当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
さて前回はネタがすぐに見つからない場合の 「困った時のタケシさん」、ということで「1,000万円資産運用.com」で積極的に紹介されていた怪しげな投資案件「セイーラマーケティング」について取り上げました。
>>>年6〜12% セイーラマーケティングは魅力的?
で、今回もまたお世話になることにしました。以前「タケシさん」が積極的に推奨し、当サイトでも取り上げたことのあるファインドエッジですね。
>>>+36%!ファインドエッジ・ファンドは魅力的?
怪しげな点はいっぱいあるのですが、特徴的なのはこの部分でしょうか。運用成績ですね。
一度もマイナスがないというのは何とも不自然ですが、具体的なシミュレーションはこのようになっています。
例えば2015年3月から4月のリターンは20,742,300円から21,042,300円ということなので「+1.45%」ということになります。
一方、上記運用成績を見てみると2015年4月のリターンは「+3.002%」となっており全くつじつまがあいません。
この「+3.002%」というのは想定元本である1,000万円を主語としているのだとすれば「+30万200円」ということで、4月の増加額:21,042,300円−20,742,300円=30万円と・・・やっぱり合いません。
配当上限3%ということですので「3%を超えたファンドの収益はこの会社がもらう」という仕組みなのかもしれませんね。そうした説明はサイト上に一切ありませんが。
仮にそうだとすれば数字のつじつまは合うことになりますが、そもそもこうした運用成績を複利ではなく、4年前のもともとの投資元本を分母として計算(=単利計算)する時点で、サイト作成者が投資の素人であり、運用実体がないことがバレバレです。
上記の通り3月から4月の増加分は「+1.45%」であり、 それはつまり今から運用すればそれくらいの運用リターン=年20%程度しか得られないことを示唆しているからですね。それ以上の成績を上げればファンドに没収されるわけですから間違いありません。
とすると上記の「ファインドエッジ1号ファンド:平均リターン36%」というのが全くの虚偽、ということになります。金融庁さん、見てますか〜・・・と上記コラムでは結んだわけですが。
実際、金融庁さんは見ていたようで早速、「近畿財務局長が検査した結果、問題が認められた」と発表されております。
>>>株式会社ファインドエッジに対する検査結果について
気になるその問題点ですが一部をご紹介すると、このようになっています。
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本件ファンドでは、各ファンドの財産及び当社又は土居社長の固有財産が混在している状況である上、当社は、本件ファンドの財務諸表等を全く作成していないほか、ファンドの取引記録を作成・保存しておらず、各ファンドの出資金の運用状況及び運用先から受領した金銭がいずれのファンド財産に帰属するものかが正確に把握できないなど、管理が極めて杜撰な状況となっている。
このような状況において、出資金約12億円(償還及び解約済みのファンドを除く)のうち、およそ2億3000万円については、各匿名組合契約に定められた目的に従った運用に充てられたことが確認できない状況となっている。
また、当社は、ファンド財産を適切な経理処理を経ずに当社の会社経費や土居社長の個人支出等に充てているほか、ファンド財産間において、約4500万円を、正当な根拠なく他ファンドの配当金や償還金等に流用した。
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まぁひどい惨状ですね・・・。何にも管理していなかったということです。自分のお金も顧客のお金もグチャグチャごちゃごちゃの状態というわけです。
もしかすると取引記録や運用状況を開示すると、これまでのセールスが詐欺(故意)となってしまうので、把握できなかったという説明をしたのかもしれませんが。
なお具体的なファンドの運用成績はこの検査結果からは分かりませんが、集めた12億円のうち2億3,000万円は目的以外の運用に充てられたということは・・・やはり資産全体が12億円を切っている=損失が発生していると考えた方がよさそうです。
土居社長の個人資産が混在しているという点を踏まえれば、仮に投資元本が12億円以上もしくは「+2億3,000万円」増やした14億3,000万円以上に増えていれば「この2億3,000万円は顧客のお金ではなく僕のお金」と説明できるからです。
もちろん上記のような「平均リターン36%」「平均リターン50%」の実力(?)からすればそれくらい増えていてもおかしくないですし、むしろ増えていないとおかしいですね。
仮に50%のリターンなら12億円は18億円に増えているわけですから。
そうしたわけで、やはり必然の結末を迎えたわけですが、上記検査結果で興味深いのは協力者の存在ですね。抜粋するとこうなっています。
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当社は、本件ファンドのうち3本について、金融商品取引業の登録を受けていない株式会社will be(滋賀県愛知郡、代表取締役 木村浩一。以下「ウィル社」という。)に対し、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を委託した。ウィル社は、当社からの委託を受け、平成24年6月頃から同26年8月頃まで、当社の社名、ファンドの名称、ファンドの概要や手数料等を記載したメールマガジンを配信する方法により取得勧誘を行い、合計86名、総額約6億円の出資金を集めた。
当社は、本件ファンドのうち3本について、ウィル社に対し、FX取引による運用を委託した。ウィル社は、当社からの委託を受け、平成24年8月頃から同27年4月に当該取引を停止するまでの間、FX取引による運用を行った。
金融商品取引法第29条に基づく登録を受けることなく、上記行為を行うことは、同条に違反しており、当社は無登録の者に運用を委託しているものと認められる。
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つまりこのファインドエッジの自転車操業を強力にバックアップした協力者がいる、ということですね。その1社がwill be社なわけですが、同社の名前を騙って積極的にメールマガジンにより投資勧誘を行ったほか、実際にFX取引による運用も行ったということですね!
協力者というよりは「黒幕」と言った方がよさそうな気もします。
法律的には後者の方が罪が重いのでしょうけれど・・・記者としてはやはり前者の投資勧誘の方に憤りを感じてしまいます。もしこのwill be社が勧誘しなければ少なくとも86名:6億円の資金は守られたわけですからね。
しかしそこから連想すると、このファンドを積極的に推奨していた「タケシさん」につながっていきます。当時の「1000万円資産運用.com」のお勧めファンドはこうでした。
それ以外にも複数の関連サイトで推奨していたわけですね。具体的にはこうです。
「ヘッジファンドランキング.com」
「投資信託口コミ比較サイト」
「投資信託初心者.com」
「投資信託比較.net」
「緑茶道場」
見事なまでの
1位:キャロライナパートナーズ
2位:ファインドエッジ
という順番ですね!
要するに「よろしくない」WEBマーケティングが行われていたということです。
では最近の「タケシさん」のお勧めはと言うとこうなっています。
なぜか、というべきか、やはりというべきか、ファインドエッジ社が消えているわけですが、それに対する反省は特になさそうですね・・・。
タケシさん=will be社ということはないのでしょうけれど、罪深いマーケティングが行われているのだとすれば、金融当局はぜひこうしたビジネスにも目を光らせてほしいものです。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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