当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは「アンティークコイン投資」ですね。広告サイトを見てみるとまずこうしたグラフが飛び込んできます。

2010年まで5,000円だったものが、2015年には30,000円ということですね。5年で実に6倍まで上昇しているとのことです。
また投資対象としてのアンティークコインのメリットはこのように紹介されています。
1.海外のコインであり、海外マーケットによる価格変動の為、日本の経済情勢は関係が無い。
2.減ることはあっても増えることは無いから、価格が下がりようが無い
3.この5年間、2倍〜10倍になっているコインが多数ありますが、昨今の投資マネーの行きつく先がこのアンティークコインになっていることがよく分かる。
ということですね。いかがでしょうか?
まず大前提として言えることは、このアンティークコインの価格推移についてざっと検索した限りにおいては「信頼できるデータがすぐに見つからない」ということです。
とするとこうした価格推移が正しいのかどうかさっぱりわかりません。
例えばStanley Gibbons社が算出している「GB 200 rare coin index」は確かに2015年時点では好調のようですが、これがアンティークコイン全般に言えるのかどうかはよくわかりません。
よくわからないものに投資すべきではないとするなら、ゴールドやイギリス不動産と比較して堅調なイギリス株に投資するだけで十分という気もしますね。
さらにもしこれがポンド建てであれば例のBrexitショックで価値が大きく棄損している可能性があります。過去5年のポンドの動きはこうですね。
2015年には200円に迫っていた英ポンドですが、足元では130円前後まで下がっています。つまりは3割以上下落しているわけで、もしこうした英アンティークコイン価格がポンドに連動しているのであれば同じように下落していてもおかしくありません。
もちろんそうでない可能性もありますが、何しろ情報が少なすぎですね!少なくとも販売業者が示す都合のよいデータだけを信じるのは危険と言えます。
さらにアンティークコイン価格の歴史的な推移を検索すると出てきたのがこちらの表です。
1879年に製造されたモルガン・ドル銀貨の価格推移、ということになるでしょうか。
一番下の表を見ると、1950年や1980年、1995年に購入した場合は年利5〜6%の利回りがあったようですが、一方で2009年ごろにピークアウトしたようでその時期に購入した場合は年利−2〜−3%のマイナスになっているようです。
これまたあくまでこの銀貨の問題なのか、それとも全てのアンティークコインに言えることなのか、現時点では全く不明です。
いずれにしてもわかることはアンティークコインであっても「下がる時は下がる」ということです。
とすると上記アンティークコインの魅力の2つ目として紹介されていた「減ることはあっても増えることは無いから、価格が下がりようが無い」というのは全くのデタラメということですね。
このように「減ることはあっても増えることは無いから、価格が下がりようが無い」という表現で思い出すのがワイン投資ですね!あちらはあっさり投資詐欺であったことが露見したわけですが。
残るアンティークコインの魅力の1つ目が、「海外のコインであり、海外マーケットによる価格変動の為、日本の経済情勢は関係が無い」という点ですが、こちらも上記の通りBrexitなどが起きれば直撃を受けるわけで「魅力でも何でもない」のがわかります。
3つ目は「この5年間、2倍〜10倍になっているコインが多数ありますが、昨今の投資マネーの行きつく先がこのアンティークコインになっている」という点ですが、こちらはそれが本当なのかどうか、仮に本当だとしても下がっているものも含めると全体的な価格推移がどうなっているのかわからない以上、「はぁそうですか」といった感想ですね。
また、投資マネーが価格を釣り上げているのであれば、クラッシュした時の下落がより大きくなることは、80年代のバブル崩壊や、2008年のリーマンショックを体験した我々日本人には常識だといえます。
つまりは現時点ではアンティークコイン投資の魅力は「さっぱりわからない」ということです。
ちなみにネットではアンティークコインのセールス情報はあふれているのですが、ネガティブ情報はすぐには見つかりません。そうした中で見つけたブログには以下のような指摘がありました。
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1.「アンティークコイン」の世界には偽物の希少コインがゴロゴロ出回っていて、見分け方を知らないと確実に掴まされます。
2.ネットとかお店ではそもそも「適正価格」よりかなり高い値段をつけていて、売れたら儲けものと考えている。
3.利益なのだが「年10%以上」は例外的なもので、コイン市場の平均としては、20年で10%と言われています。コイン全体としては年0.5%しか値上がりしていないが、例外的に10%から50%値上がりする場合もあるよという事です。
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どれも大変気になる指摘ですが、しかし一番印象的なのはコイン全体としては「年0.5%しか値上がりしていない」という点です。残念ながらその根拠はどこにも明示されておりませんので、それが正しいのかどうかは判断できませんが、もし正しいのだとすると一攫千金など夢のまた夢ということですね。
偽物リスクがあるならなおさらです・・・。
ちなみに今回取り上げたユニバーサルコインズ社は手数料を明示しておりましてこうなっています。
・購入時 : 5〜15%
・売却時 : 10%
つまり往復で15%〜25%のコストがかかるわけで「かなり値上がりしないと損が出る」ということですね。
仮にリターンが本当に「20年で10%」で正しいのだとすれば下手をすると40年保有してもまだトータルリターンはマイナスということですね・・・あらら。
繰り返しになりますが、それが正しいのかどうかはわかりませんが、もしこうしたアンティークコインに投資するのであれば、これまでの価格推移をきちんと把握していただければと思います。
最後に同社が販売している具体的なアンティークコインをチェックしてみたいと思います。
こちらは記者の理解が正しければ金貨の4枚セットであり、その重量は4枚合わせて67.89gのようです。
で、執筆時点のゴールド価格は1g=4,742円。つまり純金の価値としてはこれまた記者の理解が正しければ約32万円ということになります。
で、販売価格は260万円。つまりこの金貨の価値を分解すると、ゴールドとしての価値32万円+投資利ザヤ228万円=260万円ということで、もし何等かの理由で大暴落すると本来の価値である32万円まで値下がりする可能性があることを示唆しております。
・・・記者の理解が正しければ。
もしかするとこうしたアンティークコインというのは庶民が投資目的で手を出すべきものではなく、お金持ちが、絵画や彫刻などと同じようにあくまで自分のコレクションとして楽しむべきもの・・・なのかもしれませんね。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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