当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはクラウドリースが募集するソーシャルレンディングですね。ホームページを見ると以下のような紹介があります。
・運用利回り5〜8%
・業績好調な企業の多店舗展開を支援
・収益性、安全性が高い案件のみを厳選
業績好調な企業への投資で、さらに収益性・安全性も高く、運用利回りが5%〜8%ということであれば誰でも投資したくなると思いますが・・・残念ながら低金利の日本でそんなウマイ投資があるはずがありません。
つまりは「業績好調な企業への投資」というのがウソか、「収益性・安全性が高い」というのがウソか、あるいは両方ウソでないと利回りが5%〜8%と言った高水準になるわけがありませんね。
というわけで一瞥しただけで「怪しい」のは明らかですが、実際、すでに投資資金の多くが「延滞」となっている状況です。現時点での延滞発生状況は以下の通りです。
返済中なのが約9億円なのに対して、延滞中が約39億円ということで、現時点での貸し出しの約8割が延滞しているという凄まじさですね・・・。
とするとよっぽど多額の資金を1つの会社に投資していたのか、という話になりますが、2月6日掲載の「延滞発生に関するご報告」を見ると延滞している案件は以下のように報告されています。
どれも被りはないようで、15案件=15社への投資が延滞となっているようです。全体的にはアミューズメント施設が多いですが、それ以外の業種も含め多岐に渡っています。
とすると当然の疑念が湧いてきます。「なぜ同じタイミングでこれほど多くの会社への投資が延滞したのか?」という点ですね。考えられる理由は2つです。
1.クラウドリース社が融資の借り換えに応じなかった=返済を求めた。
2.延滞している企業は全て実質的に同一企業であり、同じタイミングで返済できなくなった。
つまりは貸し手の問題か、借り手の問題かということですが、ではこの中でMC向け案件の延滞の中身についてチェックするとこうなっています。
−−−
事業者MCの資金支援に取り組んで参りましたが、この数か月間の資金調達環境の影響もあり、最終資金需要者の資金ニーズに即応できるだけのファンド募集がしがたい状況となって参りました。
かかる状況を踏まえまして、CrowdLease社としては、投資家の皆様からのファンド資金に加えて、別ルートによりCrowdLease社が調達した資金を原資とするといった代替対応策を採りながら、事業者MCを含む最終資金需要者の資金ニーズに対応し、資金支援を行ってまいりました。
しかしながら、資金調達環境の変化については更に急激なものとなって参りました。これを受け、2018年12月以降はCrowdLease社としても新規ファンド募集に係る審査を継続しつつも、事業者MCを含む数社の最終資金需要者に対しては、事業者F・事業者Mを介して、新規ファンド募集以外の別ルートでの資金調達を促す等の対応もして参りました。
事業者MCからは、支払猶予等の申し入れもございましたが、そもそも、事業者F・事業者Mによる資金支援の原資はファンド資金に由来するとの性質上、上記申入れは応諾いたしがたいものであり、1月4日の支払期日が迫る中で代替案の検討に十分な時間的余裕もないまま、結果として、1月4日に支払期日を迎えた元利金の一部の支払がなく、総額で約10億8320万円の延滞の取り扱いとなりました。
https://www.crowdlease.jp/information/news?id=3095
−−−
何だか分かるようでよく分からない説明ですが、ポイントは
・この数か月間の資金調達環境の影響もあり、最終資金需要者の資金ニーズに即応できるだけのファンド募集がしがたい状況
ですね。記者も詳しくは分かりませんが、要するに実際にファンド募集を行うmaneo社が、クラウドリースの新規ファンド募集を認めなかった=結果的にクラウドリースが融資の借り換えに応じられなかった、ということでしょうか。
とすると同じタイミングで多くの会社への投資が延滞した理由は上記1だった、ということになります。投資家からすればたまったものではありませんが、なぜmaneo社がファンド募集を認めなかったかと言うと、当然、投資先の業績や、投資内容が「ひどいものだった」ということでしょうから、新たな被害を防ぐためには仕方ないものと思います。
そもそも当初の審査がザルだったとするとmaneo社にも大きな責任があるわけですが・・・。
気になるのがこの投資資金が投資家の元に戻ってくるかどうかですが、MC社の案件ページを見るとこのような記載があります。
融資総額7,000万円に対して、不動産担保の価値は7,178万円あるということですから、この担保物件を売却すれば少なくとも元本は返ってくるということですね。
とすると話はシンプルですが、ではこの案件の回収状況はと言うとこうなっています。
−−−
(1)アミューズメント事業における店舗売却に向けた購入希望者との交渉
事業者MCが営業店舗として経営する4店舗のうち、2店舗につきましては、既に大手アミューズメント企業が購入意向を示しており、事業譲渡に向けて協議を行っております。
残りの2店舗のうち、低採算の1店舗(この店舗の動産には保全対象動産は含まれておりません)については1月31日に閉店いたしました。
残り1店舗については、保全措置として所有権移転を留保している対象動産を売却して回収ということになります。
(2)リサイクル事業におけるスポンサー候補企業との業務資本提携に向けた協議
リサイクル事業のスポンサー候補については、事業者MCの既存取引先や大手企業など3社と協議中でありますが、この3社に加えて、ゴルフ場やメガソーラーの発電施設を数か所で運営している事業会社が、ソーラーパネルの廃棄処分事業を共同で行いたく、事業者MCの経営に興味を持ち、その協議に入っていると事業者MCから報告を受けております。
(3)担保不動産の一部の早急な任意売却着手
事業者MCは北関東エリアに展開事業以外で不動産を2物件所有しております。この不動産については売却活動を行い、返済原資に充当していく計画です。
−−−
うーん、何だか良く分からないですね。とっとと担保物件を売却するだけの話なのではないでしょうか?
仮に上記担保価値が間違っていて、それ以外の資産も叩き売らないと返済できないという話なら事態は深刻ですが・・・。無事に返済・回収が進むことを祈っています。
しかしこれでmaneo社がこれまで募集してきたファンドの多くが延滞を抱えたことになります。まとめるとこういうことですね。
・maneo → 一部延滞
・クラウドリース → 延滞
・ガイアファンディング → 延滞
・グリーンインフラレンディング → 延滞
・キャッシュフローファイナンス → 延滞
悲惨です・・・。そう遠くない将来、maneo社自身も重大局面を迎えそうです。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |