当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回も同じようにネット上で怪しい広告を探していたところ・・・見つけたのがロードスターキャピタル株式会社およびその関係会社であるロードスターファンディング株式会社が提供する「OwnersBook」という投資案件です。
トップページには上記の通り「1万円からの不動産投資」ということで手軽さが訴えられているわけですが、そのリスクやリターンというのはどうなのでしょうか?
まずいつものようにチェックポイントをご案内するとこういうことですね。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性が高い。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性が高い。
3.運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性が高い。
では早速見ていきましょう。現在募集中の投資案件はこのようになっています。
予定利回りは5.0%ということで預金金利と比較すればはるかに高水準ですね。また運用期間は7ヶ月ということでじっくり投資したい方からすれば物足りない期間かもしれませんが、期間が短いということは相対的に投資リスクも小さくなるわけで、特にこうした新しい投資スキームに対してはなおさらこのような「お試し」感覚で利用できる投資期間というのは悪くありませんね。
募集総額も2,000万円ということで比較的小規模であり、 よりリアリティを感じる規模となっています。ロードスターキャピタル社は2012年3月に設立されたベンチャー企業のようですので、このように小規模の投資案件を積み上げていくことでコツコツ実績を作っていこうとするのは自然ですね。
そうしたわけでパっと見の条件は悪くなさそうですが、ただ5%の利回りを約束するということは相応のリスクがあるわけで、ではこの投資案件のリスクはどこにあるのでしょうか。大きなポイントはここにありそうです。
同社自身が認めるように「物件リスク」として、スポンサーの信用力が「設立3年未満」ということで黄色信号になっています。ではそのスポンサー=ここでは貸付先ですが、それがどこかと言うと・・・何とロードスターキャピタル社自身であるということですね!結局のところ、この「OwnbersBook」とは「ロードスターキャピタルの、ロードスターキャピタルによる、ロードスターキャピタルのための集金スキーム」ということですね。
ロードスターキャピタル社が倒れれば一蓮托生となる可能性が高いです。もちろん格付けをとったとしても「投資不適格」レベルでしょうから、投資不適格の会社に5%といった金利でお金を貸せる気になるかどうかがポイントになってくるということになります。
そこで重要になってくるのがこのロードスターキャピタル社の財務内容ですね。どれくらい儲かっているのか、財務内容がキレイなのか、それとも借金まみれなのか、また株主構成はどうなっているのかも重要になってくるわけですが、サイトを確認した限り・・・一切開示されていませんね!
リスクとして黄色信号になっているわけですから、当然積極的な情報開示が求められるわけですが、それがないとすればその投資家保護姿勢も含めて、残念ながら投資は自重した方がよさそうです。
もちろん実際の投資にあたっては事前にそうした情報が開示される可能性はゼロではありませんが、やはり常識的には広告の段階で開示しておく重要情報です。
ということで現段階ではかなり怪しいと言わざるを得ないこの投資案件ですが、せっかくなのでその投資スキームをもう少し見てみると、上記の通りこのような記載があります。
・シニアローン : 銀行からの借り入れ 5億円
・メザニンローン : OwnersBook 5千万円
シニアはともかくとしてメザニンとは聞いたことがない表現ですが、要するに「劣後」部分ということですね。つまり仮にこの物件を売却することになり、投資資金5億5千万円を下回る5億円での売却を余儀なくされた場合、シニアローンの弁済が優先されますので銀行は5億円丸々回収できる一方で、劣後扱いであるメザニン部分には1円も残りません。
このケースのように投資額の約91%の値段で売却できたのに全額吹っ飛んでしまう可能性があるのがメザニンローンの怖さですが、その分投資家は相対的に高いリターンを得られることになっています。
その点では少なくともチェックポイント2つ目の
・もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性が高い。
という点については納得のいく説明ができるということですね。要するにこの案件は「銀行が貸せない頭金部分=相対的にリスクの高い部分に投資するもの」ということですね。
だとすると尚更、ロードスターキャピタル社の積極的な情報開示が必要なのは言うまでもありませんが。
ちなみにこの物件の評価額は「7億9百万円」ということで、そこからすればメザニンローン部分についてもよほどのことがない限り傷むことはないと感じられるわけですが、実際にはその保証はどこにもありません。評価額など、今後の家賃見通しや地価見通し、あるいは震災等のリスクをどう評価するかで大きく変わります。
最も頼りになるのは実際の売買事例ですが、今回、ロードスターキャピタル社が5億5千万円で購入したのであれば、やはりその5億5千万円が出発点ということですね。もし仮にこの値段が割高だったのであれば、売却時にメザニンローンが吹っ飛ぶ可能性は十分あります。
また、仮に適正価格であっても相場が下がれば売却価格は低下していくわけですし、何もしなくても経年劣化によって建物価値は低下していきます。仮に年2%程度建物価値が低下するのだとしても、毎年約1,100万円ずつ減価していくわけですから、ローン返済を考慮しなければ5年もたたずにメザニン部分は吹っ飛んでしまうということですね。
こうしたリスクについても考慮いただければと思います。
そして3つ目のチェックポイントはこうでした。
・運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性が高い。
これも当然、かなり怪しいということになりますが、ただ唯一、他のグレーな投資案件と異なるのは一応、「投資案件を申請したい方はこちら」と投資案件の申請も受け付けている点ですね。
こうした投資スキームを提供する上で最も大変であり重要なのは、良い投資案件を見つけることですから、そうした窓口が用意されているというのは一応、つじつまがあうということになります。
しかし繰り返しになりますがポイントとなるのはロードスターキャピタル社の財務内容ですね。
金融庁はなぜこうした投資を募る団体に財務内容の開示義務を課さないのでしょうね?株式公開・上場する会社は詳細に財務内容を開示しないといけないのとは極めて対照的です。
まぁもちろん最初から騙すつもりの会社であれば粉飾だらけの決算を開示するでしょうから実効性については微妙なのかもしれませんが・・・。
参考になさってください。
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