当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはガイアファンディング株式会社の「ガイアファンディング」ですね。利回りが5%〜10%ということでなかなか魅力的です・・・安全であれば。
というわけでその中身を見ていきたいと思います。
なおいつもご案内しているように「ノーリスク・ハイリターン」の投資案件というのはあり得ません。もしあれば自己資金や銀行借り入れで十分な利益が得られるからですね。他人の投資資金を頼る必要などありません。
つまり仮に5%〜10%ということなのであれば、その裏側には同じくらいのリスクがあるはずです。そこでそのリスクを明らかにしていきたいと思いますが、もし容易に見つからなければ残念ながら「悪質」と言えます。
投資には「絶対リスクがある」という絶対前提条件を理解しておくことが必要ですね。
ではまずはこのガイアファンディング社の業績をチェックしてみるとこうなっています。
この会社の財務情報は今のところ全く分からないということですね!2015年7月10日設立ということなので、遅くとも2016年6月末には決算期末が来ているはずですが1ヶ月経っても何も公開していないというのはどういうことなのでしょうね?
また上記の通り「平成28年度の財務情報は準備中」とのことですが、知りたいのは2015年7月からの既に終了した「平成27年度の財務情報」ですね!
したがって今のところこのガイアファンディング社の信用力は情報が開示されていないという点で「ゼロ」です。現時点では「投資に値しない」と結論づけて構わないと思います。
銀行の住宅ローン審査でも、融資審査でも、「3期分の決算(or給与証明)」が必要ですからね。投資を考えている方は3年後にいらっしゃってください。「今すぐ投資しないといけない」理由は何もないはずですから。ご機嫌よう。さようなら。
・・・では終わってしまいますのでもう少し当社の投資案件をチェックしていきたいと思います。
案件としては4本くらいあるようですが、「31号」と最も主力そうなこちらの「中期プレミアムローンファンド31号」を取り上げてみます。
まず借り手は「米国向け不動産融資を行う事業者K社」とのことで、その信用力は全く判然としません。これで上記財務情報から数えて2アウト目ですね。
なぜ開示しないのでしょうね?「金融庁のご指導のもと」といった言葉が散見されますが、本当に金融庁がそのように指導しているとはとても思えないのですが・・・。
もしかすると投資形態として本当のリスクはこのK社ではなく、ガイアファンディング社であり、「優良な借り手を見せ金にして信用力があるように見せるのはまかりならん」ということかもしれませんね。であれば理屈には合います。
それはともかく、この投資の中身を見てみると
・事業者Kに対する融資金として計1億5976万円を募集
・担保物件の完成後の予定評価額(不動産鑑定評価)は約3億1100万円
とのことです。
まず物件の広さが分かれば担保価値が計算できそうですが、そうした担保物件のスペックの開示はありません。これで3アウト。ゲームチェンジです。
また「完成後の評価額」が3億1,100万円であったとしても全く意味がありません。もし業者が倒産してしまえば「完成前」の状態で売却しないといけないからですね。
仮に土地代が1億円+建物が2億1,100万円として、倒産等の理由で完成前に処分するとすれば回収の見込みが立つのは土地代1億円だけです。となると約1億6,000万円の融資に対しては全くの「担保不足」ということになってきます。
つまり必要な評価額は「土地」ですが、その開示もありません。これで4アウト。
さらに腰を抜かしてしまうのがこの部分です。
いや、さすがにそれはきちんとその真偽をチェックしていただかないと!つまりはこの投資に関してガイアファンディング社は書類審査を一切やっていないと宣言しているに等しいですね。
これで5アウト目だと言えます。仲介会社の業況もわからない、投資先の信用力もわからない、担保評価もわからない、担保の証明も真偽不明となれば、「投資してくれ」と言うのがそもそも間違いな気がします・・・。
なお、こちらの投資はアメリカに本社を置く不動産投資・融資事業をおこなう会社C社への融資160万円とバンドルされているようですが、こちらは「担保あり」としながら、担保の記載が全くありませんね!
これで6アウト目です。2イニング分ですね・・・。
ちなみに海外に投資となると為替リスクが気になりますが、「為替ヘッジあり」とさらっと書いてあるだけでその中身は全く判然としません。同社サイトでは「融資対象者」が自分でヘッジしているということですが本当でしょうか?
他方、別サイトに掲載されていた同社代表のインタビューでは「自社で為替ヘッジをしているけれど詳細は企業秘密」とのことで、内容の矛盾も含め怪しさが蔓延しておりますね。ここも十分な説明がないという点で7アウト目です。
また、同社代表は2人とも、アメリカの投資ファンドであるEQUIPOISE社の部長さん・係長さんレベルのようです(IRマネージャー)。経営陣は別にいますからね(Executive
Team)。
http://equipoisecapital.com/about-us/
つまりはこのEQUIPOISE社のサラリーマンであるとするなら、このEQUIPOISE社との関係が強く示唆されるわけですが、ガイアファンディング社サイト上ではEQUIPOISE社について一切触れられておりません。ここはとても怪しいので8アウト目。
そしてその関係性が強く疑われるEQUIPOISE社も財務状況を開示していません。なのでこれを9アウト目としておきます。
いやーなんとか3イニング分のアウトを指摘することができました。
それはともかくとして、仮に3年後に投資を検討するとしても上記のような残る疑問をしっかり解消した上で、投資の可否を検討いただければと思います。
そしていつも吐露しているように、監督官庁である金融庁には、こうした投資勧誘会社に財務情報などの開示義務をぜひ課していただきたいと思います。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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