当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは以前も取り上げたみんなのクレジットですね。まず前々回のコラムでは以下のような点を指摘させていただきました。
・「元本割れ案件は1件もない」「元本割れ案件0件」と言った表現を通じて、あたかも同社の扱う投資案件が「極めて安全である」という印象を与えております。もし同社の投資案件が元本割れが発生しにくい極めて安全なものであるなら、見ず知らずの投資家に対して最大12%(当時)ものリターンを払ってまで資金集めする必要など一切ありません。
・すべての案件が「担保付き」だとすると、「担保があるのに15%や20%の金利を払わないとお金を借りられない会社」というのは一体、どういった企業なのですかね?思いつくのは以下4つしかありません。
1.担保があっても業績が悪く回収の見込みが立たない
2.担保に価値がない
3.反社会的企業
4.担保があるというのは虚偽
・どれであっても、やはりハイリスクです。常識的に考えれば、この「みんなのクレジット」への投資は「ハイリスク」であり、その事実を全く開示していない以上、故意かどうかはともかくとして結果的に「悪質」と評価せざるを得ません。
>>>最大利回り12%!みんなのクレジットは魅力的?
そんな素人目から見ても悪質な資金集めを行っていた「みんなのクレジット」ですが、ついに証券取引等監視委員会の検査を受け、業務停止処分が出されております。
>>>株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について
前回のコラムで問題点を平たくまとめましたがこういうことですね。
1.集めたお金のほとんどを親会社に融資していた。
2.集めたお金の返済に、新たに集めたお金を流用していた。
3.担保は自分の会社の未公開株であり、担保として無価値だった。
4.集めたお金の一部を白石代表が個人的に横領していた。
5.その親会社は毎月多額の損失を出し続け、累積赤字を増加させており、債務超過の状態。返済が滞る可能性が高い。
最悪です・・・。
>>>利回り14.5%!みんなのクレジットはやっぱり詐欺
そんな問題点だらけの「みんなのクレジット」ですが、報道によれば8月2日付で、今度は東京都産業労働局から貸金業法に基づく行政処分を受けたようで、その内容は以下の通りです。
・業務停止処分 : 禁止行為違反(過大担保の徴求)
・業務改善命令 : 利息制限法違反、契約締結時の書面の交付違反
>>>当社に対する貸金業法に基づく行政処分について
意外と「資金集め」の方ではなく、「融資」の方での行政処分であり、「それなりに真面目に融資もしていたのだな」と変な感心をしてしまいそうになりますが、それはともかくとしてこれで結果的に「資金集め」と「融資」の両輪で行政処分を受けたわけで、いよいよ会社の存続が危ぶまれる状態となってきました。
実際のところ7月末の返済がストップしたようですので、「Xデー」は近そうですが、そのように返済が停止した理由について「みんなのクレジット」社はこのように説明したようです。
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7月27日に一部の投資家様(23名)が弊社融資先に対して直接的回収行動に入られたため、融資先における不動産売買決済や融資が一時停止し、その結果、現在まで継続してきた弊社への約定通りの弁済を7月28日に実行出来なくなった旨の連絡を受けました。
またこのアクションにより、融資先から弊社に対し裁判外紛争解決手続きによる調停の提起がなされることとなり、そこでの合意が行われるまでの間、融資元金の償還は一時的に停止するとの通達が届きました。
元金償還対象の投資家様におかれましては大変なご迷惑とご心配をお掛け致すこととなり、誠に申し訳ございません。
週明け31日以降、早急にかかる融資先との基本合意を調印し、合意が行われ次第順次元金のマイページへの反映を実行させていただきます。
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時系列で並べるとこういう主張のようです。
・投資家の直接的回収行動 → 融資先の決済や融資が停止 → みんなのクレジットの返済が停止
残念ながらにわかには信じがたいですね。融資には「期限の利益」というものがあって、要するに約束通り返済を続ける限り「急に全額返済を求められたりしない」という法律上のルールがあります。
さもないと怖くて融資など絶対受けられないですからね!
その「融資先」も約束通り返済を続けている限り、やはり「期限の利益」で守られ、投資家が直接的な回収行動をしたとしてもそれに応じる必要は全くありません。
そういった回収競争が始まるのは「みんなのクレジット」が破たんした時ですが、それでもやはり「融資先」が約束通り返済を続ける限り、いきなり資金や口座を差し押さえられてしまうようなことはないはずです。
では投資家が「直接的回収行動」に出るとすれば恐らく以下のパターンしかないと思います。
・融資先の決済や融資が停止 → みんなのクレジットの返済が停止 → 投資家の直接的回収行動
とすると上記の「釈明」は全くのデタラメか、書かれていない事実が何かあるということなのでしょうね。
いずれにしても8月10日現在、支払いが再開したという話は聞きませんので、「みんなのクレジット」が「重大局面」を迎えているのは間違いなさそうです。
ここでふと気になったのが、これまでネットでこの「みんなのクレジット」を推奨してきた方々の動向ですね。もちろん悪意があったわけではないでしょうし、自身も被害に遭っている方も少なくないでしょうけれど、一方で、このような高金利の資金集めが永続できるはずもなく、やはりそこには一定の「紹介責任」が問われそうです。
当サイトにもまさにこの「みんなのクレジット」社のバナーを掲載しませんか?というお誘いが来ましたが、さすがにこうした危険な投資を積極的にPRするのは良心に反しますので丁重にお断りしました・・・。
というわけで「みんなのクレジット」で検索して出てきたサイトをチェックするとこのようになっています。
1.ソーシャルレンディングの個人ブログ
「デフォルトXデーが近づいたのではないか?」「高い勉強代だった。」としながらページ下部にはちゃっかり他のソーシャルレンディングの広告が・・・。
2.クラウドファンディングの比較サイト
「今後みんなのクレジットで更に社会性の高い投資ができるようになるのは非常に楽しみです。」「みんなのクレジットは他の投資型クラウドファンディング業者の中でも利回りが最大14.5%と非常に高い点や魅力的なキャッシュバックキャンペーンを開催するなどサービス精神が旺盛な部分も多くの投資家から支持を得ている理由の一つ。今後の事業拡大へ向けて着実に投資家を増やしていっています。」と言ったポジティブな記述が残ったままですが、ページ下部にはやはり他のソーシャルレンディングの広告が・・・。
大した根拠もなく信頼性が高いかのように謳っており、「みんなのクレジット」の行政処分後であることを踏まえれば非常にたちが悪いですね。
3.みんなのクレジット解説サイト
「今回の件でソーシャルレンディングは危ない!と思った人も多いかと思います。私もその通りだと思います。」「私も今回の件で、もうちょっと業界のことを調べておけばよかったと反省しています。少なくともみんなのクレジットのように、設立して間もない会社は避けたほうがいいでしょうね。」などと反省の弁を述べておられるのですが、その下ではちゃっかり「クラウドクレジット」社の広告を掲載しています。
4.みんなのクレジット応援サイト
「再建の道はいばらの道でしょう。」と冷ややかな見通しを述べながら、「規模は小さくても、ガバナンスに注力している、透明性のある会社に投資していきます。」として以下の会社を紹介しています。
一体これらの会社の何を見て、「ガバナンスに注力している透明性のある会社」と思ったというのでしょうか・・・。
5.資産運用個人サイト
「今回のみんなのクレジットの不祥事や返済遅延の最大のポイントは、ガバナンス不全にあると私は考えてます。」と総括した上で、「第3者でしっかりした企業から出資を受けている」として2社のソーシャルレンディングをお勧めしています。
どの会社から出資を受けていようと永続不可能なビジネスモデルである以上、そのリスクは基本的に「みんなのクレジット」と少しも変わりません。
6.投資型クラウドファンディング解説サイト
「みんなのクレジットの問題をきっかけに今後、投資家はよりいっそう健全な業者を選ぶことが強いられてくることは間違いありません。」 としつつ、「安心して利用できる業者選びはこちら」として以下のようなソーシャルレンディングを紹介しています。
こちらも「みんなのクレジット」事件が表面化したにも関わらず、根拠が薄弱なまま「安心して使える業者」としてソーシャルレンディング会社を紹介しており悪質ですねぇ。
疲れてきたのでこのあたりでやめておきますが、要するにみなさん、全然全く懲りていないということですね!いやはや・・・。
いつもご案内しているようにローリスク・ハイリターンなどあり得ません。担保もあって安全なのに年10%もの利息を払ってくれる会社もあり得ません。もしそんな会社があるなら、ソーシャルレンディング会社自体が銀行借り入れでも何でもして資金調達をして融資を行い、利ザヤをガッツリ自分たちで確保するはずですね。
そうしないということは簡単に言えば
・その融資先は自分たちでは融資したくないようなハイリスクの会社=クズ会社である。
・どこにも融資せずに集めたお金で配当を出している「ねずみ講」である。
のどちらかです。「みんなのクレジット」は赤字である親会社に融資していたようですから「その両方」と言えるのかもしれませんが。
仮に「ねずみ講」であれば破綻するのは時間の問題ですし、前者であっても個人投資家の方々はまさか自分たちがそんなハイリスクな投資をしているとは思っていないでしょうから、やはり返済が滞れば新規資金の獲得は望めず、そのままビジネスクローズに向かうものと思います。
つまりはどちらに転んでも投資としてはかなり危険であるにも関わらず、涼しい顔で広告を続けているというのは一体どういう神経なのでしょうねぇ。まぁ、広告費さえ入ればいいということなのでしょうけれど。
ちなみに上記広告例を見返してみると、6サイトに共通しているのが「クラウドクレジットを推奨している」という点ですね。ではそのクラウドクレジットが信頼できるかと言うと・・・久しぶりにサイトをチェックしてみましたが、財務情報は何も公開されておらず、その点では「全く信用できません」。
もしクラウドクレジット社が破綻すると、これらサイトオーナー達はどのような「反省」を行うのでしょうか?・・・まぁ、結局反省しないのでしょうけれど。
なおクラウドクレジット社についてはこちらのコラムも参考になさってください。
>>>利回り10.5%!クラウドクレジットは魅力的?
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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