当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社メディオの販売する社債「トラスト」ですね。このような広告が配信されています。
「固定配当金利4〜8%」で「堅実な資産運用」ということならとても魅力的ですが実際にはどうなのでしょうか。
ちなみに以前、この社債に関連して取り上げた記事がこれらとなります。
>>>固定配当金利4〜8% ノア社債は魅力的?
>>>安心の資産運用?ミレニア社フューチャー投資は魅力的?
要するに、確認できただけでもこのように会社名を変更して募集を続けていることが分かります。
・株式会社ミレニア「フューチャー投資」(2014年)
↓
・株式会社メディオ「トラスト投資」(2015年)
↓
・株式会社ノア「ノア投資」(2016年)
そして今回=2017年は再び株式会社メディオの「トラスト投資」ということですね。もちろんこのようにわざわざ名称を変更して募集を続ける合理的な理由は一切ありませんし、これらの会社のホームページ上でも全く説明されていませんので、性悪説に立てばやはり何か「投資家を騙さないといけない理由がある」と考えるべきではないかと思います。
ちなみに過去のスクリーンショットを振り返るとこうなっています。
デザインが全く同じですので、これだとわざわざ社名や商品名を変えている意味が全くないですね・・・とにかく粗雑な運営を続けていることが分かります。実際、今回の募集は「第8期」となっておりまして、昨年の「ノア」の「第8期」から更新すら失念されています。いやはや。
ちなみに前回のコラムで指摘したのは主に、本社の所在地や事業内容、経営実態が全く見えてこないということでした。残念ながらそれは今回のメディオ社も同様です。同社ホームページから抜粋するとこうなっていますが、具体的なサービス名などは一切記載されておらず、確認のしようがありません。
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・業務ソフトウェアの開発
業務ソフトウェア開発を承ります。お客様企業の業務効率化、サービス向上のため、最適なソリューションをご提案致します。医療・教育の分野におきましては多数の実績がございます。
・パッケージソフトの販売
お客様のビジネスを効率化するためのソフトウェアをご提案致します。
・インターネットサービスの企画・運営
弊社開発のソフトウェア・サービスを、月額費用のみでご利用頂けます。
・サーバー構築・管理業務
日本IBM・NEC・KDDIなど、提携事業者のデータセンターにてお客様サーバーを365日24時間管理します。
・ホームページ企画・制作業務
・ドメイン取得・管理業務
・広告代理業務
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「多数の実績」や「パッケージソフト」があるのですから、隠す理由が分かりません。「すべて嘘」ということなら納得できますが(さすがにそれはないと信じたいと思います)。
というわけでこのまま行けば前回のコラムと同じような形で終わりそうだったのですが、今回はメディオ社の住所「京都府京都市下京区四条大宮町33−402」から新たな情報を探し出すことができました。
まずいきなりのハイライトですが、金融庁が発表している「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」のリストの中でこの住所が出てくるのですね!
>>>無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(金融庁)
こちらは「ミレニアソリューション株式会社」となっていますが、住所は全く同じである上に、「ミレニア」は同社の親会社ですね。実際、同社のホームページでもこのように紹介されています。
・現在、弊社はミレニアムシステムの情報システム開発部門として積極的な営業活動を行っております。
実質的に同じ会社であるのは間違いなさそうです。
つまりはすでに同社グループは金融庁から、「違法に金融商品取引を行っている」と警告を受けているわけで、その点ではこの投資について「信頼できない」と結論づけてよいものと思います。
なお今回出てきた「ミレニアソリューション株式会社」を調べてみるとさらに興味深い情報が出てきました。ノア社や今回のメディオ社では記載されていなかった具体的な商品・サービス名が分かったのですね!こういうことになります。
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・教育・医療機関向けソリューション
個人情報管理や予約管理のシステム化によって、大幅な業務効率化を実現致します。電子カルテシステムにより、医療機関の業務効率の大幅な改善を行います。大量の個人情報を安全に取り扱うためのセキュアなサーバーをご提案致します。
・パッケージソフト販売
自社開発のオリジナルパッケージソフトを販売しています。医療公益法人との提携により約1000の病院・診療所へ導入された『がんばるドクター』や、ネットショップサイトを簡易に構築可能にした『今日から店長』などの販売を行っております。
・京都振興事業
京都の産業活性化のため、NPO法人への支援の他、新規ビジネスのHP制作やベンチャー企業の開業コンサルティング等を行っております。
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注目はやはりパッケージソフトである「がんばるドクター」と「今日から店長」ですが、どちらも検索してみても全く名前が出てきません。パッケージソフトとは最終製品として販売しているソフトですから、販売されていればどこかに現れてくるはずですが、出てこないということは販売実態がないと考えるのが自然ですね。
特に「がんばるドクター」については「約1000の病院・診療所へ導入された」とのことですから尚更です。やっぱり信憑性はなさそうですね。
というわけで前回のコラムと同じしめくくりですが、行政は一体何をやっているのでしょうか。
そして上記広告が今も掲載され続けているGoogleの広告審査体制は一体どうなっているのでしょうね。
次回は第9期か第10期なのか分かりませんが、来年こそこうした無責任な広告が垂れ流されないことを祈りたいと思います。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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