先日もご紹介した「怪しい儲け話」ですが、今回は某不動産ファンドに関わるコラムを取り上げてみたいと思います。
預金金利が歴史的な低水準に落ち込む中で、誰しも少しでも有利な運用先がないか、日夜情報収集されているところではないかと思いますが、そうした預金者の運用ニーズに目をつけて広がりつつあるのがファンド型の怪しい投資商品です。
もちろん真面目に運営されているものもあるとは思いますが、資産運用がなかなか難しい現状では、どれだけスキルがあっても驚くようなリターンを手にすることは難しく、全般的には苦戦を強いられているところがほとんどだと思われます。
逆に高い利回りを誇示しているところはやはり「かなり胡散臭い」といわざるを得ません。
実際のところ上記コラムによれば「ファンド詐欺」関連の相談件数が年々増えているようで、国民生活センター宛ての相談数は以下のようになっています。
・2009年 : 2,993件
・2010年 : 7,046件
・2011年 : 18,268件
倍々ゲーム以上のスピードで相談件数が増えているのですね!気になる動きです。2011年は最大の和牛商法詐欺となった安愚楽牧場が破綻しましたので、その影響で相談件数が押し上げられた面はあるのかもしれませんが。
加えて、以前はこうした怪しい儲け話の被害者は高齢者でしたが、最近はSNSなどを利用して、20代・30代を集めるなど低年齢化が進んでいるようです。こうした詐欺は他人事だとばっかり思っていたら、自分が被害者になっていた、なんてことも十分考えられます。年齢に関わらず注意が必要ですね。
さてそのようにファンドを装った詐欺商法が目に付く中で、上記コラムの通り、「みんなで不動産オーナーになろう」と出資者を募っていた某不動産投資ファンドが、東京都と大阪府からそれぞれ行政処分を受けて30日間の業務停止中のようです。
記者自身がこの不動産投資ファンドが詐欺に近いものなのかどうかは全く存じ上げませんし、処分内容自体も契約書の記載漏れということですので、これ自体は恐らく軽微なものと思われます。問題はここから更に経営内容にまでメスが入るかどうか、ですね。注目したいと思います。
この不動産投資ファンドは「元本保証に近く、想定利回りが7%前後」ということが謳い文句だったようですが、もし仮に記者がこのファンドへの投資を検討するとすればどうするでしょうか?
それはもう一にも二にもリスクがどこにあるか探ると思います。まず理論的に「元本保証で7%の運用」というのは日本ではありえません。10年ものの国債の金利が0.8%という時代ですからね。1年もの定期預金で高くても0.3%です。本当に元本保証なら1.0%でも十分すぎる資金が集まるはずです。
加えて、もしこの投資にリスクがないor少ないのであれば、銀行から低金利でいくらでもお金を借りることができます。今や空前の金余り時代ですからね。銀行は貸出先を血眼になって探しております。やはり1.0%でも金利を払えば喜んで貸してくれるのではないでしょうか?
さらにこの事業では不動産という担保まであるわけで、お金を借りる条件がそろっています。
だとすればなぜわざわざ7%という配当をしてまで個人から資金を集めているのでしょうか?
それはやはり、銀行から低金利でお金を借りられない、何らかのリスクを内包しているからですね。事業そのものにリスクがあるのかもしれませんし、あるいはそもそも事業そのものの実態も怪しく、自転車操業を続けるために資金集めを続けている可能性も十分あります。
確かにチラシなどを見ると、不動産の賃料収入が10%近い投資物件がないわけではありません。ではなぜこうした投資物件にみんなが飛びつかないかといえば実質的な利回りはウンと低いからですね。
まず建物自体が老朽化していきますので、その価値の目減りを計算に入れておく必要があります。仮にあと10年しか貸せない物件であれば、単純計算では毎年10%ずつ価値が減っていくわけで、賃料収入が10%あっても利益は出ません。
それから借りてくれる人が未来永劫、借りてくれるとは限りません。仮に賃借人が出て行けば「空室」が発生する事になります。もちろんその間は収入はゼロです。
加えて、賃料自体も今の水準を維持することは不可能です。建物が老朽化していけば当然、賃料は下げざるを得ませんし、デフレの時代ですからね。仮に建物の価値を維持しても値下げ圧力はずっと吹き続けることになります。
そうした点も考えれば仮に賃料収入が10%近い投資物件でも、10年・20年といった期間でのリターンを考えれば・・・まぁ、うまくいって2〜3%とかそんな感じではないですかね?
そんなわけでやはり「元本保証に近く、想定利回りが7%前後」はありえず、あるとすれば大きなリスクが隠されているか、あるいは詐欺、ということですね。
同じような不動産ファンドで、もっと透明性の高いものとしてはREITがありますが、こちらはリーマンショック以降の地価と物件価格の下落で大きな損が出ています。不動産投資の実態としてはこちらの方が正確ですね。
ちなみにこのファンドを運営している会社の決算書を見てみると、資本金が6億円、総資産97億円に対して、売掛金が31億円、長期未収入金が17億円ということになっています。なんでこんな多額の売掛金や長期未収入金が出るのでしょうか!?
7億円程度の貸し倒れ引当金は積んでいるようですが、それでも売掛金や長期未収入金の一部が回収不能になればあっと言う間に債務超過に陥ります。かなり体力の弱い会社のように見えますがどうなのでしょう?少なくとも、土地や建物をたくさん持っている「大家」というイメージからはほど遠い資産内容となっています。
いずれにしてもノーリスク・ハイリターンなどこの世にありませんし、もしあるとすれば、誰にも教えません。ハイリターンの影にはハイリスクがあり、そのリスクが見えない場合は・・・やはり手を出さない方が無難ですね。
確かに足元の定期預金の金利を見れば、より有利な運用先を探したくなる気持ちは分かりますが、しかし、数%の配当に目がくらんで、元本を危険にさらすことほど残念なことはありません。参考になさってください。
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