当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社グリーンインフラレンディングのクラウドファンディングである、グリーンインフラレンディングですね。そのままですが。
上記ホームページ画面の通り、「グリーンインフラレンディングは再生可能エネルギー事業に特化したソーシャルレンディングサービスです」とのことですから、単なる投資リターンだけでなく社会貢献の一翼も担えるわけで、投資家でなくても興味が湧きそうです。
ではその「グリーンインフラレンディング」 の具体的な投資案件はと言うと直近のものではこういったクラウドファンディングが提供されています。
・メガソーラーローンファンド : 12%
・バイオマス発電ローンファンド : 11%
・小型風力発電ローンファンド : 12%
確かにどれも再生可能エネルギー事業ですね!知らないビルやマンションに投資するクラウドファンディングに比べれば、はるかにワクワク感があります。
震災直後の電力危機の際、太陽光発電の機運が高まりましたが、マンション暮らしの記者にはチャンスがなく、せめて太陽光発電に投資するファンドでもあれば間接的にでもその普及に貢献できるのにと思ったものですが、こうしたクラウドファンディングの形で提供されるとは・・・感慨深いものがあります。
では記者がこうしたクラウドファンディングに投資するかと言えば・・・残念ながらそれはありません。と言うのもこうした再生可能エネルギーの購入価格は概ね投資資金が10年程度で回収できるような設計になっているかと思いますが、であれば考えられるリターンは常識的には「最大で10%」であり、11%〜12%のリターンというのはあり得ません。
加えて、実際に事業者が支払う利息はクラウドファンディング業者に支払う手数料も込ですから、少なくとも13%〜14%といった水準になるかと思います。どう考えても採算が合わないですよね・・・。
またこのようなクラウドファンディングの場合、最終的に「元本」も返さないといけないので、求められるトータルリターンは「元本+毎年13%〜14%の利回り」ということになります。とすると設備がまともに働き、売電収入も高い最初の10年や20年で240%や380%といった収入を稼ぐ必要があります・・・絶対無理ですね。
というわけで簡単に試算しただけでも帳尻が合っていないことに加えて、もし記者がこの再生可能エネルギー事業の運営者なのであれば、絶対銀行から資金を借ります。
銀行であれば利率が1〜2%程度であることに加え、担保もあるわけですから、反社会勢力などでなければ間違いなく融資してくれるはずです。とすると事業者は安定的に儲けることができますね!せっかく作った発電所を投資家に売却する必要もありません。
そうしたわけで
・こんなに利息が高いとビジネスが赤字になるはず。
・わざわざ割高なクラウドファンディングのお金を当てにする理由が全くわからない。
といった点を考慮すれば、信用するのは難しいですねぇ。利回りが1、2%であればまだ現実的なのですが。
ということですでに結論が出ておりますが、もう少し案件を深堀してみたいと思います。実は最初に目についたのは「風力発電」でしたので、このクラウドファンディングの中身を見てみます。
これも利回りが12%と高すぎるわけですが、抜粋するとこう説明されています。
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今回の借り手は、事業者Aです。
事業者Aは、再生可能エネルギー事業開発事業者Cに対して、小型風力発電所(2基)の整備のための資金として、6,000万円の融資を行います。
今回、再生可能エネルギー事業開発事業者Cに対する融資金として、6,000万円を以下の要領で募集させていただきます。
・2,000万円(一括返済)(第1次募集)
・1,230万円(一括返済)(第2次募集)
・ 169万円(一括返済)(第3次募集)
・2,599万円(一括返済)(第4次募集)
事業者Cは、再生可能エネルギー開発事業をおこなっております。
事業内容としては以下の通りです。
1.太陽光発電開発事業
2.海外水力発電開発事業
3.バイオマス発電開発事業
4.その他の再生可能エネルギー事業の開発支援等
事業者Cは、東北地方における小型風力発電所の整備を進めており、本案件を投資家等に販売することにより、販売後の売却代金を原資に返済がおこなわれます。
−−−
この計画が正しいのだとすると、ポイントとなってくるのが
・小型風力発電所(2基)の設備資金として6,000万円というのは妥当なのかどうか。
・果たしてこの風力発電から年間12%=720万円以上の売電収入が得られるのか。
という点ですね。
で、その風力発電のスペックはこのようになっています。
20kwのものが2基ということですね。で、この20kwの風力発電所の建設コストを検索してみるとこうなっておりました。
・1kwあたり120〜130万円
トータル40kwですから、全体として4,800万円〜5,200万円ということになります。その点では「6,000万円」というのはさほど不自然な額ではなさそうです。
次にこの40kwの風力発電から得られる売電収入ですが、「いい風の状況のところ」だと(30%の稼働率)1年で約580万円程度の売り上げが見込めるようです。決して低い金額ではありませんが、求められる「720万円」といった水準からはかなり乖離があります。
さらにこの「風量」がかなり楽観的な数字だとすると、なおさらビジネスが破綻するのは時間の問題ですね。
思惑通り投資家に売却できればいいですが、売却できないこともあり得る点を踏まえれば、やはりちゃんと収支が合うのかどうかはチェックしておく必要があると言えます。
加えて、設備はどんどん傷んでいくわけで、繰り返しになりますが設備がまともに動く10年や20年で「元本」まで返済しようと思うと求められるリターンは720万円どころかその2倍の1,440万円でも足りません。
やはり・・・どう考えても12%と言ったリターンを吐き出し続ける限り、この投資が黒字になるとはとても思えませんね。信用・信頼するのは難しそうです。
もし投資を検討されている方は、こうした点をしっかりチェックいただければと思います。
もちろん投資家に売却できたとしても、その金額が6,000万円以下であればやっぱり売却損が発生するわけですが。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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