景気が長らく低迷し、少子高齢化により国内市場全体が伸び悩む中で、各市場での製品間の競争が激化しています。
価格競争はもとより、デザインや質感、使い勝手、安心感、アフターサービスなど、あらゆる面で差別化が行われており、供給サイドは大変かもしれませんが、消費者からすればメリットの大きい経済環境と言えなくもないですね。
一方で。
なかなか差別化が進まないのが銀行の定期預金です。どの銀行もあまり大差ありません。特にメガバンクの定期預金は金利も含め、完全に横並びですね。
確かに定期預金にはデザインも質感もなく、なかなか金利以外で差別化するのは難しい上に、利便性や付加価値で工夫しても、商品の性質上、簡単に真似されてしまうという悲しさがあります。その点でも「横並び」となりやすい商品であるのは間違いありません。
加えて、大規模な金融緩和により金融市場にお金がジャブジャブしている現状では各銀行とも預金集めの必要はあまりないわけで、余計、定期預金の商品開発は後回しになりがちなのでしょうね。おそらく。
そんなわけで定期預金の金利水準も含め、預金者にとっては今ほど残念な状況はないと言えるのかもしれません。
そうした定期預金を取り巻くイマイチな環境の中で、ユニークな商品の提供を続ける東京スター銀行が新しい定期預金の販売を開始したようですね。「ポイント機能付」の積立円定期預金とのことですが、特長を抜粋するとこのようになっています。
◆東京スター銀行「スターワン積立円定期」
特長1 : 積立残高10,000 円あたり1 ポイントが毎月貯まる
積立残高に合わせて毎月ポイントが貯まる。毎年末の累計ポイント数に応じて、翌年1〜3月にポイント交換申込可能。
特長2 : 毎月1,000円から積み立て可能
月々定期的に積み立てることも、まとまった金額を一度に預け入れることも可能。
特長3 : 預金連動型ローンを利用なら、預金連動とポイントのダブルでオトク
「スターワン住宅ローン」を利用の場合、預金連動のメリットを享受しつつ、ポイントサービスも利用可能。
積立円定期なら世の中、たくさんありますが、この「ポイント機能」がついているのがユニークということですね。実際、同社の発表によれば「業界初」とのことです。
ただそれだけでこの積立円定期が魅力的なのかどうかは判断できませんね。そもそもこの積立円定期の金利がいくらか分かりませんし、このポイントの経済価値もいくらか分かりません。で、調べてみるとこういうことです。
◆スターワン積立円定期 : 0.05%
0.05%・・・メガバンクの5年もの定期預金の金利(0.04%)より高いと考えれば魅力的と言えるのかもしれませんが・・・期待値からすればやはり低いですよね。
同じ東京スター銀行の「スターワン1週間円預金」の場合、金利は0.25%ですからね。こちらの方が圧倒的に高金利です。
では次にポイントの経済価値がいくらかと言うとこうなっています。
利用者の取引状況によって変わるということですが、最も一般的そうなベーシックコース、つまり「定期預金だけ」という場合だと1ポイント=0.1円にしかなりません。100万円預けて年間1,200ポイント=120円ということです。120円・・・。
一方で、仕組み預金などを保有していれば1ポイント=2円、住宅ローンを借りていれば1ポイント=4円にまで跳ね上がります。元本100万円だと、それぞれ年間2,400円、4,800円となる計算ですね。これなら実質的には「0.3%」「0.6%」の金利相当ということになりますので、ぐっと魅力が増します。
そんなわけでこの積立円定期はあくまで、リスク商品を購入した人か、住宅ローン保有者向け商品ということですね。
「右肩上がり円定期」など、円仕組み預金が販売されていれば現実的だったかもしれませんが、現状ではちょっと有効利用するのは難しいかもしれませんね・・・。
円預金ユーザーならこの積立円定期より上記の通り「スターワン1週間円預金」を利用した方が良さそうですね。なんと言っても金利が0.25%ですので。参考になさってください。
ここで 市場の1年もの金利をチェックするとこうなっています。
下落基調は変わらずですね。足元では0.28%台となっております。となると1年もの定期預金の金利も早晩、0.2%台に下落しそうと思っていたのですが・・・意外にあまり定期預金の金利低下は起こっていないですね。
さすがにこれ以上金利を下げるとデメリットの方が大きいと銀行側で判断しているのでしょうか?だとすればありがたいことですが、実際はどうなのでしょうか。
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |