当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社AMオンラインが提供する投資顧問サービス「トレーダーズ・ブレイン・マーケット」です。
投資顧問サービスとは要するに「有料で値上がりする株式を教えてくれるサービス」ですね。上記の通り「株価2倍・3倍も見込める銘柄」を教えてくれるということですから、なかなか太っ腹です。
同社が2016年8月24日と2016年11月7日に推奨したと主張している(株)イグニスの株価は、2016年12月22日現在このような株価推移となっています。
確かに11月に入ってから大きく上昇していることが分かります。このように上昇が予想される銘柄をバンバン教えてくれるなら、いくら費用がかかっても利用したいと思ってしまうわけですが・・・ただ大人であればやはりここは一歩引いて冷静に考える必要があります。
そもそももし読者の皆さんが「必ず株価が上昇する銘柄」を聞いて人に教えるでしょうか?もちろん正直に答えていただいて問題ありません。教えませんよね。
当然、記者も教えません。そんな大切な情報を数千円や数万円の手数料欲しさに漏らすはずもなく、とことんまで自己資金をかき集めて、場合によっては借金でもして資金を作り、100%自分のお金で投資するはずです。
本当に2倍・3倍になるのであれば借金をしても十分なおつりが残ります。
仮に自分の資産が100億円や1,000億円になれば、もはや金銭的に買えないものはない状態ですので「多少は社会貢献してもいいかな」と思うかもしれませんが、そうなると今度は数千円や数万円の手数料などいらないと考えると思います。
そのように考えるとこの「投資顧問」というビジネス自体がそもそも健全に存在し得ないと言えそうです。常識的に考えれば「二束三文」の情報を売りつけて数千円や数万円の手数料を得る仕組み、ということになるのでしょうね。性悪説で捉えておいた方がよさそうです。
他方、株価はみんなが上昇すると考えれば上昇するわけで、もしこうした「投資顧問サービス」によって本当に株価が上昇するとすれば、みんながその情報を信じて買いあがる場合ですが、そうした場合でもその情報に根拠がなければやはり「株価操作」や「風説の流布」ということで捕まってしまうのではないかと思います。
そうしたわけで、こうした「投資顧問サービス」によって手数料に見合ったリターンを得るのは難しそうですが、少なくともこの「トレーダーズ・ブレイン・マーケット」についてはすでに結論が出ておりまして、証券取引等監視委員会の方から「行政処分の勧告」が出ております。抜粋するとこういうことですね。
−−−
・当社は、見込顧客に対して配信した電子メールや当該メールで誘導した当社運営サイトにおいて、仕手筋に関する情報を入手した旨をうたって、投資顧問契約の締結の勧誘を行っていたが、実際には、当該情報を事前に入手した事実は認められなかった。
・当社は、投資顧問契約の契約者の人数を限定する意思がないにもかかわらず、「○名様のみ」と記載するなどの虚偽の内容を告げていた。
・当社は、見込顧客に配信した電子メールにおいて、「目標株価2倍は確定済み」などと不確実な事項について必ず利益が上がる旨を告げ、投資者の投資意欲をあおった勧誘を行っている状況が認められた。
>>>株式会社AMオンラインに対する検査結果に基づく勧告について
−−−
要するに「仕手筋に関する情報」も「目標株価2倍は確定」と言った内容もすべて嘘っぱちだったということですね・・・いやはや。
ちなみに上記勧告では具体的な虚偽の告知例も記載されています。
−−−
「株価操作」は違法行為です。当然明るみに出れば罰せられる事となりますので、意図的な動きと見えぬよう、まるで材料性から暴騰しているかの様に演出することで投資家の目、当局の目を欺いているのでしょう。
A銘柄の暴騰の陰で暗躍していた筋が存在する事などほとんどの投資家は気がつく術も無いでしょう。だからこそ姿形を見せないその特徴から弊社では「闇の仕手筋銘柄」と銘打ってご案内しているのです。
既にA銘柄の暴騰で実証済み。あとは闇の仕手筋に乗っていただくだけ!弊社の威信をかけた仕手株情報が今ココに
−−−
いかにもな文章ですね・・・問題は「弊社の威信」が、かけるほどの価値もなかったという点ですが・・・。
そうしたわけで今回の勧告については「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に焦点が当たっているわけですが、契約締結済みの顧客に対する情報も似たようなものだったのでしょうね。
くれぐれもこうした「ウマイ話」に引っ掛かることのないようご注意ください。
なお「広告塔」として引っ張り出されている「美しすぎる元カリスマ証券レディ」氏は本件については完全にスルーのようです・・・ナルホド。
参考になさってください。
では最後に、今回の「投資顧問サービス」とは直接的には関係ないものの、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |