当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社Cash
Flow Financeの「体験型エンターテインメント施設向け/子育て支援ファンド」ですね。
ちなみにこのCash
Flow Finance社についてはすでに以下の通り2回取り上げております。
>>>利回り9%!のコインランドリー投資は魅力的?
>>>業界初!?7%〜のコインランドリーファンドは魅力的?
しかし一番最後に取り上げてから1年近く経過しておりますし、予断を持たず、この投資の中身についてチェックしていきたいと思います。
まず最初に気になるのは、上記の通り同社トップページで表示されているこのグラフですね。
今の日本円の金利から考えて、ノーリスクで8%の利回りを20年も維持するのは不可能です。断言できます。
また、万が一「ノーリスクで8%の運用」ができるのであれば、わざわざ手間暇かけて投資家の資金を集める必要などなく、同社が自己資金をかき集めて投資するはずですね。
不可能かつ経済合理性に合わないことを喧伝して投資を促しているわけですから、故意であれば「詐欺」ですし、故意でなければ投資や資産運用に関して「無知」ということになります。
いずれにしても投資に値しません。実際、こうした投資イメージを広告に利用してきた会社をいくつも見てきましたが、すべて破綻しています・・・。
というわけですでに記者の中では赤信号ですが、それだと話が終わりますので、実際の投資の中身を見てみます。抜粋するとこういうことですね。
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<体験型エンターテインメント施設への投資>
この度、事業者FP社に対して、店舗内の什器・備品の買取資金として3,500万円を融資致します。
返済については、アナザウェイ株式会社からFP社が受け取る設備賃貸料を原資として行われます。
・運用利回り : 10.00%
・投資概要 :
本物件は、商業施設「イトーヨーカドー八千代店(千葉県八千代市)」ならびに「千歳アウトレットモール・レラ(北海道千歳市)」内でアナザウェイ株式会社が直営する体験型エンターテインメント施設「Zoo
Adventure」です。
なかでも千葉県八千代市の施設は約15年間運営を継続している店舗であり、このアナザウェイ株式会社の高い運営能力から本事業の想定利回りは約20%、-20%の収支下方リスクに対応できる投資と考えております。
・契約内容 :
対象物件をFP社が3,500万円でアナザウェイ株式会社から購入し、同社と10年のリースバック契約を2018年7月に締結します。事業の撤退等で契約を自己都合により解約する場合は、6ヶ月前に解約予告を行なう契約となっております。また、本件の返済は、12か月後の借り換えまたは売却による返済を予定しています。
・担保措置 :
Cash Flow Financeは、借り手FPの株式を100%保有しております。
・保全措置 :
アナザウェイ株式会社はFP社に3か月分の賃料を前払いする契約となっているほか、同社の事業に必要不可欠な当該物件をFP社が所有することを通じて、保全措置といたします。
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エンターテイメント施設「Zoo Adventure」 の「店舗内の什器・備品の買取資金」ということですが、まず気になるのは直接的な担保は施設を運営するアナザウェイ社のものではなく、このキャッシュフローファイナンス社の100%子会社であるFP社の株式ということですね。
投資家からすればリスクは全く分散されておりませんので実質的には「無担保」ということになります。
できれば実体のあるアナザウェイ社の担保が欲しいところですが、保全措置は「同社の事業に必要不可欠な当該物件をFP社が所有する」ことにとどまっています。しかも本当に「同社の事業に必要不可欠」なのかどうかは分かりません。不人気施設であったり、耐用年数を超えた場合、「もういらないので持って行っていいですよー」と言われる可能性もありますね。
しかしそれより気になるのは、そもそもなぜアナザウェイ社が10%もの金利負担を受け入れることになったのか全く分からない点です。上記の通り15年もの運営実績があり、想定を2割下回っても10%もの金利を負担できるのであれば、アナザウェイ社自身が金融機関から借り入れを行った方がはるかにお得ですね。
担保もあるとすれば1〜2%といった金利で資金調達できるのではないでしょうか?リース会社を利用しても3〜4%ではないですかね?なぜ10%の高利マネーを選んだのかさっぱり分かりません。
さらにこのアナザウェイ社のサイトを見ても同社の財務情報や損益情報は一切分かりません。投資先のリスクが分からないわけですから、投資家からすればこの10%が正当な利回りかどうかというのも判断できません。判断できないということは「投資してはいけない」ということですね・・・。
ただ一方で、1年前と比べてこのキャッシュフローファイナンス社の投資について大きく改善された点があります。何かといえばようやく同社の財務情報が公開されたのですね!
なぜか2018年6月に2017年9月期の財務情報を公開するという渋々ぶりですが・・・。
まず貸借対照表はこう。
総資産は7億円とかなり小規模ですが、それより気になるのは利益剰余金がマイナスになっていることですね!つまり赤字であることが示唆されているわけですが、損益計算書はこうなっています。
やっぱり3,200万円の赤字ですね!当然、このキャッシュフローファイナンス社が倒産すれば出資金は「元本割れ」となるでしょうから、慎重な判断が必要なのは言うまでもありません。
どうしてもこのファンドに投資したいという場合も
・投資先であるアナザウェイ社の財務情報が開示される
・まともな担保で保全される
・キャッシュフローファイナンス社が黒字になる
のを待ってからでいいのではないでしょうか?
ちなみに記者がキャッシュフローファイナンス社の社長なら、間違いなく自己資金で投資するでしょうね。そうすれば販売管理費などほとんどかからず一気に黒字化するはずです。
そうしないということは・・・やはりこの投資は「自己資金で投資したくなるようなものではない」ということなのでしょうね。
辛口かもしれませんが、こと投資に関しては「性悪説」に立つべきです。参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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