2017年もあと2日というタイミングになりましたが、今回初めての試みとして「来年の定期預金金利見通し」についてご案内したいと思います。2018年に定期預金の金利は上昇するのでしょうか?それとも下落するのでしょうか?
その具体的な予測に入る前にこれまでの市場金利の動向を振り返ってみたいと思います。まず上記1年もの・5年もの市場金利の推移をチェックすると、2016年初頭に急落し、2016年7月にボトムをつけた後で上昇に転じた一方、2017年は上がりもせず、下がりもせず、安定していたことが分かります。
最も代表的な金利指標である長期金利=10年国債金利の動きをチェックしてもやはり同じです。
では動きが激しかった2016年に一体何があったのでしょうか?時系列で書き出すとこういうことになります。
・2016年1月 : マイナス金利政策発表
・2016年7月 : イギリス国民投票(Brexit)
・2016年7月末 : 日銀がこれまでの金融緩和の総括を行うと発表
・2016年9月 : 日銀が「イールドカーブコントロール」を軸とする新たな金融緩和の枠組みを発表
・2016年11月 : トランプ氏当選
2016年1月の「マイナス金利政策発表」から7月の「Brexit決定」ごろまでが極端な金利低下局面であった一方、2016年9月の「新たな金融緩和の枠組み」発表や、2016年11月のトランプ氏当選に伴うアメリカ金利上昇をきっかけにして金利上昇局面を迎えたわけですね。
しかし2017年に入ってからはその「新たな金融緩和の枠組み」≒イールドカーブコントロールが効果を発揮し、日銀の狙い通り長期金利は「0%前後」で推移して現在に至っているということになります。
その点では、現状、預金者として理解しておかなければいけない点はただ一つ、「日銀によって長期金利は0%前後にコントロールされている」ということです。
言い換えれば、このイールドカーブコントロールが続く限り、長期金利も、市場金利全体も、定期預金金利も「低いまま」ということですね。
となると気になるのが、「イールドカーブコントロールがいつ解除されるのか」という点ですが、その答えは「インフレ率が2%を安定的に超えた時」ですね。日銀は「2%のインフレ目標」を達成するために異次元緩和を行ってきたのですから当然です。
ではこれまでのインフレ率の推移をチェックしてみるとこうなっています。
消費税増税の影響で一時的に2%を上回ることはあっても、全体的には0%近辺をウロウロしてきたことが分かります。つまり、まだまだ目標達成には遠く、イールドカーブコントロールが解除されるのもまだまだ先であるということですね・・・。
とすると基本的には2018年の金利環境は2017年と変わらないということですから、「2018年も、長期金利も市場金利全体も定期預金金利も低いまま」と予測することができます。
とすると定期預金に預ける上では、いつ来るか分からない金利上昇局面をひたすら待つのではなく、少しでも良い金利の定期預金を見つけたら、早め早めに利用した方が良さそうです。
と言うわけで結論が出てしまいましたが、せっかくなので逆に「金利が上昇する時」というのを考えてみます。適当に思いつくまま書いてみるとこうなります。
1.思ったより物価が上昇し、インフレ率が2%を超え、日銀が異次元緩和が終了したとき
2.金融政策の「正常化」を進めたい日銀が、金利の操作目標を上方修正したとき(たとえば0%→1%など)
3.日銀がインフレ目標2%を諦め、1%などより達成可能な目標に切り替えたとき
4.リーマンショック級の金融危機が起こり、資金繰りが厳しくなった各金融機関が「預金集め」のために積極的に預金金利を引き上げたとき
1〜3は日銀の金融政策の変化ですが、4は金融危機が要因となってきます。
ただ2018年は、アメリカの歴史的な大規模減税もあって経済見通しは極めて楽観的なようです。とすると金融危機が起こる可能性は低く、預金者としては「日銀の金融政策の変化」を期待する1年となりそうです。
折しも2018年3月には黒田日銀総裁の任期が切れますので、金融政策を変えるには良いタイミングなわけですが・・・しかし実際には先日の衆院選で与党が大勝し、安倍政権が継続となったことから、黒田総裁も「再任」の可能性が高いようですね。
安倍総理も続投、黒田総裁も続投、ということになれば金融政策が変わる可能性は低そうです。
とするとやはり予測としては「2018年も、長期金利も市場金利全体も定期預金金利も低いまま」
ということになってしまいますね・・・。
ただ2017年を振り返ってみれば、時期によっては高水準の定期預金を提供してくれる銀行がいくつもありました。その点ではあまり悲観しすぎることなく積極的に情報を集め、繰り返しになりますが、よい定期預金を見つければ躊躇なくご利用いただければと思います。
当サイトでも引き続き、最新の金利情報をご案内していきますので、ぜひご活用ください。
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参考になさってください。
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