当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは利回り5.5%ということで逆にマトモそうに見えるSAMURAI証券のクラウドファンディングである「SAMURAI」です。
ちなみにSAMURAI証券の前身はAIP証券で、同社については以下の通り取り上げてきました。
>>>必見!クラウドファンディング「スマートエクイティ」は大赤字
>>>スマートエクイティ 酵素サプリボンド6%は魅力的?
>>>スマートエクイティ スリランカ預金ファンド5%は魅力的?
前回のコラムの内容が気になるかとは思いますが、いきなり結論に行く前に今回取り上げた「SAF不動産ローンファンド13号」の中身について見ていきたいと思います。
商品内容を抜粋するとこうなります。
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本匿名組合は募集上限金額を1,501万円とし、それぞれR社に1,500万円、K社に1万円を貸付資金として使用する予定です。
R社は平成30年10月に新たに設立された法人であるため、決算実績はございません。
担保となる不動産は、R社のグループ企業であるS社が購入予定の不動産です。(S社の代表取締役はR社と同一人物)
当不動産は、S社が既に契約及び手付金を支払い済みで、運用開始日である平成31年3月28日に、決済及び抵当権の登記を行う予定です。
S社からの当不動産の家賃収入と売却代金を原資とした借入れ、又は自己資金により、営業者からの借入れに対する金利及び元本の返済を行う予定です。
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集めた資金のほとんどがR社に貸し出されるわけですが、まず引っ掛かるのはR社は新しく作られたばかりの会社であって実質的に「赤字企業」であるという点です。
となると担保をしっかり徴求する必要がありますが、なぜかR社ではなく、グループ企業であるS社が担保を差し出してくれるとのことです。ただその担保はこれから買う物件で、どうやらこのファンドの資金が流用され、さらに返済するのもS社のようです。
なら直接S社に融資すればいいものをなぜR社経由なのでしょうか?スキーム図を見ても明らかにS社が宙に浮いています。謎ですね・・・。
もしかするとS社は「赤字企業」であり、その実態を隠したいという意図があるのかもしれません。 そもそも健全な会社で担保があるなら、もっと低い金利で銀行から融資を受けられますからね。その可能性は高そうです。
ちなみに1万円のみしか貸さないK社ですが、損益状況はこうなっています。
こちらは潔く赤字ですね・・・。
そうしたわけで借り手企業の信用力がどうにも怪しく、お勧めすることはできなそうですね。
しかし。
このSAMURAI証券が提供するクラウドファンディング「SAMURAI」にはもっと深刻な問題がありますね。前回取り上げた2017年10月時点で、同社全身のAIP証券も、そのAIP証券を買収した「SAMURAI&J PARTNERS」社も共に赤字だったという点です!
>>>必見!クラウドファンディング「スマートエクイティ」は大赤字
赤字企業が赤字企業を買収して黒字になるはずがありません。
というわけで、そこから1年半が経過した現在、このSAMURAI証券も含めた、「SAMURAI&J PARTNERS」グループの連結決算はと言うと「2018年2月から10月の累計」でこうなっています。
・売上高:4億20百万円
・営業利益:−1億98百万円
・経常利益:−1億97百万円
・当期利益:−2億8百万円
https://www.sajp.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/2018121301-1.pdf
つまり・・・めちゃくちゃ赤字なんですね!
ちなみに前年同期の経常利益は−1億40百万円でしたので、残念ながら赤字幅はさらに拡大しているということです。どうしようもありません・・・。
そうしたわけでこのクラウドファンディング「SAMURAI」は投資先企業も実質的に赤字であることに加えて、運営会社も赤字ということで、右も見ても左を見ても赤字ということになります。
もし仮に運営会社が倒産すれば、いくら担保があってもその回収は極めて困難となりますね。回収してくれる人がいなくなるわけですから。
「SAMURAI&J PARTNERS」社は上場企業ですので、このように財務の透明性が確保されている点は、他のクラウドファンディング各社と比較して大いに評価されて良いと思いますが、しかしそれだけで投資できるわけではありません。
少なくとも同社の決算が黒字になるまでは絶対手を出してはいけないですね。投資を検討されている方はご注意ください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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