当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはスカイプレミアムインターナショナルですね。読者の方から以下のような質問をいただいています。
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スカイジャパンは、詐欺ですか?
知り合いになった方から会うと必ず勧められます。その女性の暮らしがとても優雅で素敵なため、入られる方が多いです。
月々の会費が5000円と1万円あることと、私にはよくわからない世界のため、躊躇しています。本当にそんなに儲かるものってあるのでしょうか?
エクシアジャパンも勧められていますが、ここで読んで止まることができました。ありがとうございます。
※参考:50代男性「エクシアジャパンは投資詐欺ですか?」
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「スカイジャパンは詐欺ですか?」というご質問ですが、「スカイジャパン」という投資商品はないことと「5,000円もしくは1万円の会費」という記述から、会員制組織である「スカイプレミアムインターナショナル」のことかと思いますので、その前提でお答えしていきたいと思います。
このスカイプレミアムインターナショナルについては半年前に、以下のように指摘しています。
>>>年利30%!スカイプレミアムインターナショナルは魅力的?
焦点は、このスカイ社が提供している投資商品の「LION PREMIUM=ライオンプレミアム」ですね。
上記コラム執筆から半年が経過していますので何か新しい情報があるのかと思いましたが、引き続きこの投資商品についてはベールに包まれておりまして詳細が分かりません。
もちろん投資商品には不正防止の観点から高い透明性が求められますので、この時点で「投資価値なし」と結論づけてもいいとは思いますが、それだと話が終わってしまいますのでこの「ライオンプレミアム」について、上記コラムから再掲するとこういう内容ですね。
・勧誘や紹介がマルチ商法
・月利約2〜3%の利回り=年利約30%
・100万円から始められる
・FXで運用
・具体的な運用内容は開示されていない
・Money BrokerはGQFX社
マルチ商法≒ネズミ講なわけですから、やっぱり「投資価値なし」ですね・・・。新しい入会者の資金が、年利約30%という常識的にはあり得ないリターンの原資になっている可能性があります。
百歩譲って、このライオンプレミアムの運用チームが優秀なのだとしても、自己資金や機関投資家の資金を預かって運用するはずですね。自己資金ならだれかに30%もの利息を払わなくていいわけですし、機関投資家からなら数百億円の資金を簡単に引っ張ってこれるわけで、ちまちまネズミ講作戦で個人投資家から資金を集める必要などありません。
上記コラムでもご案内したように、仮に年30%で運用できるなら、元手が300万円でもこのように資金が増えていきます。
・10年後: 3,200万円
・20年後: 4億3,900万円
・30年後: 60億4,600万円
・40年後: 833億5,100万円
・50年後:1兆1,490億6,700万円
読者の皆さんならわざわざ手間暇かけて、さらに高い利息を払ってまで、個人投資家を集めて集金したいと思いますか?絶対思いませんよね?
記者なら間違いなく自己資金だけで投資をして、運用に専念すると思います。仮に親族などからお金を借りて元手を1,000万円に増やせば、10年後に1億円を超え、20年後には15億円近くになっているわけですから悠々自適です。
さてここまでは概ね前回のコラムで指摘したことになりますので、今回はもう2点付け加えたいと思います。
まず1点目は、マルチ商法だろうと何だろうと日本で投資できるわけですから、当然、日本での許認可が必要になってきます。金融庁から「登録・許可・登録」等を受けている業者一覧はこちらから確認できます。
免許・許可・登録等を受けている業者一覧
投資商品を販売しているわけですから
・金融商品取引業者登録一覧
に出てくると思いますが、「ライオン」も「LION」も出てきません。仮に許認可を受けずに日本で投資勧誘や投資契約を行っているのだとすれば「違法」ですね。
ポイントとなるのは「法律を守っていないからダメ」ということだけでなく、「許認可を受けたくても受けられない」商品内容であることが示唆されている点です。まっとうな会社のまっとうな商品であればきちんと許認可されるわけですからね。
そうなってくると「LION PREMIUM」で検索しても、サイトが1つも出てこない理由が推測されます。もし投資内容を公開すれば、金融庁に「取り締まってください」と言っているようなものですからね・・・。
そして今回付け加えたい2点目は、このライオンプレミアムについてネット上やツイッター上で擁護している方の主張を見ると主に以下内容にまとめられます。
1.画面を見ると確かに毎月利息が増えている。
2.利息を出金することができた。
3.何なら元金を引き出すこともできた。
確かにこの内容を見ると「あぁ本当に増えているんだ!」という印象を受けるかもしれません。
しかしこれらが全て事実であったとしても「本当に運用されている証拠」には一切ならないのですね。ネズミ講でも資金さえ回っていれば上記のような「演出」を行うことは十分可能です。
例えば運用残高が100億円あるとして、仮に利回りの半分=15%=15億円が流出したとしても、新規で15億円以上集めればネズミ講が破綻することなく続けていけるのですね。
そうしたわけでネズミ講は我々が思う以上にしぶといです。10年以上運用をつづけてから破綻するものも少なくありません。
このライオンプレミアムを擁護している方はもちろん悪意があってのことではないのでしょうけれど、だからこそ「たちが悪い」と言えそうです。やはり
・きちんと疑う
・自分の立場からだけでなく、相手の立場から考えてみる
・少しでもおかしいと感じたら近づかない
という「危機管理能力」が重要ですね。
金融庁には被害がこれ以上拡大する前に迅速に動いていただきたいと切に願います・・・。この半年、一体何をしていたのでしょうかねぇ。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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