −7.78%
1年 : −
3年 : −
5年 : −
・GCI エンダウメントファンド(安定型)
6ヶ月 : −0.06%
1年 : 4.69%
3年 : −
5年 : −
要するに運用期間がまだ短すぎて、全然実績が伴っていないということですね・・・特に2つ目の「マクロ・トータル・リターン・ファンド」と3つ目の「GCI エンダウメントファンド」の過去6ヶ月の運用成績はマイナスですから、同じ時期に運用していれば「定期預金の勝ち」ということになります。
一方、1つ目の「コア投資戦略ファンド(安定型)」 は6ヶ月も1年も3年もプラスのリターンを維持しているわけですが、ただ最も長い期間3年のリターンは0.63%にとどまっており、それなら「定期預金で十分」という考え方もあるかもしれません。
さらにこうした運用の巧拙は特に相場の下落局面で計られるわけですが、リーマンショック以降過去8年の間、世界の株価は基本的に上昇してきました。とすると仮にプラスのリターンを維持していたとしても、それが運用の腕前によるものなのか、たまたま株価が上昇していたからなのか分かりません。
加えてより深淵な問題として、「株式指数(インデックス)の成績を上回るヘッジファンドは少ない」というものがあります。バカ高い手数料が必要なヘッジファンドの成績がインデックスの成績を下回るなら笑えませんが、そもそもそうしたバカ高い手数料がヘッジファンドの運用成績を下げているという話もあり・・・やっぱり笑えません。
というわけでアメリカNYダウ、そして日経平均のインデックスファンドと運用成績を比較するとこうなっています。
・(NEXT FUNDS)ダウ・ジョーンズ工業株30種
6ヶ月 : 24.45%
1年 : 26.77%
3年 : 14.42%
5年 : 20.11%
・インデックスファンド225
6ヶ月 : 13.92%
1年 : 20.91%
3年 : 10.15%
5年 : 15.97%
やはり・・・インデックスファンドの圧勝ですね!少なくとも過去5年の上昇相場においてはヘッジファンドを利用する必要は全くなかったと言えます。
もちろん「ヘッジファンド」とはリスクを「ヘッジ」するからこそ「ヘッジファンド」なのであって、株価の下落局面でこそその真価を発揮する、という言い分もあるかもしれません。上記3ファンドのうち2つは「安定型」ということですから尚更ですね。
もしかするとその指摘は正しいのかもしれませんが、ただ繰り返しになりますが半年や1年の運用成績だけではその真偽は分かりません。
2015年から2016年にかけて「世界同時株安」が起こりましたので過去3年リターンを見ればその実力の片りんが見えるのかもしれませんが、過去3年リターンで並べてもこうなっています。
・コア投資戦略ファンド(安定型) : 0.63%
・(NEXT FUNDS)ダウ・ジョーンズ工業株30種 : 14.42%
・インデックスファンド225 : 10.15%
つまりはインデックスファンドの圧勝です。インデックスファンドは本当に強いですねぇ。
一方、標題の「ヘッジファンドと定期預金のどちらが得か」という点では短期の成績はともかく、中長期的な成績という点では今のところ明確な結論が出ておりませんが、これはやはり定期預金が最も力を発揮する「金融危機」を乗り越えてみないと分かりません。
もしこうしたヘッジファンドの運用期間が10年以上あればリーマンショック前後での成績で比較できるわけですが、そうでない以上、根拠のない期待はできないですね。
リーマンショックから9年近く経過している点を考慮すると次の金融危機がいつ起こってもおかしくありません。これら「安定型」ヘッジファンドに興味がある方はそうした次の金融危機を待ってから投資の是非を検討しても遅くはないと思うのですかいかがでしょうか?
参考にしていただければ幸いです。
なお、今回のタイトルが「ヘッジファンドと定期預金、どっちがお得?(2)」となっていることからわかるように、(1)があるわけですが、それはこちらです。
>>>ヘッジファンドと定期預金、どっちがお得?
特に結論は変わっておりませんが、興味がある方は参照ください。
>>>最新の定期預金比較/金利ランキングはこちら
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