当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはソーシャルレンディング最大手を自認するmaneoです。
ちなみにmano社は自社で直接運用している場合も、提携企業を通して募集している場合もあり、これまで関連ファンドについて以下のようにご紹介してきました。
>>>利回り12%!クラウドリースは魅力的?
>>>9%!maneoの事業性資金支援ローンファンドは魅力的?
>>>利回り11%!ガイアファンディングは魅力的?
>>>虚偽説明に裏金疑惑!グリーンインフラレンディングは詐欺?
>>>利回り10%!キャッシュフローファイナンスは魅力的?
>>>利回り6.5%!スマートレンドは魅力的?
>>>maneo推奨のロジコム社LCレンディング5%は魅力的?
内容に差はありますが、いずれも
・投資先の中身が不明
・ファンド会社の中身の多くが不明(財務情報がほとんど非開示)
・高リターンに見合うはずの高リスクが判然としない
ということで懐疑的に論じてきました・・・もっと言えば否定的でした。
そんなmaneo社が投資勧誘を行ってきたファンド群ですが、今や次々に延滞の憂き目にあっており、直近の延滞実績はこのようになっています。
・貸付金額:231億円
・延滞金額:62億円
実に足元の貸付金額の27%が延滞している状態ですね!いくら年5〜8%の利回りが得られても全く元が取れません。
まさに「存亡の危機」にあると言えるmaneo社ですが、では直近の2018年4月〜12月決算の損益はこのようになっています。
・当期利益:4億円
前年同期が約3億円でしたので増益基調なのですね!もちろん今後、募集額の縮小と共に利益も減少していくのでしょうけれど、投資に関する損失は投資家に帰属する=投資家しか損しないという構造に違和感を感じる方も多そうです。
ただこれまでの投資募集に際し、maneo社側に問題があることはすでに金融庁の検査で明らかになっており、上記延滞額の一部について「maneo社に責任がある=賠償責任がある」ということになれば、吹っ飛んでしまう利益水準であるのも事実ですね。
まさに「存亡の危機」です・・・。
さてmaneo社のみならず業界自体が揺らいでいるソーシャルレンディングですが、問題が山積していることを受け、金融庁が以下のような指針を発表しています。抜粋するとこうです。
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今般、金融庁では、ソーシャルレンディングに関し、投資者への情報開示の拡充を図るため、貸付先の情報開示が可能となる解釈を公表しました。
現在、貸付先にかかる情報開示の具体的な内容について、自主規制機関(第二種金融商品取引業協会)においてパブリックコメントを募集中(平成31年4月12日まで)です。
情報開示の現状案
・貸付先(借り手)の名称・所在地(貸付先が法人の場合)
・貸付先(借り手)の属性(業種・事業内容等)
・貸付条件(貸付金額、金利、貸付け予定日、貸付期間等)
・貸付先(借り手)の資金使途
・回収可能性に影響を与える情報(借り手の財務情報、担保情報(担保物件の場所、評価額等)、返済猶予等の状況)
・審査態勢(審査体制、審査手続き等)
・貸付債権の管理・回収態勢
・返済遅延等に関する情報(当該事業者の他のファンドにおける分配・償還に影響を与える返済遅延やデフォルトの発生など) など
ソーシャルレンディングへの投資にあたっては、こうした貸付先などに関する情報が十分に開示されているかどうか、また、貸付先の返済遅延やデフォルトなどのリスクがあることを十分に認識した上で、適切な投資判断をお願いします。
高い利回りなど限られた情報のみで投資判断を行うことなく、業者が提供する様々な情報を確認してください。利回りだけを強調し、リスクに関する情報が明示されていない業者との取引は注意が必要です。
>>>ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください
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当サイトでもこうしたソーシャルレンディングの評価に当たっていつも困らされてきたのが「貸付先の実態がよく分からない」という点です。すでにパブリックコメントの募集期限から2週間が経過しているわけで、各社の情報開示の改善が期待されるところです。
特に「業界最大手」を自任し、さらに繰り返し金融庁から業務改善命令を受けているmaneo社は率先して対応しているのではないかと思いますが、最新の募集案件をチェックするとこのようになっています。
引き続き貸付先はEW社ということで匿名のままです。何も反省していないですね・・・。金融庁が求める
・貸付先(借り手)の名称・所在地(貸付先が法人の場合)
・貸付先(借り手)の属性(業種・事業内容等)
について何も書かれていません。担保についても同様ですね。
金融庁から求められている
・回収可能性に影響を与える情報(借り手の財務情報、担保情報(担保物件の場所、評価額等)、返済猶予等の状況)
についてほぼゼロ回答ですね。
評価額は記載されているものの、これではこの評価額が正しいのかどうか投資家が検証のしようがありません。
そもそもなぜEW社は2億円を超える担保があるのに、日本から10%を超える高利で、為替リスクを負ってまで資金調達する必要があるのでしょうか?経済合理性から言えばあり得ません。
あるとすれば
1.本当は担保評価が2億円もない。
2.経営が傾いており、現地では資金調達ができない。
3.案件が高リスクであり、現地では資金調達ができない。
4.上記1から3の全部
しか考えられないですね。他にありますでしょうか?
こうしたどこからどう見ても怪しげな募集を続けている限り、maneo社の命運は言わずもがな、という気がします。
投資を検討するとしても、上記の通り金融庁が求める情報開示が始まってから、ということになるのでしょうね。
いつもご案内しているように世の中にウマイ話はありませんし、「ローリスク・ハイリターン」というのも虚構です。数%のリターンに釣られて元本を失うことのないよう投資判断は慎重になさってください。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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