前回の書き出しと被りますが、先日の日経新聞の記事によれば、個人投資家の運用対象が、株式や債券といった伝統的な商品から、「ゴールド」や「ヘッジファンド」と言った非伝統的な商品(代替商品)に広がりつつあるとのことです。
個人的にはそうした動きを全く実感しませんが、商品の選択肢が広がることは悪いことではありません。
というわけで今回は前者の「ゴールド=金」について、その投資妙味をチェックしたいと思います。
まずそもそもゴールド=金の特性ですが、それ自体が利息を産んだり成長していくものではありませんので、株や国債などのように「放っておけば殖えていく」というわけではありません。
むしろゴールドの真価は「安全性・安定性」ですね。何といっても実物資産ですし、「錬金術」がないのは明らかですのでそう簡単に価値がなくなることはありません。国家が破たんしたり、ハイパーインフレになれば紙屑になる可能性がある「紙幣」と比べれば、かなり安心できる資産です。
ただゴールドも他の実物資産と同様、ドルベースで取引されておりますので、円高になれば安く、円安になれば高くなります。 つまりFXや外貨預金などと同じようにうまく為替変動を味方につければキャピタルゲインを得ることも可能となります。
そして2017年4月現在の為替相場は1ドル=110円前後とやや「円安水準」と言えます。その点では今、ゴールドを買うのはあまり良いタイミングではありませんね。これからゴールドを買おうとされている方はもう少し円高局面を待った方が良さそうです。
ちなみにこれまでのゴールド価格の推移はこのようになっています。
茶色が田中貴金属のゴールド価格の推移ですが・・・ただこうしてみると足元では必ずしも高いというわけではなさそうですね。過去5年間で見ると最安値はおそらく4,089円、最高値はおそらく4,910円。現在の4,500円前後という水準はちょうどその中間と言えます。
グラフを見てみるとゴールド価格が高かったのは2013年前後と2015年前後ですが、前者はそもそもドル建てのゴールド価格が上昇していたタイミングであり、後者は今より円安だったタイミングですね。
そう考えると、ドル建てのゴールド価格が落ち着いており、一時よりも多少円高に戻っている現在、円建てのゴールド価格がそこまで高くないのも当然なのかもしれません。
もちろん「そこまで高くない」からと言って「今、買うべき」とは思いませんが・・・。
それはともかく具体的にゴールドに投資するとどれくらいのリターンになっているか気になるところですが、上記日経新聞の記事で紹介されていた投資信託は以下2本です。
・金ETF「金の果実」/三菱UFJ信託銀行
・スマートファイブ/日興アセットマネジメント
後者は「国債・高配当株・金・世界のREITに投資」ということですので必ずしも「ゴールドファンド」ではありませんが、せっかく紹介されておりますので両方の運用実績をチェックするとこうなっています。
・金ETF「金の果実」/三菱UFJ信託銀行
こちらはETFのためか明確なリターンは計算されておりませんでしたが、過去5年の価格推移はこのようになっています。
当然かもしれませんが田中貴金属での価格推移とそれほど大きな差はなく、4,300円前後で推移しており、売買益=キャピタルゲインを得るのは難しい状況だったと言えそうです。
次に「スマートファイブ/日興アセットマネジメント」のリターンはこうですね。
6ヶ月 : 1.72%
1年 : 0.72%
3年 : 4.39%
5年 : −
こちらはきっちりプラスのリターンを計上しておりますが、上記の通り「国債・高配当株・金・世界のREITに投資」とのことですので、ゴールドの成績とは言えません。
ということで純粋なゴールドファンドを探してみると以下のようなファンドが見つかりました。
・三菱UFJ純金ファンド「ファインゴールド」/三菱UFJ国際投信
6ヶ月 : 2.34%
1年 : −0.97%
3年 : 0.27%
5年 : −0.47%
・ピクテ・ゴールド/ピクテ投信投資顧問
6ヶ月 : −7.18%
1年 : −8.22%
3年 : −1.90%
5年 : −2.09%
ピクテの方は為替ヘッジを行っているようなのでより実態に近いのは「ファインゴールド」の方だと思いますが、こちらも結局は勝ったり負けたりであり、さらに最も長い5年ではマイナスリターンというのが渋いですね・・・。
やはり「ゴールドに投資すれば儲かる」というわけではなく、あくまで「ゴールド投資」は、「より安全な資産に資金を移したい人向け」ということなのでしょう。
その点では「定期預金よりも安心できる商品」と言ってもいいかもしれません。定期預金と違って為替相場や市況次第では元本割れのリスクがあるわけですが・・・。
ちなみに、そのように「安全性」にフォーカスするのであれば、上記のようなETFやファンドではなく、「現物のゴールド」を買い付けるべきなのでしょうね。国家が破たんするような状況の時には運用会社の経営も傾いているでしょうから、本当にゴールドを手に入れられるかは分からないからです。
もちろん「現物のゴールド」を手元に持っておくと今度は窃盗などの新たなリスクが生まれるわけで、そちらの対策も必要になってくる点は指摘しておきたいと思います。
参考にしていただければ幸いです。
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