当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはエクシア合同会社ですね。同社についてはすでにこちらのコラムで取り上げていますので、「そもそもエクシアジャパンって何だっけ?」と思われた方は先にご覧ください。
>>>50代男性「エクシアジャパンは投資詐欺ですか?」
また、その後も何度か検証記事を書いておりますので、興味がある方はこちらのコラムもご覧ください。
>>>エクシアジャパンはポンジスキームですか?
>>>エクシアジャパンについて金融庁に調べてほしいこと
>>>エクシアはサイト閉鎖中!ステマサイトをチェックしてみる
さて前回掲載したコラムから大分間が開きましたので、今回は別の角度からこのエクシア投資の危険性の有無についてチェックしてみたいと思います。
なぜか現在のサイトからは削除されていますが、以前同社はこれまでのFXでの運用実績についてこのように発表していました。
2016年4月から2019年7月までの3年以上、一度もFX取引で負けたことがない、ということですね。これについては「まずありえない」ということを述べました。その理由はこうですね。
・為替相場の先行きを読むことはプロでもほぼ不可能であること。
・株式投資と違いFX投資はゼロサムゲーム=相場全体の利益は常にゼロであり、勝ち続けるには常に負ける人が必要となること。
・FX投資はFX会社などの金融機関が取引の相手方になることから、勝ち続けるということはFX会社に損失を出させ続けるということであり、極端に勝つと口座を解約されてしまうこと。
もし他に「3年以上一度もFXで負けたことがない」という人がいたらぜひ教えていただきたいと思います。それくらい為替相場で勝ち続けるのは難しいことなのです。
では2019年8月以降の運用成績はどうなっているかと言うと、なぜか同社サイトでは公表されていないのに、ステマサイトで公表されています。この辺りも怪しさを感じるところですが、このように説明されています。
つまり、その後もプラスリターンを続け、2016年4月から数えて46ヶ月連続でプラスだということですね。ホンマかいな(苦笑)。
では具体的にその運用手法はどういうものかと言うと、同社営業マンの説明内容としてはこういうことでした。
・FXプロという証券会社で10個の証券口座に1000くらいのシステムの中からシステムを採用して運用
>>>エクシアジャパンはポンジスキームですか?
これが正しいのだとすると複数のシステムで運用しているということなのでしょうから、そのパフォーマンスは「FX系ヘッジファンド」の平均運用パフォーマンスに限りなく近くなるはずです。
「ヘッジファンド」と聞くと何だか魔法の言葉のように響くかもしれませんが、本来は「リスクを抑えながらリターンを得ようとするファンド」という意味で、今は「今までにない投資手法を使ったファンド」というニュアンスが強くなっていますが、それでもファンドはファンドです。損することだってもちろんあります。
もっと言えばここ数年は為替も株価も安定していたことから、ヘッジファンドの「冬の時代」と呼ばれ、有力ヘッジファンドが次々と閉鎖されています。ヘッジファンドは相場が荒れないとその存在価値を発揮できないのですね。
それはともかくとして世界の「FX系ヘッジファンド」の運用成績がどうなっているかと言うと、Eurekahedge FX Hedge Fund
Indexを引用すればこうなっています。
>>>Eurekahedge
FX Hedge Fund Index
同社が運用を開始した2016年4月からの数字を見てもらえば分かるように、月次でプラスとマイナスを繰り返しており、年間=YTDの成績を見ても、始まったばかりの2020年を除けば2勝2敗とやはりトントンです。
繰り返しになりますが為替相場はゼロサムゲームですから、ジャンケンと一緒で勝つ人がいればその裏側で必ず負ける人がいます。仮に勝率が5割とすると、46回連続で勝つのは「70兆分の1」の確率です(苦笑)。
複数システムで運用しているならそのパフォーマンスは全体平均に限りなく近づくはずというのは申し上げた通りです。普通に考えればこうした「トントンの結果」になるはずのところを、いや「ウチはずっと勝ち続けているんだ」と主張するのであれば、ぜひ合理的な説明をしてほしいところです。
「それは企業秘密だ」と言われるかもしれませんが、「FXの投資戦略は何か」くらいは開示できるはずですし、そもそも本当に運用しているのであれば、証券会社の残高証明書を見せてもらうだけでも事足りますね。
投資資金を溶かしていないといいですが・・・。
ちなみにもう1つ不自然な点を指摘すると、ステマサイトによれば同社の運用について
・8割くらいをゴールドマンサックスなどに預けて、FX運用は2割くらいになっている
と説明されています。もしそれが本当なら、同社が発表をやめた2019年7月のFXでの運用成績=4.2%は「2割の資金」で達成されていたわけで、実際の運用成績はその5倍の「21.0%」だったことになります。
FX Hedge Fund Indexの2019年7月のパフォーマンスは「+1.70%」ですからね。この極端な乖離についても合理的な説明を期待したいところです。
また、いつも書いているようにこのような好調な運用を続けているのであれば「個人から資金を集める必要など一切ない」という点は冷静に考えてもらえればと思います。全額自己資金で運用すれば、上記のような高額の配当をする必要などないわけですからね!
もし記者がCEOなら、コストの高い個人投資家の資金など1日も早く返済して全額自己資金にするか、銀行や機関投資家から資金調達すると思います。そうすれば配当が一桁減るのは間違いありません。
「本当にこうした安定的な投資ができているのなら」銀行や機関投資家は喜んでお金を出してくれます。 ソフトバンクのビジョンファンドは残高10兆円ですからね。運用難は世界中の課題です。
それができないのだとすると疑ってみるのは当然ですね。
もっと言えば旧サイトに記載されていたCEOのこの記述です。
この数値自体は2019年時点で同社弁護士も肯定していましたが、これが事実だとするとCEOは2008年から運用しているわけで、元手が100万円×年間平均利回り308%とすると直近ではこのような運用残高になっているはずです。
・2018年:768億円
・2019年:2,366億円
・2020年:7,288億円
同社の2018年の決算書を見ると投資家からの資金≒社員資本は「たったの」28億円です。
※クリックすると拡大されます。
なぜ高いコストをかけて社員を雇って、個人投資家に多額の配当を払ってまでちまちま投資資金を集めようとしているのか全く謎ですね!というよりこれだけの資金があればもはや運用する必要もないですね。使い切れません(笑)。
経済合理性で説明がつかないことが行われている場合は「何か裏がある」と思うのは当然です。世の中にウマイ話などないのです。
つらつら書きましたが、投資家としての判断は簡単で、金融庁の注意喚起を読んでいただければと思います。
−−−
登録を受けずに、一般投資家に対して、ファンドへの出資の勧誘等をすることは、法律違反の可能性があります。このような無登録業者からの勧誘は、詐欺的な商法であるおそれが高いと考えられますので、一般の皆様は、一切関わりにならないようにしてください。
>>>いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について
−−−
もちろん、エクシア合同会社は登録を受けていません。
子会社の「エクシア・アセット・マネジメント」は登録していますが、こちらは「投資助言業」での登録であって全く意味がありません。そもそも登録していた会社を買収しただけの話ですので、これだけでは同社グループの信用補完にはなりません。
ではエクシア合同会社が登録すれば投資していいのでしょうか?
確かにそれは一歩前進ですが不十分です。というのも運用はその先の「エクシア・プライベート・リミテッド」で行われているからですね。
この「エクシア・プライベート・リミテッド」が登録されて始めて、投資家としては投資の是非を検討していいということなのでしょう。
上記の通り金融庁が「無登録業者からの勧誘は、詐欺的な商法であるおそれが高いと考えられますので、一般の皆様は、一切関わりにならないようにしてください」と強い調子で注意喚起している意味をしっかり受け止めていただければと思います。
ちなみにこの「エクシア・プライベート・リミテッド」がシンガポールに登記されたのは2017年1月31日になっています。それ以前の運用実績があるのはなぜでしょう・・・。
なお、同社を検索すると出てくるブロガーの方が、ちゃんと出金できたということで以下のような書き込みをされていました。
−−−
エクシア投資を不安に思いながらもやってる方、ひとまず安心してください。ちゃんと税金分引かれて出金されましたよ。
約2年間で、100〜300万出資して、200万円ぐらいのお金が増えて、約40万の税金を払って、出資金の全てを解約して受け取った。これが紛れもなくリアルです。
私がやりはじめた頃から散々ポンジスキームだなんだと批判するサイトはありました。
金融リテラシーがない、絶対にそんな怪しい投資やめるべきだし、相談を受けたら全力で止めなさい、というサイトも見ました。
今、ああいうサイトを思い出し、その人たちの言う通りやめてなくて良かったと心から思う。
アンチエクシア、アンチポンジスキームの方々、この出金報告見てさぞかし悔しいでしょうね。
出金されずに困って途方に暮れるところを想像してニヤニヤしてたんだと思うと腹立たしい。
表面しか見ずに、説明もろくに聞かずに反対する人には聞いても無駄。
※抜粋
−−−
何だ、ちゃんと解約できるじゃないかと勇気づけられた方もいるかもしれませんが、そのカラクリは決算書を見れば分かります。上記2018年のものを例にとるとこうです。
出資金が約6億円減少する一方で、新しい出資金が約25億円流入してきたということです。こうした「流入超過」が続く限り同社の資金繰りが破綻することはありません。
「じゃあ投資してもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、仮に同社がポンジスキームだとすると、誰かを食い物にすることに加担することになるわけですから、寝付きが悪くなるものと思います。
と言うより自分が食い物になってしまうかもしれませんしね!
上記の通り、同社グループ全社が登録を済ませ、「ポンジスキームではなさそう」とある程度確証を持てるようになってからでも遅くはありません。
ちなみに今回から記事を追記するたびに金融庁に通報することにしました。金融庁の方はぜひ重い腰を上げて調査に乗り出していただければと思います。
そろそろこの「合同会社の社員権の自己募集」というスキームにも網をかけるべき時が来ているのではありませんか?
もしかして野党などに情報提供すると事態が動くのかもしれませんね。桜の会などを追いかけるよりよっぽど社会的な意義は大きそうです。検討してみよう・・・。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |