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貯金・定期預金コラム:
アセットシェアリング予定利回り5.2%は魅力的?

定期預金や貯金に関連する最新のニュースから感じることを徒然なるままにつづっております。少しでも読者のみなさまの参考になれば幸いです。今回、取り上げる情報はこちらです。
2017/3/9 <インテリックス

アセットシェアリング




※抜粋

編集部からのコメント

当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。

そして今回取り上げるのは株式会社インテリックス社が提供する「アセットシェアリング」です。

アセット=資産であり、シェアリング=共有と言った意味ですから、直訳すれば「資産共有」ということになりますが、この商品の場合は「みんなでお金を出し合って1つの不動産を共有する」と言った意味合いですね。

商品の構造としては「投資信託」に近いものかと思いますが、気になるその商品内容は、先日販売された「アセットシェアリング横濱元町」を参考にするとこのようになっています。

−−−

・物件名称 : MID横濱元町(1F・B1・2F・3F)
・所在地 : 神奈川県横浜市中区元町3丁目130番1
・募集総額 : 10.5億円
・募集総口数 : 1,050口
・運用期間 : 30年
・最低出資金額 : 500万円(5口)
・予定利回り : 5.2%(※)

※予定利回りとは年間賃料収入の物件価格に対する割合です。公租公課、維持管理費等を控除する前のものです。 予定利回りは現在の想定であり、元本や分配金等が将来にわたって保証されるものでありません。

−−−


直感的には予定利回りが「年間賃料収入の物件価格に対する割合」であり、「公租公課、維持管理費等を控除する前のもの」ということであれば5.2%という水準は概ね妥当なのではないかと思います。

新築マンションの表面利回りが4%〜6%と言われていますので、その点からも5.2%という水準は決して突飛なものではありません・・・とするとこの物件は「MUST BUY」なのでしょうか?

もちろん、そんな訳はありません。世の中にウマイ話はありませんし、仮に本当にウマイ話なのであればインテリックス社がわざわざ外部の個人投資家に転売することなどありえませんからね。やはり相応のリスクがあると考えるべきです。

ではこの商品のリスクはどこにあるのでしょうか?

まず1つ目は、不動産投資全般に言えることですが建物は経年劣化していく、ということですね。仮に40年後に無価値になるとすれば年2.5%、50年後に無価値になるとすれば年2%、価値が失われていきます。

もちろん建物が無価値になっても土地は残るわけですが、しかし多額のコストや複雑な権利関係を考慮すると、そうすんなり建て替えができるかどうかというのは分かりません。とすると上記の通り、年2%〜2.5%ずつ「物件価値」が失われていくと考えておいた方が無難です。

また上記の通り計算に入っていない「公租公課」や「維持管理費」がどれくらいになるのかというのも気になるところです。仮に1%や2%といった規模になると利回りのかなりの部分が差し引かれることになります。

さらに賃貸には必ず「空室リスク」がつきまといます。この商品の投資対象は詳しくは以下のようになっています。

・延床面積 : 1,627.25u(全体)のうち718.86u(本件対象部分)
・専有面積 : @1階部分119.48u 地下1階部分46.02u、A2階部分204.67u、B3階部分203.16u

つまり、投資対象である719平方メートルのうち、1階部分は119平方メートルしかありません。残りは地下1階、2階、3階となりますが、その空室リスクはやはり1階部分より高いのでしょうね。きっと。

仮に平均の空室率が10%とすると、実質的な利回りは5.2%から10%を差し引いた約4.7%ということになります。

ということでまとめるとザックリとした「実質リターン」はこのようになってきます。

・表面利回り : 5.2%
・空室率 : 10%
・経年劣化 : 年2%〜2.5%
・税金、維持管理費 : 年1%〜2%
→ 実質リターン : 1.68%〜0.18%

なかなか現実的な数字に落ち着いてきましたね。自己資金なら多少利益が出る可能性があるけれども、借り入れが伴うと絶対損する利回り水準と言えます。

そして恐らく話がこじれそうなのが上記コストの中の「経年劣化」は「隠れコスト」だと言うことです。こうした「建物価値の目減り」は、毎月の収支には反映されず、転売しようとした時や建て替えをしようとした時にいきなり表面化することになります。

例えば10年後に転売するとすれば、このようなケースが考えられます。

・初期投資 : 1,000万円
・配当 : 368万円 ※リターン率を3.68%と仮定
・売却損 : 250万円 ※経年劣化を2.5%と仮定

それでも差し引き+118万円のリターンが残るわけですが、しかし毎年の配当は日々の生活の中できっちり使い切ってしまっているとすれば「250万円の売却損」だけが残ることになります。紛糾必至でしょうね・・・。

というわけで、予定利回りが5.2%と言っても、実質的なリターンはそれよりはるかに低いという点はしっかり認識いただければと思います。

次にこの719平方メートル=10.5億円という値付けの妥当性について考えてみたいと思います。残念ながら記者は専門家ではありませんので正確に批評するのは難しいわけですが、まずは近隣の投資物件情報を探すと以下のような物件にヒットしました。

1.横浜市中区 SRC一棟商業ビル(築26年) : 2,582平方メートル/8億円 ※1平方メートルあたり31万円

2.横浜市中区 「関内」駅至近ビル(築23年) : 1,188平方メートル/6億円 ※1平方メートルあたり50万円

物件によって随分差があるわけですが、ちなみにこのアセットシェアリング横濱元町の場合は「1平方メートルあたり146万円」ということで・・・新築である点を割り引いてもそれなりにお高い値付けになっているのは間違いなさそうです。

さらに賃料からもその妥当性を検証したいと思いますが、予定利回り5.2%ということは毎年10.5億円×5.2%=5,460万円の賃料が想定されている、ということですね。つまりは月455万円の賃料収入が必要なわけですが、これまた近隣の賃料をチェックしてみるとこのようになっています。

1.元町・中華街駅6分の貸店舗1階(新築) : 138平方メートル/月59.4万円 ※1平方メートルあたり4,300円

2.元町・中華街駅7分の貸店舗2、3階(新築) : 64平方メートル/月24.8万円 ※1平方メートルあたり3,900円

わずか2物件からの想定ですが、1平方メートルあたり月4,000円程度の賃料ということですね。では、このアセットシェアリング横濱元町の賃料設定はと言うと・・・「1平方メートルあたり6,300円」とかなり強気の設定になっています。近隣の1.5倍ということですね!うーむ・・・。

もしこうした価格設定が実情に即していないということであれば、利回りはどんどん下がっていくことになります。

ちなみに仮に利回りが下がったとしても固定費はビタ一文減りませんので、最終的なリターンが赤字になる可能性も十分考えられます。ご注意ください。

最後に運営母体である株式会社インテリックス社の経営状態をチェックしてみたいと思います。2017年5月期の中間決算は、前年同期比でこのようになっています。

・売上高 : 193億円 → 189億円
・経常利益 : 9億円 → 2億円
・当期利益 : 6億円 → 1億円

積極的なCMは好調な業績が背景にあるのかと思いきや、今期は大きく減益基調ですね!今期の業績予想はこうなっています。

・売上高 : 390億円 → 454億円
・経常利益 : 15億円 → 12億円
・当期利益 : 10億円 → 8億円

「増収減益」予想だということですね。いずれにしても利益面から見れば、この「アセットシェアリング横濱元町」だけで10.5億円の残高があるわけで、十分な信用力・体力があるかと言われればそれはなさそうです。

ちなみにこの「アセットシェアリング横濱元町」はすでに完売しているようですが、次回以降の商品への投資を検討されている方は、上記のような懸念点をしっかりクリアした上で投資判断をしていただければと思います。

参考になさってください。

では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。

1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。

2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。

3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。

加えてこちらの記事も参考になさってください。

>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方

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