当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社グリーンインフラレンディングのクラウドファンディングである、グリーンインフラレンディングですね。これまで以下のように取り上げてきました。
>>>利回り11%!グリーンインフラレンディングは魅力的?
>>>12%!グリーンインフラレンディングは魅力的?
初回に指摘した事項は以下の通りです。
・再生可能エネルギーの購入価格は概ね投資資金が10年程度で回収できるような設計になっているかと思いますが、であれば考えられるリターンは常識的には「最大で10%」であり、11%〜12%のリターンというのはあり得ません。
加えて、実際に事業者が支払う利息はクラウドファンディング業者に支払う手数料も込ですから、少なくとも13%〜14%といった水準になるかと思います。どう考えても採算が合いません。
・簡単に試算しただけでも帳尻が合っていないことに加えて、もし記者がこの再生可能エネルギー事業の運営者なのであれば、絶対銀行から資金を借ります。わざわざ割高なクラウドファンディングのお金を当てにする理由が全くわかりません。
現時点でも特に修正する必要はなさそうですね。
あえて付け加えるとすると上記の通り再生可能エネルギー投資の想定リターンが10%だとしても、その間に発電機器は老朽化していくわけですし、当初の電力買取期間が終わればほとんど採算が取れない買取金額になると指摘されています。
つまりざっくり言えば10年後には
・累計100%のリターンと老朽化した発電設備と採算の取れない買取金額
が残るということですね。そう考えると「トータルリターンはほとんど出ない」ということになります。仮に利回りが10%あっても、償還の時点で元本がゼロになってしまい、トータルではほぼトントンになってしまうイメージでしょうか。ご注意ください。
というわけで再生可能エネルギーに投資するグリーンインフラレンディングについてすでに結論が出てしまっている気がしますが、ここに来て疑惑が2つ持ち上がっています。1つ目は「虚偽説明疑惑」で以下のように報道されています。
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インターネットを通じて小口資金を調達し、融資を仲介する投資募集会社「maneoマーケット」(東京)が、資金を集めた際に虚偽の説明をした疑いがあることが21日、市場関係者への取材で分かった。証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反の疑いで調査、金融庁への処分勧告などを検討している。
maneo社は、自然エネルギー開発会社(グリーンインフラレンディング)から、バイオマス発電や太陽光発電事業への資金募集を依頼され、2016年秋から10%超の配当をうたって集めていた。
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報道はmaneo社の責任や主体性を示唆する内容ですね。あくまでmaneo社は仲介しているだけであり、とすると仮に虚偽説明があってもその責任はグリーンインフラレンディング社にありそうですが、そうなっていないところを見ると、maneo社が主体的に虚偽説明に加わっていたと疑われているのでしょう。
ただ誰に責任があるにせよ、グリーンインフラレンディングのファンド募集に虚偽説明があったとすると由々しき問題ですね。具体的にどういう「虚偽」があったのかは分かりませんが、「実態より悪く言う」はずはありませんから、「実態より良く説明していた」とすると
・実はかなりリスクの高い投資であり、リターンや元本が失われる可能性がある
と考えておいた方が良さそうです。いずれにしても早晩、金融庁や証券取引等監視委員会から正式発表があるでしょうから、それを待ちたいと思います。
そんな杜撰な募集活動が明らかになったmaneo&グリーンインフラレンディングのコンビですが、新たな疑惑が持ち上がっていますね。
それが2つ目の「裏金疑惑」で、このように報道されています。
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細野豪志元環境相が昨年10月の衆院選の期間中に、東京都内の証券会社から5千万円を受け取っていたことがわかった。5カ月後の今年3月末、証券取引等監視委員会が証券会社に対し、この支出について報告を求めた。翌月、細野氏は「なし」としていた資産報告書の借入金を5千万円と訂正し、その後、返却した。
関係者によると、証券会社の親会社の自然エネルギー開発会社(グリーンインフラレンディング)の資金調達をめぐって、監視委が同月末ごろから調査を開始。投資募集会社を通じて資金を募ったが、投資家への説明に虚偽があった疑いがあるとされた。開発会社が集めた資金の使途を調べる過程で、監視委は3月26日に証券会社に対し、細野氏への5千万円の説明を求めたという。
細野氏は4月4日に資産報告書を訂正。証券会社の文書には、5千万円は同月9日に返済されたが、提供から3カ月以上、利子の支払いはなかったと記されている。
証券会社は昨年5月、開発会社が買収し、拠点を沖縄から東京に移した。取締役には旧民主や日本維新の会の元国会議員3人が名を連ねる。調査会社によると、昨年3月期の売り上げは約1千万円。買収後は稼働実績がほとんどなかったという。5千万円の支出について「一切お答えできない」としている。
細野氏の事務所は25日、取材に対して文書で「(5千万円は)秋以降、急な政治資金が必要になる可能性があると考え、個人として借り入れた。利払いが不定期となった時期があったが、利子を含めて全額返した。借り入れが選挙後と認識していたため(報告書に)記載していなかったが、日時の誤りに気づいたので訂正を届け出た。(証券会社などへの監視委の調査は)承知していない」などと回答した。
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グリーンインフラレンディング社が集めた資金の一部=5,000万円が子会社を通じて、なぜか細野豪志議員に渡っていたという何ともきな臭い話ですね・・・。
細野氏はこの資金について最初は報告せず、証券取引等監視委員会の調査が始まってから慌てて報告し返金したとのことですから、常識的に考えれば表に出す気がないお金=裏金であったのは間違いないと思われます。
いずれにしても投資家から集めた資金が好きなように使われていたわけですから、残りの資金が正しく運用されている可能性は低いですね。投資家の元本が毀損することなく、満額戻ってくることを祈りたいと思います・・・。
ちなみに今回、このグリーンインフラレンディング社の情報を検索している中で以下のような指摘も発見しました。
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融資型クラウドファンディング大手「グリーンインフラレンディング」、償還資金を別ファンドで調達、自転車操業状態か
インターネット上で多数の個人投資家等から資金を募り、まとまった資金を事業者へ貸付け、事業収益を分配する融資型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)。
数あるソーシャルレンディング会社の中で、太陽光発電施設への貸し付けをメインに、200億円近い金額を集めている「グリーンインフラレンディング」(港区赤坂、社長・中久保正己)の一部のファンドで、太陽光発電所等の売却で元利金を償還するとしていたが、実際は売買代金ではなく他ファンドで調達した資金などを原資に償還を行っている事が分かった。既に償還されたファンドの大半がこのような形式となっている可能性が高い。
グリーンインフラレンディングの第1号案件である北海道・1MWの太陽光発電所に対するファンドの運用はすべて終了しているように見える。だが、不動産登記に記載されている所有権は、2013年5月に元の所有者からグリーンインフラレンディングの親会社開Cサービス(社長・中久保正己)に移り、14年6月にトラスティーズ・アドバイザリー梶ヒ14年7月にJCサービスへと移転、さらに14年7月に潟Tユリインターナショナル⇒16年4月にJCサービスと転売が繰り返されて以降、5月時点で所有権は動いていない。売却ができないまま別原資の資金で償還したと見られる。
また、関係者は「太陽光案件の規模に比して明らかに募集金額が過大だ」と指摘する。例えば九州地方で600kw(売電価格40円)の案件に対して、一時期グリーンインフラレンディングは330百万円もの資金を集めていたが、「土地付き太陽光発電所の相場からして、金利を抜きにしても募集金額以上で売却するのは無理だ」という。
※抜粋
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第1号案件である北海道の太陽光発電所について、売却されていないのに元本が償還されているわけですから、別ファンドで募集した資金で償還された可能性が高い=自転車操業である、という指摘ですね。
この指摘が正しいのかどうかは分かりませんが、現時点ではグリーンインフラレンディング社を信用することは難しいですし、そもそもの高利回りを思えば「十分あり得そう」と思ってしまうのは記者だけではないと思います。
ともかく記者も含め一個人がこの投資資金の運用実態を解明するのは不可能ですので、繰り返しになりますが監督当局、そして当事者であるmaneo社から、1日も早く事実が包み隠さず発表されることを期待したいと思います。
しかしこれでもまだ、こうした「融資型クラウドファンディング」に投資したいという方がいるのですかねぇ?いるのでしょうけれど・・・。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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