当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社エターナルリンクが提供する仮想通貨である「エターナルコイン」ですね。ネット上の広告ではこのように謳われております。
「保有するだけで増える」 なら結構なことですが具体的にどういうことでしょうか?サイトをチェックするとこう説明されています。
送金や売買などの取引を行う際、約5円の手数料が発生しますが、これらの手数料の50%がエターナルコインユーザーに配分されるということですね。
利益還元の仕組みは結構なことですが、では一体いくらくらい増えるのかと言うと・・・それに関する記述はなさそうです。
2018年2月現在のウォレット数は約38,000。その内、半分くらいに実際に資金が入っているとして約19,000。その内、半分くらいで入出金が行われているとして約9,500。月の平均入出金が2〜3回とすると、手数料総額は約12万円ということになります。
その半分である約6万円を資金が入っている約19,000ウォレットに分配すると約3円ということですね・・・。
平均残高がいくらかは分かりませんが、仮に10万円くらいとすると、年間分配金約3円×12=36円は利回りに換算すると「年0.036%」ということになります。仮説に仮説を重ねた試算ですが、もしこれが正しいとすると「保有するだけで増える」という響きからはほど遠いですね。
「増える」というからにはぜひその実績を示してほしいものです。
それはともかくとして、この「エターナルコイン」を取り上げるのは2回目となります。過去のコラムはこちらです。
>>>6ヶ月で約4倍!?エターナルコインは魅力的?
上記コラムではこのように結びました。
「こうした資産の裏付けのないものに投資するのは極めて危険であるのは間違いありません。やはり今後、このエターナルコインの成長を期待するとしても繰り返しになりますがそれは、海外送金などより現実的な使用目的になってくると思います。くれぐれも甘い期待をしないようご注意ください。」
では実際にその後、エターナルコインのチャートはどのようになっているかと言うとこうなっています。
2年半前は50円程度だったものが、足元では120円近くまで上昇していますので約2.4倍ですね!「6ヶ月で4倍」は誇大であったにしても、「2年半で2.4倍」というのは大きな上昇です。
ただしその上昇のほとんどはご多聞に漏れず昨年=2017年秋からの上昇に伴うものであり、チャートを見る限りピークアウトしつつあるようです。仮想通貨の雄であるビットコインが暴落中である以上、エターナルコインだけが高値を維持することはなさそうです。
加えて、本質的な疑問として「この値が正しいのか?」というのがあります。というのもこの数値を発表しているのはエターナルライブ社自身であり、その値はいくらでもコントロールできます。仮想通貨市場で取引されているビットコインの値動きなどと比較すれば明らかに変化が少ないですね。
言い換えれば、なぜエターナルライブ社がエターナルコインの値をコントロールできるかと言えば、「仮想通貨市場で取引されていないから」ということですね。
「いや、エターナルコインは海外の取引所でも取引できますよ。」という指摘があるかもしれませんが、サイトを見ると海外の取引所はこのようになっています。
・日本/エターナルライブ
・フィリピン/TOKENHUB
・香港/ETERNAL HONGKONG
・韓国/ETERNAL KOREA
どれもエターナルコインしか扱っていない、同社の関係会社なのですね・・・これでは合理的な価格形成がなされるはずがありません。
もし仮に取り付け騒ぎのような形で出金依頼が続けば・・・記者ならすかさず価値を1円とかにしてしまいます。とすると多額の売却益が残ります。もちろんそれは投資家にとって多額の売却損が出ることを意味しますが。
そもそも上記の通り通常の決済手数料では還元後月約6万円しか稼げないとすると一体どこでメンテナンスコストを回収し、企業体を維持していると言うのでしょうか?
取引所を運営しているエターナルライブ社や、エターナルコインの発行元である株式会社アトムソリューションズの経営実態は全くもって不透明です。
そうしたわけでザっと見ただけでも色々と不安が募ってしまうエターナルコインですが、実はもっと分かりやすい区別ができます。何かといえば金融庁に「仮想通貨交換業者」として「登録」されているのか、ということです。
では2018年3月現在、エターナルリンク社はどういう区分かと言えば「みなし仮想通貨交換業者」ですね。具体的にはこういった企業の中に名を連ねています。
・みんなのビットコイン株式会社
・Payward Japan株式会社(Kraken)
・バイクリメンツ株式会社(Lemuriaレムリア)
・株式会社 CAMPFIRE
・東京ゲートウェイ株式会社(旧東京JPY発行所)
・株式会社 LastRoots
・株式会社 deBit
・株式会社エターナルリンク
・FSHO 株式会社
・株式会社来夢
・ビットステーション株式会社
・ブルードリームジャパン株式会社
・株式会社ミスターエクスチェンジ(旧ミスターリップル)
・株式会社 BMEX
・株式会社 bitExpress
「みなし仮想通貨交換業者」 とは、「今すぐ登録はできないけれど、審査中であり、その間は営業を続けていい」という「仮免許」のような位置づけです。
ただここから登録に至る道のりは結構難しいようで、何社も登録を断念し「廃業」を決めています。
とするとエターナルリンク社を批判的に述べているかのように聞こえるかもしれませんが、個人的には全く逆で、「よく、みなし仮想通貨交換業者になれたな!」というのが正直な感想です。ぶっちゃけ、もっと投資詐欺的な中身かと思っていたものですから(笑)。意外と経営実態があったようです。
とは言いつつ、仮にここからエターナルコインに投資するとしても、エターナルリンク社が「登録されてから」ですね。さもないと金融庁が社名を公表した意味が全くありません。
加えて上記の通り価格形成が不透明に見えますので、もっとパブリックな取引所に上場されることは必須だと思います。
今から「仮想通貨投資を始めよう!」という方は少数派かもしれませんが、慎重にご検討ください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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