当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社日本クラウドキャピタルの「FUNDINNO(ファンディーノ)」ですね。新しい案件を募集するプレスリリースを見かけたので久しぶりにチェックすることにします。
ちなみに前回取り上げた時の記事はこちらです。
>>>最先端企業の株主になれるFUNDINNOは魅力的?
・投資先企業の売上計画に信憑性はない。
・投資先企業の現状の損益状況が分からない。
・運営会社の経営が危機的な状態にある。
の3点から「投資すべきではなさそう」と結論づけました。では上記記事から1年半経過して状況は改善されたでしょうか?
というわけで現在募集中の案件の中から最新のものをチェックするとコワーキングスペースを運用するこちらの会社の案件が出てきました。
コロナ禍で自粛ムード真っただ中のこの5月に「3密」を形成する可能性があるコワーキングスペースの案件を募集する感覚はちょっと理解できませんが、募集タイミングに加えて、在宅勤務の機運が盛り上がる中、この会社のビジネスモデル自体が大きく揺らいでいるはずなのにしれっと投資勧誘するあたり、「FUNDINNO(ファンディーノ)」を運営する日本クラウドキャピタル社には
・審査能力がないのか
・投資家保護の意識がないのか
あるいは「その両方」ということなのかもしれませんね。
それはともかくとして前回指摘した事項に沿ってチェックしてみると、このコワーキングスペース運営会社の事業計画はこのようになっています。
ざっくり言えば売上高がこのように伸びていく計画だという事です。
・2019年3月期: 974万円 ※実績(6店舗)
・2020年3月期: 4,132万円
・2021年3月期: 3億1,834万円
・2022年3月期: 27億4,797万円
・2023年3月期:101億6,243万円
・2024年3月期:203億9,940万円
・2025年3月期:360億5,192万円
2019年3月期の実績が974万円に対して今期=2021年3月期は3億1,834万円に伸びるという計画ですが、常識的に考えてもかなりハードルが高い目標であることに加え、上記の通りコロナ禍で通勤自粛が求められている現状では不可能かと思います。
さらに2020年3月期に「109店舗の申し込み達成」とのことでしたが、運営会社のサイトを覗くと63店舗しか掲載されていません。これもまたコロナ禍によって内装工事等が進んでいないということかもしれませんが、もしそうであれば売上計画は修正されるべきなのに修正されていない、ということになります。上場企業であれば何等かの罪に問われかねない問題ですね。
加えてすでに2ヶ月近くが経過している2020年3月期の実績値が公表されていないのもおかしいです。
ちなみに2019年3月期の実績をもとに1店舗あたりの売上を162万円とすると、今期=2021年3月期の売上目標3億1,834億円を実現するには約200店舗必要ということになります。繰り返しになりますが、2020年5月下旬時点で63店舗ですから、やっぱり達成は不可能ですね。
不可能な計画に基づき勧誘しているわけですから相当悪質です。もちろん、それはこの「FUNDINNO(ファンディーノ)」を運営する日本クラウドキャピタル社も同様です。
また、前回指摘した投資先企業の財務情報も引き続き開示されていないようです。全然ダメですね・・・。
同じく指摘したその日本クラウドキャピタル社の損益状況はこのようになっています。
前期=2019年10月期は3億円を超える赤字を出しており、引き続き会社存亡の危機にあることが分かります。自己資本は残り3億円ですからね。
というわけで前回指摘した、
・投資先企業の売上計画に信憑性はない。
・投資先企業の現状の損益状況が分からない。
・運営会社の経営が危機的な状態にある。
これら3点が全く改善されておらず、やはり「投資すべきではない」という結論で良さそうです。
ちなみに。
前回の記事でも取り上げた、同社第一号案件である「Bank Invoice社」はどうなっているかと言うと・・・
https://fundinno.com/projects/1
https://fundinno.com/projects/13
何と、業績不振により会社解散が可決されたようですね。投資家の方のブログから引用するとこうです。
もちろん、スタートアップ企業への投資ですのでうまくいかないことがあるのは当然です。しかし問題はこうした「失敗事例」が、この「FUNDINNO(ファンディーノ)」のサイトで一切、情報開示されていないのですね!
ハッキリ言って「詐欺」と言われても仕方ないと思います。
さらに投資家のブログを拝見すると、日本クラウドキャピタル社のこんなメールが紹介されています。
・投資家向けのメール
・投資家向けのメール
一体何をやっていたのでしょうか・・・要するにこの日本クラウドキャピタル社は投資先であるBank Invoice社の業況を全く把握していなかったし、経営状況の調査も何もしてこなかったということですね。
さらには投資資金の使い道の確認も行っていなかったということです・・・呆れてモノも言えません。
加えて同じ方のブログによれば、11号案件である「ブレスサービス社」もすでに倒産してしまったようです。
https://fundinno.com/projects/11
こちらについてもこの「FUNDINNO(ファンディーノ)」では確認できませんでした。
そうしたわけで今回は指摘事項が増えてしまいましたね。まとめるとこうなります。
・投資先企業の売上計画に信憑性はない。
・投資先企業の現状の損益状況が分からない。
・運営会社の経営が危機的な状態にある。
・投資先企業の破綻が隠蔽されている。
・投資先企業の業況や出資金の使い道について全く調査していない。
やはり「投資してはいけない」ということで良さそうです。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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