当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告を見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回も同じようにネット上で怪しい広告を探していたところ・・・見つけたのが何とあのアブラハム社の広告ですね!ビジネスが摘発される前の広告が何かの間違いで表示されてしまったのかと思いましたが、どうやらそういうことではないようで、2015年1月から「元本確保型提案に特化、富裕層向け財産保全コンサルティング事業を開始」と発表し、活動を再開したようです。
何とも懲りない方々ですね・・・。
もちろん記者自身はそうした「再出発」自体を頭ごなしに否定するつもりはありません。誰だって失敗はするわけで、十分な反省と謝罪の後であれば、むしろ積極的に再挑戦してよいと思います。そんなわけでポイントとなるのは「十分な反省と謝罪」ですね。
そこでこのアブラハム社の失敗とは何だったのか、過去のコラムから記憶を呼び起こしたいと思います。
>>>「いつかはゆかし」の評判、批判、悪評について
そうそうそうでした。悪質な点は以下2点でしたね。
・ラップ口座の営業、販売を実際に行っているにも関わらず、投資助言業だと強弁している業法違反
・「毎月5万円の積み立てで1億円を貯められる」などという不思議な広告宣伝による有利誤認
ルール違反なのは前者です。法律に反した形でビジネスを行っていたわけですからね。
一方で記者がより悪質だと感じたのは後者です。 毎月5万円の積み立てで1億円貯めようと思えば単純計算でいえば167年かかります。不可能ですね。
ではなぜ月5万円で1億円貯められると強弁したかと言うと・・・年利10%で運用できるという前提を置いたからですね。もちろんそんな利回りで運用できるはずもありません。
もし本当にそんな利回りで運用できるのであれば、少なくともアブラハム社は大金持ちになっているはずですが、直近で確認できる彼らの業績はこのようになっています。
少なくともこの運用方法を提供していたアブラハム・プライベートバンク社は思いっきり赤字だったのですね!しかも1億円近い債務超過です。この数字がすでに、そうした高い利回りが虚構であることを雄弁に物語っています。
しかし何より怒りを禁じえなかったのが、同社が徹底的なSEO戦略=検索エンジンの結果操作により、アブラハム社やそのサービス名である「いつかはゆかし」を検索すると、ポジティブな記事しか出ないようにしていたことですね!
「自分で検索してみたけれど悪いことは書いていなかったので信用した」という方も少なくなさそうです。そんなわけで資産運用や金融に関する知識が少ない人を「だまくらかそう」という悪意に満ち満ちた宣伝活動を行ってきた、ということですね。
ただ繰り返しになりますが、「十分な反省と謝罪」をした後であれば再挑戦自体は否定されるものではありません。そんなわけで、このビジネス破綻後の新会社であるアブラハム・ウェルスマネジメント社にアップされたリリースを見るとこのように記載されています。
https://abraham-holdings.co.jp/topics/2015/3329
「海外ヘッジファンドとのダイレクト取引機会を日本の個人投資家に提供するという前例のない挑戦をし、投資助言会社として日本で初めてテレビCMを行い、5年3カ月で投資助言実績877.4億円を達成しました。しかしながら、最終的には、国内金融規制において、この挑戦は不可とされ、海外ファンドを日本居住者に紹介する企業はアブラハム含め9社が業務停止処分となりました。」
はい、全く反省していませんね・・・。
まずそもそも国内金融規制が「海外ヘッジファンドとのダイレクト取引機会を日本の個人投資家に提供する」ことを禁じているわけではありません。摘発されたのは上記の通り、「ラップ口座の営業、販売を実際に行っているにも関わらず、投資助言業だと強弁した」という点ですね。
したがって証券会社として登録していれば少なくとも「国内金融規制において、この挑戦は不可」とされることはなかったはずであり、完全に責任転嫁と言えます。
肝心のそのアブラハム・プライベートバンク社における行政処分や改善内容についても現在は掲載を停止しており、なかったことにしようとする姿勢が垣間見えます。
さらに記者が最も悪質だと感じた、「誰でも年利10%で運用できる」かのように喧伝した有利誤認・誇大広告については全く触れられておりません。ではこの姿勢について、新しく業務を開始したアブラハム・ウェルスマネジメント社の広告からチェックしてみるとこうした表現が散見されます。
・・・要するに何も反省していないということですね(苦笑)。
リターンとリスクは比例しており、リスクを減らしてリターンを増やすことなど基本的には不可能です。
新たな問題を起こさないよう祈るばかりです・・・参考になさってください。
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