当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはガイアファンディング株式会社の「ガイアファンディング」ですね。利回りが現在募集中のもので11%となかなか魅力的です!
・・・安全であれば。
というわけでまずは2年前に取り上げた際の指摘事項を再掲したいと思います。
>>>利回り5%〜10%!ガイアファンディングは魅力的?
1.ガイアファンディング社の信用力は情報が開示されていないという点で「ゼロ」です。
2.借り手は「米国向け不動産融資を行う事業者K社」とのことで、その信用力は全く判然としません。
3.物件の広さが分かれば担保価値が計算できそうですが、そうした担保物件のスペックの開示はありません。
4.必要な評価額は「土地」ですが、その開示もありません。
5.この投資に関してガイアファンディング社は書類審査を一切やっていません。
6.会社C社への融資とバンドルされているようですが、こちらは「担保あり」としながら、担保の記載が全くありません。
7.自社で為替ヘッジをしているけれど詳細は企業秘密とのことで、内容の矛盾も含め怪しさが蔓延しております。
8.EQUIPOISE社との関係が強く示唆されるわけですが、ガイアファンディング社サイト上ではEQUIPOISE社について一切触れられておりません。
9.関係性が強く疑われるEQUIPOISE社も財務状況を開示していません。
これら指摘事項は今でも修正する必要はなさそうですが、では2年経って状況は改善しているのでしょうか?まずガイアファンディング社の決算書はこのようになっています。
情報が開示されたのは一歩前進ですが、18百万円の利益というのは58億円の負債に対して余りに脆弱ですね。
貸付債権である54億円のほとんどが米ドル建てかと思いますが、仮に1ドル=112円から111円へ1円円高が進むだけで為替差損48百万円が発生し、利益が吹っ飛ぶ計算になります。
また仮に同社の過失で損失が発生した場合、そうした損失を補てんする余力が全くないということですね。財務情報が開示されたことでより投資リスクが鮮明になったということですね。
もちろん開示されないより100倍マシですが・・・。
2点目以降については現在募集中の「3周年記念ローンファンド11号」の中身を見ながらチェックしていきたいと思います。
・借り手は「米国向け不動産融資を行う事業者T社」とのことで、その信用力は全く判然としません。
・物件の広さは162平方メートルとなっているものの、担保価値の計算に必要な担保物件のスペックの開示はありません。
・必要な評価額は「土地」ですが、その開示もありません。
・この投資に関してガイアファンディング社は担保価値の試算などの審査を一切やっていないようです。
・会社C社への融資とバンドルされているようですが、C社の資料は会社謄本のみということで審査を一切やっていないようです。
・貸し出しはドル、配当は日本円ということで、為替リスクを誰が負うのか不明。投資家ではなさそうですので同社であるなら、それを保証する体力がないのは上記の通りです。
・社長のKelvin Chiu氏はEquipoise Capital Partners, LLC社のファンドマネージャーということでガイアファンディング社との関係が強く示唆されるわけですが、同社サイト上ではEquipoise
Capital Partners, LLC社について一切触れられておりません。
そうしたわけで2年経っても、懸念点はほぼそのまま残されていることが分かります。記者ならこの会社に投資することはなさそうです。
中でも最大の違和感は投資対象である物件の広さがわずか162平方メートルしかないのに9億4,800万円もするのか、という点です。162平方メートルと言えば日本の平均的な戸建て面積と大きく変わりません。
マンション換算すればファミリータイプの3LDKの物件の2部屋分くらいですね。「億ション」を2部屋買っても2億円にしかなりません。ということで投資物件が所在するCasper市で現在販売されている最も高い物件をチェックするとこうなっています。
189万5千ドル=約2億1千万円ですが、広さは264.77平方メートルとなっています。ここから比較すれば広さが162平方メートルで9億4,800万円というのが如何に法外な値段なのか分かりますね。
また2017年6月の募集開始時点で「ほぼ建築完成の状態」としておきながら、1年4ヶ月経ってもまだ完成→売却されていないのも不自然です。すでに自転車操業状態であれば配当するのに精一杯でしょうから、仮に売却されたとしても元本が全額戻ってくるのは難しそうですね。
そんな懸念だらけのガイアファンディングですが、残念ながら一部のファンドについてはすでに返済の遅延が発生しています。同社サイトから引用するとこうなっています。
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この度のテキサススターローンファンド 23〜25 号、27〜28 号、31 号、35〜37 号、40〜41 号、43〜50 号(第
1〜19 次募集)の遅延発生では、皆さまに多大なるご心配をおかけし申し訳ございません。
【遅延理由】
案件所在地は、テキサス州のヒューストンと港のあるフリーポート市の間に位置するマンヴェル市内です。
昨年8月に発生、テキサス州に甚大な被害をもたらしたハリケーンハービーの影響により、当該の土地は更地でもあり大きな影響はなかったものの、
許可申請に対する当局の手続きが遅れたことが理由です。
【期失の事由】
ガイアファンディングまたはmaneoプラットフォームにおいて再募集を行う想定をしておりましたが、maneoマーケットによるリファイナンス案件審査基準に必要な各種エビデンスを期日までに揃えることができず、再募集が叶わなかったことが主たる理由です。
【現状および今後の計画】
現在プロジェクトは進捗しており、開発許可以外に必要な各種許認可の取得等は、エビデンスを含め確認できております。開発許可が下り次第、水道などのインフラ工事を実施、住宅建設業者に売却・イグジットの予定です。
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かいつまんで言えば、投資した土地の開発許可が下りず、資金が返済できないためとりあえず継続しようと思ったら、資料を集められずmaneo社の審査が通らなかったため、返済が滞ってしまったということです。最悪ですね!
ここから分かることは2つです。
1つ目は、ガイアファンディング社は開発許可という最重要事項についてすら書類のチェックを行ってこなかったということですね。もしチェックを行っていたのであれば書類=エビデンスが残っているはずです。
2つ目は、このファンドを販売しているmaneo社もまたこれまでまともな審査を行ってこなかったということです。
maneo社はすでに累計1,504億円もの募集を行っているようですね・・・。この中で一体どれくらい不適切な融資があるのか気になるところです。
国内外の景気が良い間はそうしたリスクが表面化する可能性は低いのかもしれませんが、今後世界経済が曲がり角を迎え、不動産取引が滞り、地価も下がってくるとなると、融資先の経営が危機的になってくるのは間違いありません。
もし気になる方は早めに換金・出金されることをお勧めしたいと思います。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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