当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはエクシア合同会社ですね。同社についてはすでにこちらのコラムで取り上げていますので、「そもそもエクシアジャパンって何だっけ?」と思われた方は先にご覧ください。
>>>50代男性「エクシアジャパンは投資詐欺ですか?」
また、その後も何度か検証記事を書いておりますので、興味がある方はこちらのコラムもご覧ください。
>>>46ヶ月連続プラスリターン!エクシア合同への投資は危険?
>>>エクシアはサイト閉鎖中!ステマサイトをチェックしてみる
>>>エクシアジャパンについて金融庁に調べてほしいこと
>>>エクシアジャパンはポンジスキームですか?
さてそのエクシア合同会社についてですが、「ヘッジファンド勤務」という読者の方から以下のような投稿をいただきました。
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通りがかりですが、EXIA JAPANについて詳細に分析されていたので思わずメールしました。御サイトでも記述のある通り間違いなくポンジスキームの会社ですね。
自分はヘッジファンドで働いていますが、菊池翔なる人物は聞いたことがありません。友人の著名トレーダーも即答で聞いたことがないとのことでした。
Bloombergで検索しても該当はなしでしたし、プロフィールでS&P、Fitchの元社員とあったので社員に確認しましたが記憶にないとのことでした。
そもそもいくら海外法人のスキームでも、本格的に為替を触るならシティ、ドイチェ、GS、JPいずれかのプライムブローカーのカストディアンサービスを使っているはずですが、こんな会社聞いたことがありません。
資産運用業界の端くれにいる身としては、このような詐欺業者が一日でも早く消えることを願うばかりです。
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当サイトがこの投稿内容の真偽を確かめるのは難しそうですが、素人が冷やかしで書いた内容でないのは一目瞭然ですね。気になる方は同社に直接確認していただければと思います。
加えて今回はもう3つ気になる点を指摘したいと思います。まず1つ目は3月13日に証券取引等監視委員会から発表された合同会社GPJインターナショナルに関する申し立てで、抜粋するとこういう記載がありました。
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当社らは、以下のとおり、一般投資家に対し、合同会社の社員権及び集団投資スキーム持分の募集の取扱いを行っている。
1.合同会社の社員権の募集の取扱い
当社らは、平成26年5月以降、一般投資家に対し、当社の社員権の取得勧誘を行っている。当社は、Ganapati PLCを中心とするGanapatiグループとして活動を行っており、本件社員権に係る顧客からの出資金は、Ganapati社に全額貸し付けられ、出資者は、出資額に応じた分配金を毎月受け取ることができるとされている。
当社らは、平成26年5月から令和元年10月までの間に、少なくとも1,072名の一般投資家に対し、本件社員権を取得させ、約126億5600万円を出資させている。
2.集団投資スキーム持分の募集の取扱い
当社らは、平成30年9月以降、一般投資家に対し、「G8C」と称する集団投資スキーム持分の取得勧誘を行っている。
平成30年9月から令和元年10月までの間に、少なくとも970名の一般投資家に対し、G8Cを取得させ、約40億900万円を出資させている。
上記1及び2記載の当社らの各行為は、いずれも金商法第28条第2項第2号に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反するものである。当社らは上記違法行為を今後も行う蓋然性が高いことから、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。
>>>合同会社GPJベンチャーキャピタル及びその代表社員等2名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて
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今まで合同会社の社員権の募集は金融庁の管轄外=野放しという認識でしたが、今回の申し立てはこの合同会社の社員権の募集について、「無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反するもの」
と明記されたわけですね。
記者の知る限り、こうした事由での申し立てはこれまでなかったと思いますので、かなりエポックメイキングなものという認識です・・・。
言い換えれば、3,965名の出資者に対して142億円の社員権を取得させているエクシア合同会社の募集スキームはこの合同会社GPJインターナショナルのものと文面を読む限り違いは全く分からないため、「違法」とも考えられますが果たしてどうなのでしょうか?
念のため金融庁に電話で確認したところ個別にはコメントできないとのことでしたが、一般論としては無登録で投資を募っている業者に対して「登録を促す」か「警告書を発令する」とのことでしたので、エクシア合同会社が今の募集スキームを続けていくことはなさそうです。
また同じく金融庁の方から「もし情報があるのであればぜひ教えてほしい。」とのことでしたので契約者の方で気になる方は直接連絡を取ってみてはいかがでしょうか。以下連絡先です。
・金融庁/証券取引等監視委員会 情報提供窓口 : 0570−00−3581(03−3581−9909)
今まで問題のある投資募集活動を行っていたのはほとんどがこうした合同会社でしたので、しっかり監督官庁の網がかかることを期待したいとおもいます。
話を元に戻して気になることの2つ目は、今般のコロナショックに関わる為替の動きですね。為替相場を振り返るとこのような動きでした。
短い期間に112円から102円まで激しい値動きがあったことが分かります。ステマサイトによれば同社は「2割の資金でFX投資を行っている」とのことですから、喧伝されている利回りを実現するためには高いレバレッジが必要で、ショートにしろロングにしろ、この値動きの中で何度もロスカットされているものと思います。
つまり大損を出している可能性が高いということです。ではそうしたステマサイトを覗いてみるとこの数ヶ月のリターンはこのようになっています。
2020年
・1月:+2.54%
・2月:+2.59%
・3月:+5.4%
相場が激しく動いた2月・3月どちらも安定的なリターンを計上しているということですね。俄かに信じがたいです・・・。
気になる方はぜひ同社にどのような運用方針でプラスリターンが出たのか確認していただければと思います。せめてどちらかがプラスでどちらかがマイナスならまだ分かりますが、この為替の動きでどちらもプラスというのは投資戦略としては説明がつきません。
気になることの3つ目は、この記事掲載時点ですでに2020年4月なのですが、同社HP上では未だに2018年の決算書しか掲載されていないという点です。
2019年の決算書は遅くとも2020年2月末には確定しているはずなので、掲載していない理由が見つかりません。「掲載できない理由」ならいくつも思いつきますが・・・不測の事態となっていないことを祈るばかりです。
今回の記事も金融庁に通報することにしておきます。金融庁の方はぜひ早く動いてほしいものですね。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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