当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そうした中で以前取り上げたことのあるのがCarolinaPartners Japan LLC社が提供する「キャロライナパートナーズ」でした。
>>>+18.55%!キャロライナパートナーズは魅力的?
まず最初に指摘したのが、サイトでの情報量が極めて少ないという点ですね。正直、経営実態は全く見えてきません。本気で個人投資家から資金を集めようとしているのであれば積極的に情報開始しているはずですが、そうでないところを見ると、この時点ですでに投資先としては検討は難しいと考えられます。
ただそれでは話が終わってしまいますので少ない情報量の中からツッコミどころを探るとこういった点が挙げられました。まず運用成績は以下とのことです。
2012年:+54.7%
2013年:+108%
2014年:+39.16%
他方、Q&Aを見てみると「2014年10月、個人投資家向けのビーグル:キャロライナパートナーズを組成し、現在に至ります」となっております。この社歴が正しいのだとすれば、会社設立前の2012年や2013年に運用成績が存在するというのはどういうことなのでしょうか?
また、このキャロライナパートナーズは「アクティビスト・ファンド」とのことです。
アクティビスト・ファンドとは村上ファンドに代表されるように(悪い意味ではありません)、まず株式を購入して大株主になってから、株主総会などを通じて大胆な株主還元を求めていくファンドですね。
では実際にどのような運用方針になっているかと言うとこう記載されていました。
んん?図を見ても分かるように、キャロライナパートナーズ社が、集めた資金を独立系ヘッジファンドに分散投資するということになっています・・・何だかまたおかしな話が出てきました。
上記の通り、Q&Aではキャロライナパートナーズ社はあくまでClassy社の個人投資家向けのビーグルとのことでした。とするとキャロライナパートナーズ社はあくまで通過点であり、その資金はClassy社に投資されるはずです。
ところがここでこのキャロライナパートナーズ社は「ファンドに投資するファンド」「投資信託に投資する投資信託」、つまりファンズオブファンズであることが明らかになったのです。
実際に資金を運用するのはキャロライナパートナーズ社ではなく、その投資先のファンドということになります。
とすると繰り返しになりますが、2014年10月の会社設立前の2012年から2013年の運用成績があることも全く説明がつかなくなります。
つじつまが合わないなぁ、と思っていたら最新のHPでは「さすがにマズイ」と気づいたのが以下のように変更しています。
これでようやく「アクティビスト・ファンドである」という説明との整合性が取れたことになりますが、しかしここでも新たな疑問が出てきます。
旧図では外資系投資会社から独立した人々はあくまで「投資先である独立系ヘッジファンド」とされていたのに対して、新しい図ではなぜか「キャロライナパートナーズの社員」となっていますね。要するにテキトーな修正でごまかした、ということです。
せっかく上記コラムでサイト上の矛盾点を指摘してあげたわけですから、どうせなら本文も含めてしっかり修正してほしいものですね。
それはともかく、投資ファンドの最も大切な根幹である「投資スキーム」を指摘されてテキトーに修正するあたり、投資実体がないことが強く示唆されているわけですね。
さてそんなキャロライナパートナーズですが、やはり合法的な活動を行っていなかったようで金融庁から「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」ということで警告が発せられております。
>>>詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!(金融庁)
もちろん真っ当な会社であれば正々堂々と金融庁に登録した上で投資勧誘を行うわけで、それをしていないということはおそらく金融商品取引法に抵触する「違法業者」ということなのではないかと思います。
同社サイト上で全く反論していない点からもその可能性は高そうですね。
読者の方の中で、この会社に投資した方はおられないと思いますが、万が一投資してしまった方は弁護士さんなどとも相談の上、一刻も早く返還請求されることをお勧めしたいと思います。
さて。
こうなってくるとやはり気になってしまうのが、このファンドを1位で紹介していた「1000万円資産運用.com」などのサイト群です。実際の推奨方法はこのような形でありました。
「1000万円資産運用.com」
「ヘッジファンドランキング.com」
「投資信託初心者.com」
「投資信託比較.net」
「緑茶道場」
つまりは、見事なまでの
1位:キャロライナパートナーズ
2位:ファインドエッジ
3位:BMキャピタル
という順番だったわけが、先日もご案内したようにすでに2位のファインドエッジ社は金融庁から「登録取り消し」の処分を受けています。
>>>年36%のファインドエッジはやっぱり終了 黒幕は誰?
そして今回は1位の「キャロライナパートナーズ」が「無登録」であったことが判明したわけですね。
結果的に問題のある会社をきちんと調べもせず「1位」「2位」と紹介していたわけで、その責任は大きいです。
ちなみに最新のお勧めはこのようになっています。
1位:キャロライナパートナーズ
2位:BMキャピタル
3位:レッドキャピタル
ということで、金融庁の警告から2週間以上経過しますが、今のところキャピタルパートナーズの勧誘をやめる気はないようです。無登録業者とわかっていながら勧誘を続けるのであれば悪質ですね!
サイト上でも完全にスルーされています。金融庁はぜひこうした問題のある投資勧誘サイトについてもしっかり監視していってほしいものです。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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