総務省が14日発表した2009年の家計調査(2人以上の世帯)によると、1世帯あたりの平均貯蓄残高は前年比2・5%減の1638万円で、4年連続で減少した。
このうちサラリーマン世帯は、同3・8%減の1203万円だった。リーマン・ショック以後の株価下落で、有価証券の保有残高が6年ぶりに減少したのが大きな要因だ。
一方、住宅ローンなどの負債残高は、同3・8%減の479万円で、サラリーマン世帯は同1・4%減の643万円だった。総務省は「景気低迷で住宅や土地を買う人が少なくなったため」と分析している。
サラリーマン世帯を世帯主の年齢別に見ると、30歳未満と30〜39歳は、負債残高が貯蓄残高を23万円、153万円それぞれ上回った。一方、40〜49歳では182万円、50〜59歳で1055万円、60歳以上で1774万円、それぞれ負債残高よりも貯蓄残高が多かった。
1世帯あたりの平均貯蓄残高が4年連続で減っているようですね。なかなか切ないニュースです。
記事では主因としてリーマン・ショック以後の株価下落で有価証券が目減りしたことを指摘していますが、リーマン・ショックは2008年の夏ですので、それで説明できるのは2008年と2009年のこの2年だけで、その前の2年間は株価は好調だったことを勘案すれば、「4年連続で減少した」のはなぜでしょう?
これをどのように捉えるべきかは分かりませんが、少子高齢化が進み、さらにこの数年は人口統計的に「こぶ」となっていた「団塊の世代」が順次、退職していっていることを考えれば、貯蓄に励む現役世帯と貯蓄を取り崩す定年世帯の比率は、当然、定年世帯の方が多くなるわけですから、世帯平均の貯蓄残高が減るのは無理からぬことなのかもしれません。
一方で、「定年世帯は貯蓄を取り崩す」というステレオタイプな考え方も本当に正しいのかどうはよくわかりません。子供も巣立ち、収入も出費もほぼ安定しているわけですから、やはりその範囲内で生活するほうが一般的な気がします。貯蓄が減っていくのはやはり不安ですからね。
そんなわけで平均ではなく家計全体の貯蓄残高を見てみると、こういうことになっていますね。
日本の個人金融資産
・2006年 1,553兆円
・2007年 1,521兆円
・2008年 1,421兆円
・2009年 1,456兆円
確かにここ数年減少しているようですが、昨年度は少し回復したようですね。このあたりは株式相場と連動していそうです。
この中で気になる現預金はと言うと
日本の個人現預金
・2006年 778兆円
・2007年 785兆円
・2008年 792兆円
・2009年 804兆円
と確実に増加しています。
日本の世帯数が大きく増加していることはないでしょうから、そういう意味ではまだ「貯蓄が減っている」という感じではなさそうですね。「4年連続減る」と言っても、あまり現段階で悲観する必要はなさそうです。
とはいえ、上記の通り少子高齢化の進展など人口動態が確実に変わってくる中で、家計の貯蓄状況も当然、影響を受けます。平均額はともかく全体の金融資産だったり現預金が減ってきたりすると、いよいよ日本に危機がやってきますね。そうなっても困らないよう、しっかり備えをしておきたいものです。
ちなみに上記記事ではこういうグラフも紹介されています。
悲しいかな、39歳以下の世帯では、貯蓄より負債の方が多い「債務超過」の状態ですね。マイカー購入やマイホーム購入など何かと出費が多い世代ですから仕方ないかもしれませんが、こういう負債が多い状態というのは、「経済危機」の時には防御力が弱くなりますね。
繰上返済などを活用し、できる限り早く返済を進めたいものですね。言うは易し、行うは難しですが・・・。
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