米国のニューヨークタイムズ誌が、『SETSUDEN』(節電)を社説の題材に選ぶほど、日本で行われた今夏の節電は、世界でも注目を集め、評価されたようです。企業はもちろん、私たち一人一人の意志と努力と行動力で、なんとか暑い夏を乗り切り、やっと冷房のいらない過ごしやすい季節が到来しました。と思いきや……すでに冬将軍が待ち構えている様子。今のうちに暖房の上手な節電方法を心得ておきたいものです。
そうした中、今回ご紹介する一冊は、節約アドバイザ―の丸山晴美さんが書かれた『節約の作法』です。本書には55の「節約の作法(知恵)」が記されています。節電に関して言えば、「作法44」に節電の具体的な方法が、「作法45」に冬の暖房効率の高め方がまとめられています。
これらは、今すぐ実践できる「節約(=節電)の知恵」ですので、まず最初にお読みいただきたい箇所です。もちろん本書の狙いは、節電だけではありません。基本テーマは、なかなか所得の増えない昨今、無駄を省き節約することで、「まずは年100万円を貯金する」。そして、貯めたお金で目標や夢を達成させるというところにあります。つまり、「節約しながら豊かな人生を送りましょう!」ということをテーマにしているのです。
「節約=ケチ」ではない
実は私、正直なところ「節約」という言葉にあまりポジティブなイメージを持っていませんでした。どうしても「節約=ケチ」という印象があり、「あれもダメ」「これもダメ」といった形で、いろいろなことをあきらめて、日々の生活が味気ないつまらないものになってしまう…そう思っていました。ですが、本書の「作法13・14・15」を読み、「節約=ケチ」ではないことを教えられました。
・節約は他人に不快感を与えてはなりません。 よく節約とケチを同義語として使う方がいますが、他人に不快感を与えるような節約は、節約ではなく「ケチ」なのです。(「作法13」より抜粋) .
・節約は無駄を省くこと、ケチはやみくもに出費を惜しむこと。節約とケチは全く異なるもの。(「作法14」より抜粋) .
・貧乏である理由の一つは、「お金にだらしない」ことです。収入以上に使ってしまう。一方、私はこれまで仕事の縁で、さまざまなお金持ちに出会ってきました。その経験からしても、成金ではない本当のお金持ちは、質素な生活を送っています。資産が数億円はあろうかというお金持ちこそ節約しています。お金の大切さを知り無駄遣いをせず、しかし使うべきところではきちんと使います。この基本がお金を生む良い循環となるのでしょう。(「作法15」より抜粋) .
上記の内容について、取材に応じてくれた著者の丸山さんは、自身の経験をもとに、こう解説してくれました。
「私が節約アドバイザーとして活動し始めた理由の一つは、多くの皆さんに『節約=ケチ』ではなく、『節約=楽しい』を広めていきたいと思ったからなのです。私は22歳で節約に目覚めました。それまではギャンブル好きの浪費家。節約なんて考えたことがありませんでした。ですが、22歳のある日、一軒の輸入住宅を目にしたとき、『どうしても住宅が欲しい!』という思いが湧きたち、突如「住宅購入」という夢と目標ができたのです。
当時、年収350万円に満たない状況で一人暮らしをしながら、1年で200万円を貯めることができ、貯金額は4年で600万円になりました。それを頭金にして、ついに26歳でマンションを購入できたのです。節約していくことで、禁欲的になるどころか、逆に欲しいものが買えるようになり、実生活でも仕事でもゆとりができて、人生が好転するようにもなりました。節約って本当に楽しいんですよ!」
確かに、丸山さんの言葉にある通り、節約を重ね、その努力の結果、「住宅購入」という夢がかなえられたのなら、後から考えれば節約は楽しいものと言えるのかもしれません。ですが、問題はその過程です。お金が貯まるまでの禁欲的であろう日々は、私のような意志の弱い人間には、辛くてたまらないのではないだろうか? そんなふうに思えてならなかったのです。しかし、その解決策が「作法54」に記されていました。
・節約も人生も楽しまなければ損です。年100万円貯めるには「予算」があります。しかし、これしか使えない「制約」とマイナスに捉えるか、それとも限られたなかでどれだけコストパフォーマンスにあふれるものを買えるかと、前向きにゲーム感覚で捉えるかは、大きな違いです。
(中略)私はドラゴンクエストにハマった"ドラクエ世代"。ドラクエがお金の思考回路を築くのに役立ちました。(中略)敵を倒してゴールドを獲得(給料をもらう)→無駄遣いをしない(節約する)→装備を充実させる(よりベストなものを購入する)→(中略)ラスボスに打ち勝ち平和を取り戻す(貯めたお金で夢や希望を叶え幸せに暮らす)私はお金を貯めるとき、何かを購入するときは、ドラクエのことを思い出します。(「作法54より抜粋」)
たとえ100円でも「100円も貯まった」と楽観的に考える
上記について、さらに、丸山さんがコメントして下さいました。
「たとえ節約で残ったお金が100円でも、『100円しか貯まってない』と悲観的に考えるか、『100円も貯まった』と楽観的に考えるかで、節約の効果は違ってきます。『100円も』と前向きにとらえられる人は節約ができる人です。また、どんぶり勘定で浮いた100円と、計画的にやりくりした100円とでは、その価値は違ってきます。大切なのは、お金をどのように使うことが自分にとって有意義で有益なのか、その都度よく考えること。その習慣を身につけることで、お金の価値、お金のありがたみ、さらには、お金への感謝の気持ちが高まってくるのです」
丸山さんは、このようにしてお金の価値観を常に磨き続けてきました。今ある30代の幸せのために、20代は楽しみながら節約に励み、なんと今は、60歳を迎えたときの幸せのために、楽しみながら節約生活を送っているというのです。
いやはや、私も見習いたいものです。整理すると、節約はそれ自体が目的ではなく、あくまでも、夢や目標を達成するための手段であるということ。足元をしっかりと見つめ、今後のライフプランを立てられるよう、まずは年100万円貯金することから始める。スタートはそこからとなります。具体的な方法については、本書の「作法1」から始まる前半部分に実例が記されていますので、ぜひご一読ください。「節約=ケチ」「節約=禁欲」ではないと分かった私も、今日から、「節約」を楽しみながら実践します!
以前もご紹介した、経済キャスターによる書評シリーズ。今回は「節約の作法〜年100万円必ず貯める55の知恵」を取り上げております。
記者はよくこちらのコラムで「節約」に関するネタをご紹介しておりますが、正直に申し上げて、こういった「節約本」というのは読んだことがありません。主に参考にしているのはネット上の記事でして、それだとせいぜいハウツーは3〜10程度に留まります。
仮に100ページにわたるネット上の記事があっても誰も読まないですよね?多分・・・。
上記著作は「55の知恵」ということですから、55のノウハウがあるのでしょう。実際にこういう本を読んだほうが自分にピッタリの節約方法が見つかるのですかね?記者は読んだ端から忘れる方ですので、一気に55の奥義を教えてもらうよりは3〜10の方法を繰り返し繰り返し、手を替え品を替え刷り込んでくれるほうがいいですけれど。
機会があれば読んでみたいと思います。
それはさておき本題に入りまして、具体的に紹介されている知恵を要約すると以下の通りです。
・節約は他人に不快感を与えてはなりません。 よく節約とケチを同義語として使う方がいますが、他人に不快感を与えるような節約は、節約ではなく「ケチ」なのです。
・節約は無駄を省くこと、ケチはやみくもに出費を惜しむこと。節約とケチは全く異なるもの。
・貧乏である理由の一つは、「お金にだらしない」ことです。収入以上に使ってしまう。一方、私はこれまで仕事の縁で、さまざまなお金持ちに出会ってきました。その経験からしても、成金ではない本当のお金持ちは、質素な生活を送っています。お金の大切さを知り無駄遣いをせず、しかし使うべきところではきちんと使います。この基本がお金を生む良い循環となるのでしょう。
・節約も人生も楽しまなければ損です。年100万円貯めるには「予算」があります。しかし、これしか使えない「制約」とマイナスに捉えるか、それとも限られたなかでどれだけコストパフォーマンスにあふれるものを買えるかと、前向きにゲーム感覚で捉えるかは、大きな違いです。
どうでしょう?少なくとも上記抜粋は具体的なノウハウというよりは心構えに近いものですね。
その中身ですが、節約とケチが違うのかどうかは分かりませんが、「他人に不快感を与えるような節約は、節約ではなくケチ」という定義や、「節約は無駄を省くこと、ケチはやみくもに出費を惜しむこと」という切り分けは正直、あまりピンときません・・・。
そもそも節約にせよ、ケチにせよ、他人に不快感を与えるというイメージはありませんし、「無駄を省くこと」と「やみくもに出費を惜しむこと」は、言葉の違いこそあれ、具体的な行動となったときにどう違うのかよくわかりませんね。
むしろ、この本の作者の方がインタビューでいみじくも答えているように、「夢と目標」があるかどうか、という差が大きいような気がしますね。「夢と目標」がある場合は「節約」、何の目標もなく、ただお金を貯めることが目的なのが「ケチ」という切り分けであれば、もう少しスッと理解できる気がします。
お金は貯めるためにあるのではなく、使うためにあるわけですからね。何か大きな目標があって、それにむけて節約し、貯金をするのは、自分にとっても、周りから見てもポジティブなものになるのではないですかね。
後段の「節約も人生も楽しまなければ損」というのはまさにその通りでありますが、ゲーム感覚でとらえるだけでなく、そうした「夢と目標」があることでより楽しくなるような気がします。
周りからも浮かないでしょうし。
というわけで節約に本腰が入らない方はまずは「夢と目標」を持つことからはじめてもいいかもしれませんね。作者の方は「輸入住宅」が夢のキッカケになったようですから、まずは住宅展示場に行くのもいいかもしれません。
ちなみにまたまた、「成金ではない本当のお金持ちは、質素な生活を送っています」というフレーズが出てきましたね。本当にそうなのでしょうか?ぜひ大金持ちになって、自分がどうなるのか検証してみたいと思います(笑)。
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