当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは日本クリプトカレンシー協会の「仮想通貨投資セミナー」ですね。
以前もとりあげた同協会のセミナーですが、またまたこのような広告が表示されておりました。
相変わらず「資産10倍」とのことです・・・胡散臭いですねぇ。本当に資産が10倍になるなら記者も喜んでセミナーに参加したいですが、当然のことながらそんなウマイ話があるはずもありません。
もし事実なら、運営者はセミナーを開催して小金を稼ぐ暇があったら、100%自己資金の運用に注力するはずですね。3,000円のセミナーで3,000人の参加者を集めても900万円にしかなりませんが、資産10倍の投資を続ければけた違いの利益が出てくるのは間違いありません。
そうしないという事は結局、「3,000円分の価値しかない情報」と考えるのが自然ですね。もちろん、3,000円の価値すらない可能性もありますが・・・。
ただ一方でビジネスモデルとして、恐らく2〜3年運営されていてその間の売り上げがセミナー参加料900万円だけ、というのはあまりに脆弱です。2人分の人件費ですら賄うのは難しそうです。やはり、セミナー中やセミナー後に何等かのクロスセルがなされるということなのでしょうね。
要するにセミナーはあくまで撒き餌のようなもので、その後で本格的なセールスが始まるということではないかと思われます。
というわけで以前の記事でもご紹介しましたが、セミナー参加者によれば「XNC」という仮想通貨が推奨されていたということです。
>>>日本クリプトカレンシー協会勉強会で資産10倍!は本当?
アンティークコインを担保にした仮想通貨という仕組みが良く分かりませんが、上記コラムでも述べたようにこうした仮想通貨が詐欺かどうか見破る簡単な方法があるようです。
それは何かといえば、仮想通貨の取引市場で取引されているか調べればいいのですね。もし取引されていれば実態があるわけですが、もし取引されていなければ「実態がない」、ということになります。その取引市場のサイトがこちらです。
>>>Crypto-Currency
Market Capitalizations
では「XNC」が掲載されているかと言えば・・・当然掲載されておりません。この「XNC」は同協会サイトによれば2016年秋に取引開始予定だったわけですがもう2017年の初夏です。セミナーの話を信じて投資をした人は泣きを見ていることでしょう。
ちなみにこの「XNC」の発売元と思われるNumismatic Lab Ltdのサイトではこのように表記されています。
あえて英語サイトをチェックしてみましたが、「初期購入価格」や「流通予想価格」がドルでもポンドでもなく、「○○yen」と書かれているのが泣けますね。要するにいたいけな日本人投資家をターゲットにしたものであるということです。
また市場公開日が2016年8月となっておりますが、2017年5月現在、取引所で取引できないのは申し上げた通りです。
今のところ日本クリプトカレンシー協会は自身が推奨したこの「XNC」の現状について、お詫びする気も、情報を更新する気もないようです。
ではその「XNC」が頓挫した今、日本クリプトカレンシー協会がセミナーにて最終的にセールスしているものが何かと言えばこれまた参加者のブログによれば以下3つだったようです。
1.仮想通貨を持っていない人のために仮想通貨購入を代行するサービス。手数料5%。
2.有料フェイスブック。月額5,000円弱。
3.ビットコインを利用しての沖縄のメガソーラーへの投資。
どれも胡散臭いですが、やはり気になるのは3つ目の「メガソーラーへの投資」ですね。他のものと比べると仮に詐欺に引っ掛かった場合の被害額がけた違いに大きくなります。
というわけで調べてみると、これは日本クリプトカレンシー協会の創設メンバーの1人であり、セミナーの講師でもある小川晋平氏が代表を務めるビットプロパティ株式会社が買収を進めている沖縄県石垣島の太陽光発電施設のようです。
こちらの記事によれば、発電所は15億円の資産価値に対して利益総額は約7,652万円/年、利回り5.1%/年ということですからなかなか魅力的ですね。もちろん太陽光発電所システムは経年劣化していきますので20年後に無価値になるとすれば利回り5.1%でもトータルの収支はほぼゼロですが・・・(20年後に102%の配当と無価値の太陽光システムが残る)。
>>>ビットプロパティー、沖縄のメガソーラーを仮想通貨テクノロジーでトークンにして売る
それはともかくとして、なぜ間にビットコインをかます必要があるのかという点はさておき、一見まともな投資案件にも見えます。しかし上記記事には続きがあって、執筆者の方は記事掲載後大きく以下2つの点について疑問を感じ、同社に質問しております。
1.機関投資家から14億円超の資金を集めるプロジェクトを非公開で進めていることが本当なのか疑問がある。
2.仮想通貨/暗号通貨関連の投資商品として法的に疑問がある。
もっともな疑問ですが、2については一定の説明がなされたものの、1については最後まで「顧客保護の観点からエビデンスは出せない」ということでゼロ回答だったようです。
あくまで同社が14億円相当のビットコインを保有していることを証明すればいいだけですので、顧客情報を保護しながら説明する方法はいくらでもあると思いますが、それをしないということは「できない」、つまり14億円の投資を受けていないと考えるのが自然でしょうね。
また、そもそも15億円の資産価値のメガソーラーの買収案件において、2015年12月から約5ヶ月間で14億円相当のビットコインを集めたということですから、何もわざわざ個人投資家から資金を集めなくてもすでに十分な資金があるはずです。そこから1年経過しているわけですからね。
>>>サイト公開前の5ヶ月間でリアルチャネル(オフライン)にて、国内外より20,000BTC(現在価値14億円超)分のBTPトークンが購入される
百歩譲ってそこからなかなか資金が集まらなかったとしても、今や1ビットコイン=1,824ドルです。2万ビットコインの価値は約42億円に跳ね上がっています。すでに太陽光発電所を3つくらい購入していてもおかしくないわけですが、同社サイトを見ても具体的な太陽光発電所の説明は一切ありません。
>>>ビットプロパティー株式会社
ちなみに面白いのは同社英語サイトでは発電所に関する詳しい説明があるのですね。
外人ならウソがばれないだろう、ということなのでしょうか・・・。真偽は分かりませんが、いずれにしても2017年5月現在、表記は「BTP
will include "Okinawa Mega Solar"」となっており、つまり「入手する予定」とのことですね。
2016年6月のプレスリリースの時点で14億円相当のビットコインを保有し、その価値は今や42億円となっているのに、まだ15億円の発電所が購入できていないというのは一体どういうことなのでしょうか・・・すでに投資を募っているのでなおさら大いなる疑問が残ります。
まぁ、常識的に考えればその答えは1つですが、いずれにしても日本クリプトカレンシー協会がセールスしてくるものは何から何まで胡散臭いということですね。
もし投資や購入を検討されている方は慎重にご判断ください。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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