日本の金利が大きく低下して久しいですね。恐らく95年あたりから低金利が続いていますので、多少の変動はあるにせよ、かれこれ20年近く金利は低いまま、ということになります。
20年!バブルを知らない人も増えてきているわけですが、金利が高かった時代を知らない人も増えているのでしょうねぇ。
さてそうした「運用難」の中で続発したのが、いかがわしい運用ビジネスでありまして、ネズミ講的なものはあまり聞かなくなりましたが、ビジネスの出資を募るものが出てきました。
ぱっと思い出すのは「近未来通信」でしたっけ?IP通信システムに出資すれば、かなりの配当がもらえるというものでしたが、実際にはほとんどサービスが提供されることなくあっさり破綻し、実際にはほぼ詐欺状態であることが判明しました。
和牛商法も、和牛に出資すれば配当がもらえるという仕組みでしたが、そのほとんどが詐欺に近いもので、最近では最大手だった安愚楽牧場もついに破綻し、やはり運用実績が虚偽だったことが分かっています。
AIJ投信も、ビジネスへの出資を募るものではありませんでしたが、虚偽の運用実績でお金を集めていた、という意味ではいかがわしい運用ビジネスだったと言えます。
たださすがにこうした商法も徐々に減ってきた気がします。消費者もそれなりに警戒心が出来てきたと思いますし、マスメディアもこうしたビジネスの広告を掲載したり、紹介したりしなくなりましたね。
こうした詐欺的な商法に引っかからないためには、結局のところ、世の中には「旨い話はない」ということを肝に銘ずることに尽きますね。日本は空前の金余り。しっかりした会社であれば、銀行から低金利でいくらでも借りることができます。個人から高い利回りを約束して資金を集める必要は全くありません。
高い利回りには通常、それに見合うだけのリスクがあり、仮にそうしたリスクが書かれていない場合には「騙されるリスク」があるという理解が必要ですね。
さて今回取り上げた上記コラムでは、アゼルバイジャン国際銀行の定期預金が紹介されています。金利は何と最大20%ということですね。日本の金利と比較すれば驚くべき高金利ということになりますが、これにはどういったリスクがあるのでしょうか?それとも何かいかがわしい金融商品なのでしょうか?
早速、こうした定期預金を仲介している業者のHPを確認していくとさすがに20%ということはなく現在は11%〜16%ということです。それでも結構高いですね。
また気になる為替リスクも、「米ドル建て」ということなのでそれなりに安心できそうです。
しかし。
繰り返しになりますが、高い利回りにはそれに見合うだけのリスクがあります。ではどういったリスクがあるのでしょうか?
端的に分かりやすいのが格付けですね。アゼルバイジャンの格付けはBBB−です。一般的に投資できると言われているのは「BBB以上」ですのでそのギリギリのところにいるのが分かります。
しかもこれはあくまで国の格付けですので、その国の銀行や会社の格付けはそれより下がるのが一般的です。つまりアゼルバイジャンの銀行の信用力はBBB未満の「投資不適格」の可能性が高いということですね。
ちなみにBBB未満の信用力の低い債券は「ジャンク債」と呼ばれていますが、それであれば米ドル建てでも結構、高金利なものはあるんじゃないですかね?わざわざアゼルバイジャンの銀行を選ぶ必要はあるのでしょうか?
加えてアゼルバイジャン国際銀行の経営状態もよく分かりません。もしかすると不良債権まみれで破綻寸前かもしれませんし、乱脈経営で経営が傾いている可能性もあります。
あるいは経営者が破綻覚悟で高金利でお金を集めて私腹を肥やしている可能性すらゼロではありません。何せどういう銀行なのか一切分からないわけですからね。
米ドルの金利は今、概ね2%前後でしょうか?ということはこの銀行の金利が11〜16%なので、上乗せされている「9〜14%」は破綻リスク分ということになります。信用リスクというのはそういうことですね。
残念ながら、われわれ素人からすると、この「11%〜16%」という金利が本当に信用リスクに見合った適切な金利なのか判断できません。もしかすると、本当はもっと高い金利じゃないと、その信用リスクに見合っていないのかもしれませんね。
唯一言えることは、この金利は決して「おいしい話」ではない、ということですね。もし本当においしい話なら、世界中のヘッジファンドや運用ファンド、機関投資家が預金をしているはずで、わざわざ極東のわれわれに預金のチャンスなど巡ってくるはずがありません。
もちろん、何が何でもリスクを取ってはいけないということではありませんし、時にリターンを狙って、積極的にリスクを取りにいく場合もあると思います。
ただ少なくとも、リスクがよく分からない時にリターンにだけ目がくらんで投資するのは良くないですね。しっかりリスクを把握してから判断すべきですし、逆に最後までリスクがよく分からない場合は手を出さないのが無難です。なんと言っても「虎の子」なわけですからね。守ることも大切な資産運用だと言えます。
ちなみにこのアゼルバイジャン国際銀行を仲介していた業者の1つはすでにサイトをたたんでしまったようですね。
参考になさってください。
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