当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回は、グローバルレポート社/森智紀氏の推奨する「海外ファンド投資術」にスポットライトを当てたいと思います。氏は「初めての海外投資でしっかり儲ける本」という本を執筆し、プレジデント社のサイトにて以下のようにインタビューに答えています。
「バブルを経験した世代は、投資なんてやってられないという。逆に今の若い人たちはそれを知らないから詐欺みたいな海外不動産やFXで全財産を失う。だから数千年預けても倍にしかならない定期預金に人々が殺到する。世界のファンドには年利9%を複利で回せて、元本保証まで付いてくる優良なものもあるのに、それを知ろうともしない。」
何だかよくありがちなフレーズですが・・・それはともかくとして本当に海外で「年利9%を複利で回せて、元本保証まで付いてくる優良なファンド」があるなら知りたいものですね。
そこでもう少し調べてみると氏が以前執筆した「海外ファンド投資プラン」にてスーパーファンド社のファンドが推奨されていたようですね。そこでこの「スーパーファンド」を調べてみるとスーパーファンド証券株式会社が提供していました。気になる運用成績を調べてみると、設定来でこのようになっています。
・スーパーファンド・グリーン・ワン・ジャパン(円クラス) : -15.30%
・スーパーファンド・グリーン・ワン・ジャパン(ゴールド円クラス) : -2.89%
・スーパーファンド・レッド・ジャパン(円クラス) : -5.27%
・スーパーファンド・レッド・ジャパン(ゴールド円クラス) : -23.31%
・スーパーファンド・レッド・ジャパン(シルバー円クラス) : -45.86%
・スーパーファンド・ブルー・ジャパン(円ヘッジ有クラス) : -13.49%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンA-第1シリーズ 円建て : -27.67%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンA-第39シリーズ円ヘッジ有 : -11.46%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンA-第59シリーズ円建て : -3.30%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンA-第60シリーズ円建て : -5.00%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンB-第1シリーズ 円建て : -11.04%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンB-第55シリーズ円ヘッジ有 : -4.60%
・スーパーファンド・グリーン・ジャパンC-第1シリーズ 円建て : -15.34%
目の錯覚でしょうか・・・円建てと確認できるものはすべてマイナスですね(苦笑)。
最も設定日が古そうな「スーパーファンド・グリーン・ジャパンA (円建て) - 第1シリーズ」の運用実績はこのようになっています。
単年で見れば過去11年で「5勝6敗」と、勝ったり負けたりの状態ですが、設定来で見れば−27.67%と損失が膨らんでいます。
運用では+30%も−30%も同じように響きますが、実際には1.3倍(+30%)した後、0.7倍すれば(−30%)、0.91となり1割近い損失が残ることになります。
上昇する時はもっと上昇しておかないとトータルでは負けてしまう、ということですね。
いずれにしてもこうしたヘッジファンドの実情は、氏の「世界のファンドには年利9%を複利で回せて、元本保証まで付いてくる優良なものもあるのに、それを知ろうともしない。」と言った指摘とは大きく異なるということです。
ちなみにこのスーパーファンド証券株式会社については、記者は大変好ましく感じております。ありのままの「絶望的な」運用実績を包み隠さず開示しているからですね。当たり前と言えば当たり前ですが・・・。
こうした情報をぜひ参考にしていただければと思います。
そうしたわけでグローバルレポート社/森智紀氏の読者を揺さぶる刺激的なコメントがかなり眉唾であることが分かってきたところで、氏のこれまでの著作を検証してみるとこうなっています。
・老後を守れ!海外預金で自分年金作り―国家破産からの自己防衛資産運用術
・200X年日本国破産
・200X年日本国破産IMF介入
・海外ファンド投資プラン
・1時間で全部わかる 海外ファンド投資術
・お金持ちになる技術
・投資初心者でも資産10倍に!? ほったらかし海外ファンド成功法
・ゼロから始める海外投資
・厳選10本のお宝ファンドを紹介! 初めての海外投資でしっかり儲ける本
・お金を増やしたい人の分かりやすい海外ファンドの選び方・買い方
ある意味、よくあるフォーマットですね。日本の危機を煽って海外投資を促す手法です。「200X年」とのことですが2016年現在まだ日本国は破産もIMF介入も行われておりません。
そもそも日本の場合、政府は赤字ですが、国としては黒字です。つまり大幅な増税をすれば国としては破綻しないわけで、その点でも「日本国」が破産するというのは明らかな事実誤認と言えます。「財政が破綻する」ということなら理解できますが。
それはともかくとして最新刊は2015年8月に発刊されており、とすると上記スーパーファンドシリーズの惨状をどのように反省されていたのでしょうか・・・。
さてそのように信憑性が確認できない海外ファンド投資を推奨してきた森智紀氏率いるグローバルレポート社ですが、先日、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われ、関東財務局から「登録取り消し」のお達しが出ております。
罪状はいろいろありますが、本質的に問題なのはこの部分でしょうね。
−−−
・十分な根拠を有しない投資助言を行っている状況
当社は、有料会員サイトに海外金融商品に関する助言を掲載しているが、これらの海外金融商品のうちの一部について、その法的性質、運用方法、運用状況等を把握していないほか、販売会社の実態を確認しないまま、助言を行っている。
また、「元本保護型」のファンドである旨記載し、顧客に購入を推奨している商品については、当該商品どのような仕組みで元本が保護されるのかを確認せずに助言を行っている。
−−−
なかなか印象的な言葉が並んでおりますが、
「法的性質、運用方法、運用状況等を把握していない」
「販売会社の実態を確認しない」
「元本保護型のファンドがどのような仕組みで元本が保護されるのかを確認せず」
というくだりは唖然とせずにはいられません。ちなみにこれで年会費を4万円以上とっていたようですから猛者ですね。良い意味ではもちろんありませんが。
逆に言えば、よくもまぁそんな中途半端な知識で10冊に上る指南本を執筆できたものですが、いずれにしても冒頭ご案内した「世界のファンドには年利9%を複利で回せて、元本保証まで付いてくる優良なものがある」というのは、悪意があったかどうかは別にして、実質的には「信憑性は全くなかった」ということですね。
そもそも「元本保証」という言葉は預金保険など公的な保護の仕組みが出来上がっている場合にしか使えない言葉ですね・・・。
証券取引等監視委員会には引き続きこうした問題のある投資勧誘を取り締まっていってもらいたいと思います。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
|
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |