「断捨離」を家計のやりくりに応用する
クラター(がらくた)コンサルタントのやましたひでこさんが提唱する、新しい片づけ法「断捨離」が話題を集めています。
一般に、片づけ法というと、たとえば、細かいモノは箱やカゴを使って小分けするとゴチャつかないとか、突っ張り棚やコの字ラックを使うと空間をムダなく使えて、収納スペースが増えるなど、「モノありき」の考え方が主流です。今、家にあるたくさんのモノたちをいかに使い勝手よく、さらに見た目よく収めるかに主眼が置かれています。
「断捨離」の片付け法は、こういった収納法や片づけテクとは、明らかに一線を画します。片づけを思い立って、まず一番にすべきことは、今あるモノの要・不要を見極め、必要なモノだけを残して、不要なモノを減らすこと。モノが少なくなれば、ややこしい収納や面倒な片づけから解放されるという発想です。つまり、「断捨離」すれば、片づけがラクチンになるというわけです。
「断捨離」やりくりでお金を使う生活とサヨナラする
この発想を家計のやりくりに当てはめたら、どうなるでしょうか? 「モノ=お金を使うこと、お金を使う機会」と考えます。
断:家の中に入ってくる不要なモノを断つ。
→必要のない出費を断つ。
どうしても欲しいわけでも、必要でもないモノを買う、安いからという理由で買う、退屈しのぎにネットショップ・サイトを開く、コンビ二、ドラッグストア、乗り換え途中の駅なかショップにフラリと寄る、あまり気がすすまないけど"付き合い"なのでご飯に行く……を止めます。
捨:不要なモノを捨てる。
→買ったのはいいけれど、使っていないモノ、この先も使わないモノを捨てる。
クロゼット、タンス、押入れ、靴箱、冷蔵庫の中、冷蔵庫の上、食器棚の中、食器棚の上、シンクの収納棚、テレビ台のラック、固定電話のまわりなどをチェックして、不要なモノ=ムダ使いの証拠を捨てます。捨てるときの「もったいない」「お金をムダにしてしまった」という罪悪感を体験することで、次から余計なモノを買うブレーキになります。
離:モノへの執着から離れる。
→お金を使う生活から離れ、モノを買わずに済ませるにはどうしたらいいかを考える。
手作りできるモノは作ってみる。ないモノは他のモノで代用してみる。なくても、なんとかならないか工夫してみるなど。
「無買デー」=買わない日を作る。「今日は、財布を開かない」と決め、まる1日お金を使わないようにします。通勤は定期券があれば、お財布を開くことはありません。ランチは手作り弁当にします。ペットボトル飲料は買わずに、水筒や空ボトルに水やお茶を入れて持参。仕事が終わったら、まっすぐ帰宅。目的なくコンビ二に寄るのはNG。帰宅後は、冷蔵庫の在庫整理のつもりであるモノで夕飯を作ります。
以上のような「断捨離」やりくりで、お金を使うこと自体を減らしていきます。お金を使わなければ、面倒な家計簿をつける必要もなく、家計管理がずっとラクになります。さらに、あれも欲しいし、これも買いたい……どっちにしよう?と迷うことも、給料日前のお金がないストレスからも解放されるはず。
お金を使わない生活のスッキリ感を体験する
「断捨離」の著者は、「『断捨離』の目的は、モノと自分との関係を見直すことにある」と述べています。「家の中が片づかないのは、やる気がないわけでも、片づけ方が下手なわけでもなく、自分にとって必要なモノと不要なモノを見極める感性が鈍っていることにある」と。「断捨離」でモノと自分との関係を見直すことで、その感性を取り戻すことができるというわけです。
同じように、やりくりに「断捨離」を実行すれば、自分のお金の使い方を見直すことになります。自分にとってお金を使う本当に価値のあることやモノが見極められれば、不要な出費は自然と減るはず。
また、お金を使うことは、判断を要することでもあります。買うか買わないか、どっちを選ぶか、いくらまでの出費なら許されるのか、今お金を使ったら今月の生活はどうなるのか……など。お金を使うたびに、こういった判断を強いられることは、知らず知らずのうちにストレスになっていることも。お金を使わないと決めれば、使うことに伴うストレスから解放されます。
さらに、お金を使う機会が減れば、ズルズルとお金を使っていたときよりも、はるかにお金を使うことを意識するようになるはず。そうなれば、本当に必要なことやモノにお金を使う=ムダ使いがなくなります。今まで買ってすませていたとこが、買わずになんとかなった。買わなくても、意外とへっちゃらな自分を発見したり。
家の中に不要なモノがない生活がスッキリ快適なように、ムダ使いのない生活も清々しいもの。「断捨離」やりくりは、試してみる」価値がありそうです。
「断捨離」という片付け方法が話題を集めているそうです。正直、記者は聞いたこともありませんが、ネットで検索してみるとNHKのクローズアップ現代でも取り上げられたそうですから、それなりの知名度がある、ということでしょうか。
上記記事では、「モノを片付ける」のではなく「モノを捨てていく」整理法法ということですが、今ひとつピンときません。そのクローズアップ現代のサイトから引用するとこういう説明がなされています。
・今、「断捨離」という考え方が注目されている。ヨガの「断業」、「捨行」、「離行」という考え方を応用、不要なモノを断ち、捨てることで、モノへの執着から離れ、身軽で快適な生活を手に入れようというものだ。10年ほど前、金沢市に住む主婦が提唱し、ブログを通して広がった。断捨離は、単なる整理術ではない。身の回りをスッキリさせることで、心の混乱も整理し、前向きな自分に生まれ変わりたいと、子育てに追われる専業主婦や働き過ぎの若者、親の遺品の整理に疲れ果てた50代女性など、年代を問わず断捨離にはまっている。
うーん、単に不用なものを捨てる、というのと何が違うのでしょう?
この断捨離という考え方は上記やましたひでこ女史が提唱したもののようですが、別のコラムではこのようにコメントされておりました。「家の中にあふれているモノの多くは、“今の自分”に必要ないもの。それに囲まれていることによって、人は知らず知らずのうちに、“過去の自分”や“未来への不安”にとらわれているのです」。
上記記事でも断捨離について、次のような副題がついております。
「断」家の中に入ってくる不要なモノを断つ。
「捨」不要なモノを捨てる。
「離」モノへの執着から離れる。
どうやら単なる整理整頓や不用品の処分だけでなく、「モノへの執着から離れることによって、“過去の自分”や“未来への不安”からも離れる」という精神的な境地に至ろうとする部分が、他の整理整頓方法とは違うのかもしれませんね。ある意味、煩悩から離れ、悟りの境地に近づこうとする、仏教的な考え方に近いのかもしれません。
そんな奥深そうな「断捨離」の世界ですが、上記記事ではこれを家計のやりくりに応用できないか思案しております。具体的には以下のような方法ですね。
断:家の中に入ってくる不要なモノを断つ。 → 必要のない出費を断つ。
捨:不要なモノを捨てる。 → 買ったのはいいけれど、使っていないモノ、この先も使わないモノを捨てる。
離:モノへの執着から離れる。 → お金を使う生活から離れ、モノを買わずに済ませるにはどうしたらいいかを考える。
どれも節約には大切ですが、断捨離という考え方からするとちょっと強引ですかね?よりコンセプトに近づけるとこんな感じでしょうか。
断:家の中に入ってくる不要なモノを断つ。 → お店やレストラン、飲み会など、出費が伴う場所には最初から近づかない。
捨:不要なモノを捨てる。 → 不要なお金は持ち歩かない。キャッシュカードやクレジットカードも持たない。
離:モノへの執着から離れる。 → お金への執着から離れる。お金を使わずに楽しむ方法を考える。
なかなかいい感じではないでしょうか?ただ、本来の断捨離の考え方がもつ「モノへの執着から離れ、身軽で快適な生活を手に入れる」という、「悟り」の趣がないですね。
そもそも「モノへの執着から離れること」=「節約・倹約」につながるわけですから、「離」については変に読み替えず、そのままでいいかもしれませんね。
年末に大掃除をした人も多いと思いますが、新年は自分のマネースタイルの大掃除をしてみてはいかがでしょうか。
ただみんながみんな悟ってしまうと、なかなか景気が上向かないかもしれませんが・・・。
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