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貯金・定期預金コラム:
利回り11%!グリーンインフラレンディングは魅力的?

定期預金や貯金に関連する最新のニュース、コラムから感じることを徒然なるままにつづっております。少しでも読者のみなさまの参考になれば幸いです。今回、取り上げる内容はこちらです。

グリーンインフラレンディング




※抜粋

編集部からのコメント

当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。

そして今回取り上げるのは株式会社グリーンインフラレンディングのクラウドファンディングである、グリーンインフラレンディングですね。初めて取り上げるかと思っていましたが、何と3ヶ月前に取り上げておりました・・・あらら。

>>>12%!グリーンインフラレンディングは魅力的?

その時に指摘した事項は以下の通りです。

・再生可能エネルギーの購入価格は概ね投資資金が10年程度で回収できるような設計になっているかと思いますが、であれば考えられるリターンは常識的には「最大で10%」であり、11%〜12%のリターンというのはあり得ません。 加えて、実際に事業者が支払う利息はクラウドファンディング業者に支払う手数料も込ですから、少なくとも13%〜14%といった水準になるかと思います。どう考えても採算が合いません。

・簡単に試算しただけでも帳尻が合っていないことに加えて、もし記者がこの再生可能エネルギー事業の運営者なのであれば、絶対銀行から資金を借ります。わざわざ割高なクラウドファンディングのお金を当てにする理由が全くわかりません。

書いたことを全く忘れておりましたが、それでも読み返してみて当時の指摘事項について今でも特に修正すべき点はなさそうです・・・手前味噌ではありますが。

そうしたわけで今回も早々と結論が出てしまっているわけですが、ここで終わってしまっては全く意味がありませんので、最新の募集案件をチェックしてみたいと思います。最新のものは上記キャプチャの通り「【第9弾】バイオマス発電ローンファンド(第3次募集)」ですね。「第9弾」の「第3次」ということで一体いつまで続くのかよく分かりませんが、その内容はこのようになっています。

−−−

今回の借り手は、事業者Aです。

事業者Aは、再生可能エネルギー事業開発事業者Cに対して、事業者Q(SPC)が開発するバイオマス発電所(100MW)の取得に向けた保証金の支払いのための資金として2.5億円の融資を行います。

事業者Cは、九州地方におけるバイオマス発電所の開発について、当該保証金を支払い、当該案件の協同開発権を確保したうえで、当該案件のデューデリジェンスを進めるとともに、当該案件の開発に向けた対応を事業者Qと連携して進めていきます。

今回、再生可能エネルギー事業開発事業者Cに対する融資金として、2.5億円を以下の要領で募集させていただきます。(借り手は事業者Aとなります。)

・2,500万円(一括返済)(第1次募集)
・2,500万円(一括返済)(第2次募集)
・2,500万円(一括返済)(第3次募集)
・2,500万円(一括返済)(第4次募集)
・2,500万円(一括返済)(第5次募集)
・2,500万円(一括返済)(第6次募集)
・2,500万円(一括返済)(第7次募集)
・2,500万円(一括返済)(第8次募集)
・2,500万円(一括返済)(第9次募集)
・2,500万円(一括返済)(第10次募集)

事業者Cは、事業者Qが進める九州地方におけるバイオマス発電所の開発に係るデューデリジェンスを実施し、その結果、協同開発を進める場合には、(1)金融機関等によるリファイナンスを得るか、または(2)本件開発案件を当該発電所の建設・運営を目的とする事業主体に販売することにより、リファイナンス資金または売却代金を原資に返済がおこなわれます。

◆保全

事業者Cが開発中の別のバイオマス発電案件経産省認定設備IDの譲渡担保(評価額17.5億円。既設定2.5億円)

−−−


何度読んでも・・・よくわかりませんねぇ。A社は単なるお金の通り道ですから、問題はC社ということです。C社の中身はどうなっているかという話はとりあえず後回しにして、「お金の使い道」をチェックするとこうなります。

バイオマス発電所(100MW)の取得に向けた保証金の支払いのための資金

当該保証金を支払い、当該案件の協同開発権を確保したうえで、当該案件のデューデリジェンスを進める

つまり100MWのバイオマス発電所の協同開発権を確保するには2億5千万円の保証金が必要とのことですが・・・これは本当なのでしょうか?何となく「デューデリジェンス→協同開発権の確保→保証金支払い」という順番ではないかと思うのですが、上記説明によれば「保証金の支払い→協同開発権の確保→デューデリジェンス」とのことです。C社の立場は弱いということなのでしょうか・・・。

また、デューデリジェンスとは「案件の精査」といったような意味合いかと思いますが、精査したところ「思ったようなリターンが得られそうにない」となったら保証金は返してもらえるのでしょうか?

もし返してもらえなければ、個人投資家の資金は一瞬にして蒸発してしまうことになりますが、それに関する説明は特になさそうです。

その点では、保証金の支払先である事業者Q(SPC)が一体どういう会社なのかという点も気になりますが、やはりこれも説明はありません。

つまり資金の最終的な行先である「バイオマス発電所の協同開発権の保証金」のリスクが全く分からないのですね!リスクが分からなければ11%という利回りが高いのか低いのか判断することはできません。仮にリスクがかなり高ければ11%の利回りは「低い」ということになります。

次にこの保証金用資金2億5千万円の返済方法としては以下のように説明されています。

・協同開発を進める場合には、金融機関等によるリファイナンスを得る

または

・本件開発案件を当該発電所の建設・運営を目的とする事業主体に販売する

まず前者についてですが、冒頭ご案内したように「わざわざ割高なクラウドファンディングのお金を当てにする理由が全くない」わけですから、金融機関等からの借り入れに頼るのは当然です。

ただ一方で、それなら「最初から金融機関から借りておけ」とツッコミたくなります。

また後者の「当該発電所の建設・運営を目的とする事業主体」の存在もよく分かりません。Q社やその親会社・関係会社のことであれば、もし買い戻すつもりならそもそも協同開発など認めないでしょうし、全く別の会社なのであれば協同開発の時点で手を挙げているでしょうしね。

そう考えると本当に保証金が返済できるのか不安になってきます。

クラウドファンディング全般に言えることですが、とにもかくにも情報が足りなすぎますね!リスクが判然としませんので、投資の是非を判断することができません。

なお、後回しにしていた貸出先のC社についてですが、グリーンインフラレンディングの親会社である「JCサービス」のことのようですね。確かに同社のホームページをチェックしてみるとこのグリーンインフラレンディングの名前が出てきます。



社長さんの名前も同じですね。

つまりこの「グリーンインフラレンディング」とは、「JCサービス社の、JCサービス社による、JCサービス社のためのクラウドファンディング」ということです。実質的に破綻した、例のソーシャルレンディング会社のことを思い出しますね・・・。

それはともかく、ではこの条例に引っかかりそうな社名の「JCサービス」社の業績はと言うと、売上高のみが公表されています。

・2016年11月期 : 6,216百万円
・2016年2月期 : 1,576百万円
・2015年2月期 : 2,659百万円
・2014年2月期 : 1,027百万円
・2013年2月期 : 5百万円

かなりデコボコしていますね・・・。

いずれにしても売上高が多かろうと少なかろうと関係なく、問題は利益ですね。利益が出ていなければ「破綻にまっしぐら」ということになります。

なお、実際に資金を集めているグリーンインフラレンディング社は損益状況を公表しているものの、上記の通り「JCサービス社の、JCサービス社による、JCサービス社のためのクラウドファンディング」だとすると、ほとんど意味はありません。



利益はわずか71万8千円ということですから、もしこのクラウドファンディングに何かあっても弁済する余力はほとんど全くありませんしね・・・。

そうしたわけで、それでもこのグリーンインフラレンディング社に投資しようとされる方は上記の通り

・保証金に充当されることのリスク

・実質的な貸出先であるJCサービス社のリスク

について、しっかりチェックしていただければと思います。それがチェックできないなら・・・自重しておいた方が良さそうです。11%のリターンのために投資元本を過度なリスクにさらす必要などありません。

参考になさってください。

では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。

1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。

2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。

3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。

加えてこちらの記事も参考になさってください。

>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方

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※ご参考:今回取り上げたサイトの複写です。