当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは都市綜研インベストファンド株式会社が運用する「みんなで大家さん」ですね。商品名を広告などで見た人は少なくないかもしれません。
当サイトでもすでに常連となっておりまして過去のコラムを列挙してみるとこうなります。
>>>利回り7.1%!みんなで大家さんファーム1号は魅力的?
>>>口コミで怪しいと言われる、みんなで大家さんの最新の評判
>>>利回り7.0%!みんなで大家さんの疑問点をまとめると
>>>利回り6.1%!みんなで大家さんはやはり疑惑だらけ
>>>利回り7%!みんなで大家さん伊勢は魅力的?
>>>元本割れナシ年利6%!みんなで大家さんは魅力的?
>>>6.1%の高金利な投資 みんなで大家さんは魅力的?
>>>みんなで大家さんの債務不履行=デフォルト率は70%?
>>>想定利回り7.0%!みんなで大家さん19号は魅力的?
>>>行政処分!「みんなで大家さん」のその後は?
調べれば調べるほど辻褄が合わないことばかりですが、それでも営業が続いているのは・・・新規資金が流入し続けているからでしょうね。少なくとも集めた資金の7%程度の新規入金があれば利払いは続けられます。
逆に言えばそうした新規入金が止まればいよいよ「本当の姿」が見えてきますね。
ちなみに前回のコラムでもご案内しましたが、このファンドを運営している都市綜研インベストファンド株式会社は「112億円の第3者割当増資が行われた」と発表しています。今まで受け入れた出資金=122億円をほとんどカバーできる金額ということになりますが、肝心の引受先はこのように記載されています。
・成田ゲートウェイプロジェクト1〜6号株式会社
恐らく特別目的会社だと思いますが、いずれにしても実際の資金の出し手は全く分かりません。住所も都市綜研インベストバンク株式会社と同じです。謎ですね・・・。
この第3者割当増資以降、出資金の返還が進んだようですので全くのデタラメというわけではないのでしょうけれど、うさん臭さがあるのは間違いありません。行政はしっかりチェックしてほしいものです。
そもそも出資金の返還が滞っていたことを隠して募集を続けていた時点でアウトのような気がしますが・・・。
さてそんな腑に落ちないことばかりの「みんなで大家さん」ですが、前回のコラムでご案内したように新たな商品を発売しています。「みんなで大家さんファーム」シリーズですね。前回は「みんなで大家さんファーム1号」だったわけですが、今回はその後新たに販売された「みんなで大家さんファーム2号」について取り上げたいと思います。
>>>利回り7.1%!みんなで大家さんファーム1号は魅力的?
まず前回の「1号」の指摘事項を簡単に振り返ると、物件概要はこのようになっています。
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物件名:青果熟成加工物流センター
所在地:南九州市川辺町平山字京田4109番地2、4108番地
敷地面積:6250.91平方メートル
種別:工場・機械室
想定賃貸利益:213,000千円(税別)
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総額24億円にものぼるこの青果熟成加工物流センターへの投資が妥当かどうか考えてみると、南九州市の土地価格は平均1万4,712円/平方メートルだそうです。敷地面積が6,250.91平方メートルですから単純計算すれば土地代は9,196万円ということですね。
次にその「工場・機械室」の建物代を計算してみたいと思います。まず南九州市近隣の売り工場の代金をチェックしてみると、ネットで3件見つかりました。
・売工場1 : 使用部分面積864.89u/土地面積3,283.96u=3,900万円
・売工場2 : 使用部分面積1,515.98u/土地面積4,133.44u=5,680万円
・売工場3 : 建築面積4,522.88u/土地面積13,460.02u=1億6,500万円
土地面積が2倍以上でも1億6,500万円です。とするとやはりこの物件価格が1億円を超えることはないのでしょう。仮に1億円としても、その24倍の代金を払うということですから全く合理的な価格ではないですね。
次のポイントは年間の賃料=2億1,300万円ですが、上記の通り2倍の広さの工場ですら1億6,500万円で購入できるのに、誰が毎年2億1,300万円の賃料を払うというのでしょうか?絶対あり得ないですね・・・。
そうしたわけで「市場価格が1億円程度の物件を24億円もの金額で購入し、毎年2億円以上の賃料収入を得る」と言っているわけですから、こうした話を信じろという方が無理があります。
さて前置きがかなり長くなってしまいましたが、今回はその続きの「みんなで大家さんファーム2号」ですね。恐らく同じロジックでその内容の是非を判断できると思いますが、今回の投資物件の概要はこうなっています。
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物件名:純国産バナナ・青果生産加工流通施設
所在地:鹿児島県南九州市川辺町神殿1374
延床面積:1198.58m2
種別:店舗
想定賃貸利益:350,000千円(税別)
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この物件はもともとはオートレースの場外車券売り場だったところですね。
ではなぜ閉鎖されたかと言うと、とにかく辺鄙な場所にあるようで客が全く入っていなかったということが個人ブログから読み取れます。引用するとこういう感じです。
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・競技云々の問題じゃなく、辺鄙な場所なのが問題なんだから…。鹿児島天文館から車で1時間、しかも周囲に鉄道やバス等の交通手段もない山の中。いくらなんでも無理がありすぎた。
・無料バスに乗れなかったら川辺までの交通手段は無し…。タクシーだと何万かかるか…。ちなみに乗客は私1人。1時間かけてオートレース川辺に到着。結局乗客は最後まで私1人だった。
・青い空、白い雲、そして牛の鳴き声と堆肥の香り…。牛の鳴き声?堆肥の香り?よーく見たら隣に牧場?もう本当に何故この地を選んだのか全く理解できん…。
・帰りたいな…。しかしそれを許さない驚異の立地条件!山奥の秘境!ここから徒歩で最寄りの駅まで何時間?バスはもちろんタクシーもねェ!
・行きのバスが私一人なら、当然帰りのバスも私一人。渋滞に巻き込まれて、結局帰りも1時間かかったりする。
>>>オートレース川辺、逝く
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オートレース川辺自体の魅力のなさに起因するところもあるとは思いますが、ここから読み取れるのは極めて交通に不便であって、店舗運営には全くもって不向きだと言うことです。
その施設を・・・何と4,000口×100万円=40億円以上かけて購入するということですね!もはや開いた口がふさがりません。
そもそも土地代込みなのかすら分かりませんが、仮に土地代込みだとしても上記のような近隣の不動産相場からすれば高くても4〜5,000万円と推察され、要するに「実勢価格の100倍以上の値段で購入するので投資してください」と言っているわけですね。誰が投資すると言うのでしょうか・・・。
想定賃料も3億5千万円ということで相場の100倍以上ですね。100分の1の年350万円で鹿児島中心部は当然として、東京都心部でも十分店舗運営ができると思います。何が悲しくて鹿児島の中心部から車で片道1時間かかる場所で、年3億5千万円も払って店舗を運営するんですかね。
しかも販売するのはバナナです。この賃料をカバーするには天文学的な量の販売が必要ですし、忘れてはいけないのはこのバナナ事業で支払わないといけない賃料は今回の3億5千万円だけでなく、「1号」の2億13百万円も含まれるのですね!一体どんな農業法人がそんな巨額の利益を挙げられるのでしょうか?
1号は「生産加工施設」、2号は「店舗」ということで肝心のバナナ農場やその付随施設が含まれていない点も気になるところです。
そうしたわけで、経済合理性から言ってこの投資は100%あり得ません。いやその100倍の1万%あり得ません。
それでも投資したいという方は、ここで販売される純国産バナナが爆発的に売れ、大手スーパーの店頭にも並び、全国民が1年に1本は食べる「国民的食品」になったことを確かめてから判断されることをお勧めします。
まだ1本も販売されていないようですからね・・・。
万が一そうなったとしても、実勢価格の100倍での物件購入が正当化されるものではありませんが。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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